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特殊コンクリートを1日1~15立方㍍機動的に供給

太平洋マテリアル 小規模な補修補強に適したシステム開発

公開日:2014.12.01

 太平洋マテリアルは、 1日1~15立方㍍の特殊コンクリートを現場で機動的に製造供給できるシステムを開発した。製造システムは規模や用途に応じ、現場ミキサーと材料供給方法を選択することで、一般的には困難だった小規模な特殊コンクリートの供給を可能にした。対象となる特殊コンクリートは同社の速硬性コンクリート混和材「Facet」を中心に、機能性を高めたラテックス改質コンクリート、低収縮コンクリート、水中不分離コンクリートなど多様化する要望に応じることができ、補修工事を主な用途としている。
 太平洋マテリアルは材料および機械設備の面から供給システムを開発した。具体的には、材料はセメントと砂、砂利を予め一つの袋(フレコンバッグ)に配合したドライミックス(ドライミックス事業協同組合)を現場でコンクリートミキサーに投入し、水や各種混和材と混練するだけで現場供給できる。ドライミックスは小規模でも用途や性能に応じ、配合設計や使用材料が選択できるため、低コストで高性能かつ多機能なコンクリートの製造が可能となる。

           ドライミックスの投入と攪拌
 製造ミキサーは、小規模な補修工事等1~3立方㍍程度なら、汎用的なコンパクトミキサー、 5~15立方㍍は中型ミキサーによる製造が適している。同社では国内では中型ミキサーで機動的なものが無かったため、イタリアのメタルガランテ社製(輸入販売元=太陽工業)の四輪駆動自力投入式コンクリートプラント車「CARMIX」を購入した。これは、高速道路などの高架橋の床版補修補強やコンクリート舗装、橋脚の補強が個所あたり施工量は少ないものの、長大な区間に点在するケースが多くあり、従来のミキサーでは機能的・機動的に対応できないことから、自走式の「CARMIX」を採用したもの。
 「CARMIX」シリーズは用途に応じて速度、攪拌ユニットとも様々なタイプを有するが、今回のシステムでは最も小型の「CARMIX ONE」(ドラム容量1,400㍑、1パッチ当たりのコンクリート実製造量1立方㍍)を採用している。同車の魅力は油圧系統と水供給。油圧はエンジンおよび各種駆動系(ショベルや水供給用ポンプなど)とも同一の油圧で動かしているため、シンプルかつ壊れにくい。また、コンクリート製造に必要な水も230㍑までなら内蔵タンクに貯蔵できる。また悪路や勾配がきつい個所(35°まで)でも運用可能で、実際に国連の平和維持活動などの現場でも活用されている。

                            CARMIX ONE
 既に、同システムでは既に高速道路や一般道路、鉄道関係の橋梁で実績があり、プレキャスト床版の間詰めコンクリートや桁端部の連結コンクリート、床版上面の断面修復用コンクリート、河川内橋脚の耐震補強用水中不分離コンクリートを打設するため、据え付けを必要とせず補修が必要な現場近傍で適時にコンクリートが製造、打設できるシステムが求められており、そのようなニーズに対応ができる。
 太平洋マテリアルは、自治体を中心とした中小橋の長寿命化修繕工事やコンクリート舗装工事、各高速道路会社・公社の大規模更新・大規模修繕などを中心とした市場にこの新しいシステムを提案していく方針だ。(井手迫瑞樹)

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