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大規模修繕で安全性・走行性向上に

阪神高速 3号神戸線の大規模修繕工事を実施

公開日:2022.04.21

 阪神高速道路(吉田光市社長)は4月15日から3号神戸線の大規模修繕工事を実施している。工事区間は3号神戸線(摩耶~芦屋)の上下線約10.3kmで、工事期間は4月25日までの10日間。交通量は1日当たり約9万台。従事作業者はのべ約1万人、作業車両は約8,000台、工事費用は約50億円に及ぶ。
 3号神戸線は1970年に供用を開始し、2008年には大規模修繕を実施したが、長期にわたる大型車の走行や車両の大型化によって負荷が蓄積し、溶接部に亀裂が発生している箇所がある。また、コンクリート床版のひび割れやポットホールなどの損傷が多発している。工事では、構造物の長寿命化(床版の疲労耐久性の向上)と安全性・走行性向上・沿道環境の改善(舗装補修・伸縮継手補修およびジョイントレス化による安全性・走行性の向上)を中心に工事を実施する。
 鋼構造物の長寿命化では、鋼繊維補強コンクリート(SFRC舗装)により、鋼床版の亀裂を抑制する工事を約28,000m2施工。また、高性能床版防水を約12.5万m2施工し、ひび割れ箇所から床版への雨水の侵入を抑制することで、コンクリート床版の長寿命化を図る。
 安全性・走行性向上・沿道環境の改善では、舗装を約18万m2、全面的に打ち替える。工事区間の周辺には学校や病院などがあり、工事では騒音対策として、鋼床版部にIH式舗装撤去工法を採用した。電磁誘導加熱技術により、鋼床版を60~90℃に加熱し、アスファルト舗装下面の接着層を軟化させることで、鋼床版の既設アスファルト舗装をスムーズに撤去するもの。


IH式舗装撤去工法でのアスファルト舗装撤去

 同工事では、伸縮継手も85レーン補修し、39レーンはジョイントレス化する。伸縮継手の損傷は走行の快適性低下、走行時の振動による沿道環境悪化の原因となっている。耐久性の高い伸縮継手に交換するほか、ジョイントレス化で車両走行時の騒音、振動の低減を図る。

 このほか、路面標示や視線誘導表示の設置など交通安全対策、道路照明の取替え(LED化)や入口沿革閉鎖装置の設置など電気・機械設備の更新も行う。 
 阪神高速は当社の取材に対して、「舗装の全面打ち替えや伸縮継手の取り替えなどで、安全性・走行性が大幅に向上する。利用時にその違いを実感してもらえるはずだ」と工事の狙いを語っていた。

 舗装工事はNIPPO、大成ロテック、鹿島道路、世紀東急工業の4社、伸縮継手はスバル興業。

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