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車両を選ばずに設置できる測定装置により簡易に低価格で計測可能

要 舗装路面の平坦性を測定するシステム「セーフロードV」を展開

公開日:2022.01.14

 ソフトウェア開発などを行う株式会社要は、北見工業大学と共同開発した道路維持管理システム「セーフロードV(ブイ)」を展開している。同システムは、測定装置を車両に取り付けて走行するだけで舗装路面の平坦性を測定し、そのデータをパソコン上で管理できるもの。測定装置は車種を問わず、どのような車両でも設置できるので、路面性状点検車や設置車両が限られる路面測定器を導入することなく、簡易に低価格で測定できることが特徴だ。道路実延長約122kmの90%以上を管理する地方自治体の多くが人材や予算で課題を抱えており、同社では本システムの提供により舗装点検の効率化と高度化に貢献していきたいとしている。


セーフロードVの測定装置とモジュール/システムの概要

 セーフロードVは、測定装置である振動センサーを設置した車両で取得した道路の振動をもとに測定地点の平坦性を数値化したものを算出して、地図上に平坦性を3段階で表示する。センサーは名刺大のサイズで、サスペンション部とその鉛直上のエンジルーム内など車外の2箇所に結束バンドなどで取り付けたうえで、車内のモジュールに有線で接続する。センサーを上下2箇所に設置するのは、振動の差分によりデータを取得するためである。地図上に舗装状況を表示するためには位置情報と紐づける必要があり、そのデータ出力ができるドライブレコーダーの搭載も必須となっている。


測定装置は車外の2箇所に取り付ける/車内に設置したモジュール

 測定にあたっては、正確性を担保するために一定速度以上で走行する必要がある。車速の上限については法定速度範囲内では問題なく、雨天時や多少の積雪がある路面でも測定可能だ。現在は1車線道路での対応となっており、2車線ではそれぞれの車線を測定しなければならない。また、位置情報を使用して測定データを紐づけているので進行方向の区別ができず、2車線では各車線を同一の車線と見なすケースがある。同社ではこれらの課題に対して、「今後、システム対応できるように検討していきたい」という。
 測定データはPC経由でクラウドにアップロードし、同社がデータを加工した後にシステムに反映される。通信環境の問題などでそのような形をとっているが、今後は「データを測定装置からシステムに直接アップロードすることを目指している」(同社)という。
 舗装路面の平坦性を現す評価指数の一つである国際ラフネス指数(IRI)をもとに数値化されたデータは、PC上で診断区分に応じて区分Ⅰ(健全)ならば緑色、区分Ⅱ(表層機能保持段階)ならば黄色、区分Ⅲ(修繕段階)ならば赤色と表示されるので、計測を行った路面の状況を視覚的に把握できる。診断区分ごとの抽出や住所表示も可能なため、管理も容易だ。管理総延長のうち各診断区分の延長を集計、出力できる機能も実装予定となっていて、点検結果の集計作業における効率化も図れるようになる。


測定データが診断区分ごとに色分けして表示される

 本システムでは、日常点検記録機能や点検記録管理機能をカスタマイズにより付与できるようになっている。日常点検記録機能は、撮影した写真をシステムにアップロードすると写真が地図に反映されるもので、管理部門内での情報共有に役立つ。点検記録管理機能は、写真を登録した地点にPDF化した点検記録を登録することにより、場所と点検記録を紐づけてシステム上で管理できるものだ。


点検写真のアップロードや点検記録管理のカスタマイズ機能も用意されている

 同社では今後も、共同開発を行った北見工業大学地域未来デザイン工学科社会インフラ工学コースの富山和也准教授とともに、システムのブラッシュアップと管理実態やニーズに合わせたカスタマイズを行っていく予定だ。

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