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厚労省 通達「剥離剤を使用した塗料の剥離作業における労働災害防止について」を一部改正

公開日:2021.12.28

 厚生労働省は12月22日、通達「剥離剤を使用した塗料の剥離作業における労働災害防止について」を一部改正した(基安化発1222第2号)。主な改正点はその前の7月5日に出した通達中に表記していたサンドブラスト工法やパルスレーザー照射機器を用いた工法(以下、「パルスレーザー工法」)の各工法に係るばく露防止対策の記述を本文から全て削除し、その代わりに「厚生労働省ホームページで掲げる工法を用いる場合は、同ホームページに掲げるばく露防止対策を講じるよう留意すること」とし、該当箇所を全て同ホームページに移した(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149924.html)点だ。7月5日に出した通達「剥離剤を使用した塗料の剥離作業における労働災害防止について」(基安化発0705第1号)では、塗膜剥離剤成分中に含まれるベンジルアルコールについて令和3年1月1日からラベル表示、SDS交付、リスクアセスメントの実施の対象となっていることに伴い、講ずべき措置を加えた。また、塗膜剥離作業を行いうる工法の一つとして、パルスレーザー工法を新たに加えたが、その根拠となる試験結果(厚生労働省から中央労働災害防止協会に委託した)情報に一部精査すべき情報があったことから同26日から適用を保留にしていた。

 基安化発0705第1号の適用保留後、厚生労働省は、パルスレーザー工法の塗膜剥離現場における作業者に与える影響について改めて確認した。具体的には、パルスレーザー振興協会が別の現場(実際に鋼橋の塗膜剥離を行っている現場)で複数の工法と比較できるように測定した結果(厚生労働省都道府県労働局に登録されている作業環境測定機関が測定)、「作業環境測定や個人ばく露測定、施工面積当たりの発生量などについて測定した結果、パルスレーザー工法のカバーありについて、他の塗膜剥離工法と同程度以下の結果が得られたため、塗膜剥離工法の選択肢の一つとして記載した」(同省)ものだ。

 本文外では厚生労働省ホームページに、サンドブラスト工法とパルスレーザー照射機器を用いた工法について、それぞれの工法を用いる場合のばく露防止対策を掲げている。
 ここで使われる「サンドブラスト工法」は、今次通達本文中において「第1号の「著しく困難な場合」とは、サンドブラスト工法を用いる場合又は塗布面が鉄製であり、湿らせることにより錆の発生がある場合等をいうこと。このサンドブラスト工法を用いる場合は、高濃度の粉じんばく露による労働者への健康障害を防止するため、有効な呼吸用保護具を労働者に使用させること。」および「平成26年5月30日付け基安化発0530第1号「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」において、「剥離等作業は必ず湿潤化して行うこと。湿潤化が著しく困難な場合は、当該作業環境内で湿潤化した場合と同等程度の粉じん濃度まで低減させる方策を講じた上で作業を実施すること。」をクリアした工法を指す、と読み解ける。

 パルスレーザー工法は、対象母材の表面に高ピークパワーパルス発振レーザーを照射して発生させたプラズマにより、対象表面の汚染物を気化、粒子化させ、独自システムにより即時に回収する手法。
工法ごとの暴露防止対策(厚労省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149924.html)より抜粋

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