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下塗り1回、中・上塗り1回で工期短縮とコスト削減に寄与

関西ペイント 省工程重防食塗装システムが新設橋でも採用開始

公開日:2021.10.12

 関西ペイントの省工程重防食塗装システムが新設橋の桁塗装で採用され始めている。これまで省工程塗装は塗替え分野での採用が主で40橋以上の実績があり、一部の新設部材などにも適用されてきたが、高速道路会社の鋼桁架替工事の架替桁塗装で2020年度に新設桁として初採用された。さらに、高速道路会社の架替桁塗装で1橋(43,000m2)、地方自治体の新設橋梁で1橋(16,000m2)の採用が決定した。(※右肩写真:省工程塗装が採用された鋼桁架替工事での架替桁。井手迫瑞樹撮影)
 同システムは元来、鋼橋塗装塗替え用として開発されたもので、関西ペイントでは補修塗装の使い分けにより「ユニティーモ」と「リバイブ工法」の2工法を展開。従来工法では下塗り2回、中・上塗り各1回が必要だったものが、両工法は、下塗りが1回、中・上塗りが中塗・上塗兼用塗料を用いることにより1回で完了することができ、省工程を実現したことが特徴だ。新設橋の桁塗装では、本工法の下塗塗料や中塗・上塗兼用塗料を使用することで製作工期の短縮とコスト削減を図ることができる。
「ユニティーモ」「リバイブ工法」では、下塗りは低VOC・弱溶剤厚膜変性エポキシ樹脂系さび止め塗料「エスコNBマイルドH」を使用し、規定の変性エポキシ樹脂塗料では60μm×2回塗りだったものを120μm×1回塗りとすることができる。
 中・上塗りではシリコン変性エポキシ樹脂系中塗・上塗兼用塗料「ユニテクト30SF」を使用。規定のふっ素樹脂塗料の塗装系では中塗り30μm、上塗り25μmの2回塗り(現行Rc-Ⅰ塗装系など)が必要だったが、「ユニテクト30SF」は55μm×1回塗りとすることができる。


リバイブ工法と現行Rc-Ⅲ塗装系の比較

 同塗料は、エポキシ樹脂塗料(JIS K 5551)とピュアシリコン樹脂系塗料の機能を合体させたもので、厚膜を形成する過程でエポキシ樹脂が素材側に、シリコンが表層側に移動することで、ふっ素樹脂系塗料と同等の耐候性を実現している。「JIS K 5659:2018鋼構造物用耐候性塗料A種上塗1級」も取得済みだ。防食性に関してもJIS K 5551の性能評価を日本塗料検査協会で検証済みであり、単なる厚膜タイプの塗料ではなく中塗の環境遮断能と上塗の高耐候性を兼ね備えた中塗・上塗兼用塗料となる。
 なお、塗装塗替えでは「ユニティーモ」は補修塗りがエポキシ樹脂のタッチアップでRc-Ⅲ塗装系相当を実現、「リバイブ工法」がブラスト面形成動力工具と有機ジンクリッチペイントとのタッチアップとすることでRc-Ⅰ塗装系相当を実現する。
 関西ペイントでは、「新設橋での問い合わせが増えてきており、工期とコスト面で貢献できる本システムを発注者様や施工者様に広く提案していきたい」としている。

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