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架設時重量は3419t FC船『武蔵』の定格荷重の9割を超える

国土交通省徳島河川国道 新町川橋左岸の架設が完了

公開日:2020.10.20

 国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所は、18日、四国横断自動車道徳島沖洲IC~徳島津田IC間の新町川渡河部に建設を進めている新町川橋の第2回桁架設を行った。4ブロック中3ブロックの吊荷重が3,000tを超えていることから、FC船は深田サルベージ建設の「武蔵」(定格荷重3,700t)および寄神建設の「海翔」(同4,100t)を採用した。武蔵が今回を含めた3回分、海翔は最終ブロックの架設を担当する。


前日の玉掛け作業完了状況(南海フェリーより井手迫瑞樹撮影)

第2ブロック架設前の左岸側側径間(南海フェリーより井手迫瑞樹撮影)

 同橋は、橋長500m、総幅員の28.64mの鋼3径間連続箱桁橋。支間長は側径間が123.5m、中央径間が250mとなっている。全長を4ブロックに分けて施工する予定で、既に1回目のブロックは架設しており、今回が2回目の架設となる。
 1回目は左岸側P1~J2間ブロック長13.056m、治具などを含めた架設時のブロック重量245t(鋼桁の純重量は230t)、2回目となる今回はJ2~J16(P2を超えて少し中央径間側へ張り出す部分がある)間156.058m、3,419t(同2,830t)を架設した。さらに、10月下旬に予定されている3回目は右岸側のJ25~P4間169.06m、3,259t(同3,040t)、12月に予定されている、中央ブロックの最終架設はJ16~J25間160.875m、3,463t(同2,900t)を施工する。

 当初、左岸側の1、2回目のブロックは2つに分けず、一括で架設し、合計3回の架設という計画であった。しかし、FC船が入るため浚渫した際(本工事とは別発注)に、旧護岸の積石部分が阻害要因となり予定通りの浚渫が困難となり、FC船が架設に必要な場所まで近づけないことが分かった。そのため、ブロックを小ブロックと大ブロックに分けて架設したもの。そのため、左岸には橋脚とベントにより2つの受け点があり、ベントも通常と異なり一部斜ベントを使っている。

 18日に施工した2ブロック目の重量は桁重量に比べて、架設時の重量が400tほど重くなっている。これはJ16側には390tのカウンターウェイトを用意しているためだ。カウンターウェイトは架設ブロックの重心位置を中央径間側へずらすことでFC船の位置が、事前に浚渫した範囲に収まる様にするため用いた。

 桁の部材製作は、横河ブリッジの大阪工場(堺市)で行ったが、地組ヤードが不足している関係から、地組は北九州市若松区の日鉄鋼構造で行い、浜出しした。そして新町川右岸から2kmほど離れた箇所に停泊し、前日(17日)にFC船の玉掛け作業を終え、18日の当日4時15分から桁の吊上げ作業を開始、6時前には所定の高さまで吊上げを完了し、6時過ぎに架設地への吊曳航(距離約2km)を開始し、7時過ぎには新町川橋の架設地下流に姿を現した。新町川橋上流に南海フェリーなどのフェリー乗り場があるため、その入出港に配慮しながら8時前後に前進を開始、11時ごろにはベントおよびP2上に配置されているジャッキ(P2側に800tジャッキ4台、1,000tジャッキ7台の計11台、左岸ベント上に600tジャッキ3台を配置)及び沓へ荷重を預け終え、FC船側の荷重を開放し、玉掛けを外す作業が始まった。荷重はジャッキと沓に半々の割合で預けているということだ。

まだ暗い時間から作業を開始(井手迫瑞樹撮影)

徐々に吊上げていく(井手迫瑞樹撮影)

吊曳航を開始、フェリーの入出港を待つ(井手迫瑞樹撮影)

フェリー通過後は見る見るうちに前進し、8時半には架設予定地直上にまで移動(井手迫瑞樹撮影)

慎重に桁を降ろしていく(井手迫瑞樹撮影)

ワイヤー1本当たりの定格荷重は925tだ。平均してかかる荷重はこの9割を超える。慎重に施工。
(井手迫瑞樹撮影)

ほぼ収まった状況/荷重をベントや下部工に預けた後、玉掛けを外してFC船は退出した
(井手迫瑞樹撮影)

眉山山頂から見た今回の架設。スケール感が伝わるだろうか。(大塚真紀氏撮影)

 19日からカウンターウェイトを順次開放し、全ウェイトを除去した後に先行架設した端部ブロックと、今回架設したブロック間の全断面溶接を施し、その後端部の高さを所定の位置にまでジャッキダウンする。

 元請は川田工業・横河ブリッジ・エムエムブリッジJV、一次下請は架設工が深田サルベージ建設、河内橋梁、海上輸送工が大新土木、重機工が佐々木運輸機工、ジャッキが大瀧ジャッキ。(2020年10月20日掲載)

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