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長瀬産業と京都マテリアルズ 腐食減量率は通常鋼材および裸使用耐候性鋼材に比べて著しく低い

防食性の高いさび「patina」を形成する「パティーナロック」を開発

公開日:2015.08.06

 長瀬産業と京都マテリアルズは、鋼橋や各種プラントなどの鋼材表面に塗布するだけで、防食性の高いさび”patina”(α-FeOOH、ゲーサイト等で構成)を形成し、構造物を保護する反応性塗料「Pat!naLock(パティーナロック)」を開発、現在までに発電所などのプラント維持管理などで10件以上の実績を上げている。今後は鋼橋など公共社会インフラ分野にも拡大を図っていく。

実施工例 (左)プラント/(右)送電線
 Pat!naLock-Fはブチラール樹脂系を主とした反応性塗料で、鋼材表面に塗布することで、Feと反応し、”patina”を形成、塩分など腐食因子の侵入を妨げることができる。平均量1.0mddの飛来塩分量を記録する福井県小浜市の海岸で10年間試験暴露しているが、腐食減量率は通常鋼材および裸使用耐候性鋼材に比べて著しく低い値を示している。具体的には15μ程度の塗料を2回塗りすることで、その塗膜内の有効成分が鋼材から溶出するFeイオンと大気中の水、酸素を反応させ数十μm程度の”patina”を形成する。使用する鋼材は通常のもので良いため、耐候性鋼材に比べ、新設時の材料コストを大きく低減できる。

腐食減量データプロット
 また、Pat!naLock-ZeroおよびPat!naLock-Galva、Pat!naLock-上塗からなる塗装システムもラインナップする。既存さび層がある場合に適用するZeroは、F同様ブチラール樹脂系塗料を用いた反応性素地調整材で、既存のさび層に浸透し、反応性塗料を鋼材下地まで到達させうる性能を有しており、到達した塗料は既存のさび層を包含する形で”patina”を形成、塗装に必要な付着力を作り出す。Galvaはこの上から塗布する下塗り相当のエポキシ樹脂系反応性塗料。塗料内には少量の反応性物質と亜鉛が入っており、亜鉛の犠牲防食作用により鉄の溶解量を抑制しつつ、反応性塗料により鋼材との間に薄いさび層(「不動態的な薄膜層」(京都マテリアルズ・山下正人社長))を形成し、防食性能を向上させている。
 これに調色可能なふっ素樹脂またはウレタン樹脂を塗装することで、景観性も確保できる。新設、既設構造物に適用可能である。
 既設構造物仕様の防食性能は「鋼道路橋防食便覧における重防食塗装相当」(同)としている。(井手迫瑞樹)

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