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大規模更新工事第一弾 跨道橋(管内980橋)の補修補強も今後対処

NEXCO中日本 用宗高架橋を現場公開

公開日:2016.05.30

 中日本高速道路は23日、大規模更新・大規模修繕事業の第一弾工事として東名高速道路の用宗高架橋下り線(鋼鈑桁、施工区間はP7~A2間72㍍)における床版取替工事の現場を公開した。宮池克人・代表取締役CEOは「30年以上経過している区間が6割に達しており、老朽化が進んでいる。また、大型車の交通量の増加、過積載、凍結防止剤の散布が痛みを加速させている。アメリカでは『荒廃するアメリカ』が1980年代に問題となったが、「日本もそのようにしてはならない」と述べた。
 今後、2015年度からの5年間で約2000億円、6~10年目で約4000億円、11~15年目で約4000億円、総計1兆円程度をかけて橋梁・トンネル・土工部の大規模更新・大規模修繕を行っていく方針だ。
 また、質疑応答では熊本地震についても言及。「本体橋の落橋防止装置の設置をさらに進めるとともに、跨道橋や法面の補強も行っていく必要がある」(宮池社長)とした。跨道橋は同社全体で980橋あるが、多くを自治体が保有しているが、「老朽化については共通の認識があり、より(傷みが)進んでいる箇所から先手を打って施工していきたい」(同)と話した。

合理化継手を用いて床版厚を薄く
 プレキャストPC床版・壁高欄で施工期間を短縮

 今回、床版を取り替える用宗高架橋の当該区間は、供用時(1969年)にグレーチング床版(170㍉厚)であったものを、その10年後に張出床版部を除く部分を200㍉のグレーチング床版、張出床版部を30㍉増厚するかたちに取替、および補修した。しかし、損傷が進んでいるため、今回200㍉のPC床版に取り替えているもの。取り替えに当たっては、現場施工期間短縮のためプレキャストPC床版およびプレキャストRC壁高欄を採用している。また、継手部の鉄筋にはエポキシ樹脂被覆鉄筋を採用するとともに、間詰めコンクリートは膨張剤およびポリプロピレン短繊維「バルチップ」を用いることで、継手部からの(ひび割れから凍結防止剤を含んだ水が入ることなどによる)損傷が起きないよう対処している。なおバルチップは剥落防止対策も兼ねて、床版本体にも混入させている。
 また、継手は従来のループ鉄筋方式ではなく、合理化継手方式を採用することで、継手部の厚み、ひいては床版全体の厚みを200㍉(従来は240㍉)に抑えている。防水工はグレードⅡ(高性能床版防水)を採用する予定だ。(6月16日に詳細を「現場を巡る」でお伝えします)

既設床版の撤去状況

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