大規模更新事業の基本設計内容について検討
橋建協 2021年度国内鋼道路橋受注量は前年度18万3,000tより微増の見通し
日本橋梁建設協会(髙田和彦会長)は4日、専門紙各社との意見交換会をオンラインで開催し、国内鋼道路橋の受注実績や活動状況を説明した。当日は髙田会長をはじめ、協会から17人が出席し、DXの推進、大規模更新事業への対応、担い手の確保などで意見交換を行った。
2021年度第3四半期時点の会員31社の国内鋼道路橋受注量は118,843tで、前年同期(119,612t)とほぼ同等となっている。発注者別では地方自治体が約17,000t減少したが、直轄(国土交通省と沖縄総合事務局)が約9,300t増、高速道路会社が約7,200t増となり、地方自治体の減少分を補った。受注金額ベースでは前年同期(2,525億円)よりも382億円増の2,907億円となった。このうち、新設工事は1,753億円(前年同期比127%)、更新・保全工事は1,153億円(同101%)で、更新・保全工事が全体の39.7%を占めた。
通期見通しについては、「昨年度実績である183,000tを若干超えると期待しているが、20万tには至らないと考えている。金額ベースでは昨年度と同等の4,300億円を想定しており、更新・保全工事の比率も昨年度と同程度(47.0%)になるだろう」(髙田会長)との見解を示した。
協会の2021年度重点活動テーマのひとつである「鋼橋技術力の進化と継承」におけるDXの推進では、BIM/CIMで設計と製作間のデータ連携の効率化を図るために「設計情報属性ファイル」の仕様(案)を構築したことや、遠隔臨場による立会検査のための検査要領作成に着手していることなどが報告された。協会が開発した作業員の高度モニタリングシステム「Safe-Tracker」は実証実験が完了して現場工事への適用拡大について検討しており、災害時の鋼橋点検を効率化するシステム「B-map」については、特定の自治体データを用いてシステム検証を行っており、運用上の課題について改良を進めている。今年度に創設された「i-Bridge適用工事制度」では現在、37件の工事が登録されている。
今年度から立ち上げた「大規模更新WG」では現在、基本設計についての検討を進めている。会員社の設計担当者にNEXCO各社の基本設計内容をヒアリングして現状を把握したうえで、受注者が必要とする基本設計内容を示していきたいとしている。
担い手確保のための協会広報活動では、若手社員による戦略広報WGで中学生・高校生に訴求するために、Instagramの開設(現在フォロワー数2,700)やイメージキャラクター展開などを行うとともに、各種イベント参加や現場見学会、出前講座などを積極的に行っている。また、施策の一環として協会ホームページの会員各社紹介ページに求人、インターシップのバナーを設置して、各社の該当ページにリンクすることも開始した。2022年度は、小学校でも出前授業を計画しているほか、コロナ禍で中・高校生と対面での交流ができなかったことから、その機会を増やすことを活動の中心としていく。
2021年度第3四半期時点の国内鋼道路橋受注実績