プレキャスト壁高欄はEQ-WALLを採用
NEXCO東日本 松川橋床版取替工事 場所打ち部を極力少なくし、工程短縮と省力化を図る
東日本高速道路(NEXCO東日本)新潟支社は13日、関越自動車道の水上IC~湯沢IC間に架かる松川橋床版取替工事を報道陣に公開した。同橋は1985年度の供用から33年が経過し、凍結防止剤の散布や車両の大型化などの影響により既設RC床版の下面にひび割れや剥離、上面に土砂化などの損傷が発生していることから、上下線の床版全面7,831m2をプレキャストPC床版(厚さ220mm)に取替える。床版取替工のほか、橋脚の耐震補強、支承取替、桁の連続化なども施工する。
松川橋位置図(NEXCO東日本提供)
全景(手前が水上IC側)
5月17日から終日対面通行規制を実施して施工しているのは、橋長341mの同橋・下り線で、鋼5径間連続鈑桁橋(A1~P5/236.7m)+鋼3径間連続鈑桁橋(P5~A2/104.3m)のうち、A1~P5。終日対面通行規制の期間は7月19日までの64日間の予定となっている。下り線のP5~A2は今年8~11月に、上り線(橋長324m)は来年5~7月と8~11月に施工する予定だ。
A1~P5の床版取替工は、200tオールテレーンクレーン2台を用いてP2~P3中間部付近から両端に向かって撤去・架設する作業を繰り返していく。既設床版はカッターで切断したが、ワイヤーソーで切断した壁高欄も一緒に吊上げ撤去するために、重量が同じになるように2ブロックに分割した。切断にあたっては、同橋の平面線形がA=300~R=580mで、「曲線桁のため、カッター施工の際に測量を行い、鋼桁を傷つけないように苦労した」(元請の三井住友・IHIインフラ建設JV)という。1日あたり1パーティーで平均4枚(8ブロック)を撤去し、翌日にプレキャストPC床版(橋軸方向2.2m×橋軸直角方向11.6m、重量約16t)を同枚数架設していく。全架設枚数は108枚で、製作はIHIインフラ建設滋賀工場で行った。
現場公開当日の床版架設
本工事の特徴のひとつは、工程短縮と現場省力化のために端部と壁高欄もプレキャスト化を図ったことだ。当初計画では、端部(P5は桁連続化のため、橋台側のみ)は場所打ちのPC床版だったが、扇形のプレキャスト床版に変更した。壁高欄には、三井住友建設が開発したプレキャスト壁高欄「EQ-WALL」を採用。鉄筋端部を円錐台状に加工した機械式定着鉄筋(Trunc-head)を使用し、Trunc-headを床版の地覆部に設けた箱抜き孔にモルタル定着させて一体化する構造のため、壁高欄の間詰め部(場所打ち)がなく、工程短縮と省力化を実現する。
EQ-WALL概要図(NEXCO東日本提供)/地覆部の箱抜き孔と継手部のエポキシ樹脂塗装鉄筋
高耐久化の取組みでは、継手部の打設にはく落防止対策としてバルチップを混入したコンクリートを採用したほか、新設PC床版の最外縁および壁高欄、継手部の鉄筋にエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用している。また、伸縮装置の後打ちコンクリート部には、圧縮強度130N/mm2の超緻密高強度繊維補強コンクリート「J-ティフコム」を採用する。
元請は、三井住友建設・IHIインフラ建設JV。協力会社は、国土(クレーン・架設工)など。
(2019年6月18日掲載。詳細は後日、「現場を巡る」コーナーで掲載予定です)