道路構造物ジャーナルNET

7年後に売上300億円目指す

富士ピー・エス 伸び代は保全と建築

株式会社富士ピー・エス
代表取締役社長

菅野 昇孝

公開日:2016.01.16

建築分野は大いに伸び代がある
 建築分野のPC造の拡大目指す

 ――現在も売上の35%を建築分野が占めていますがその拡充は
 菅野 建築分野は期待しています。総投資額としては土木同様それ程伸びないとは考えていますが、土木と決定的に違うのは、プレストレストコンクリートの技術がそんなに普及しておらず、ある意味伸び代があるからです。現在はRC造かS造がほとんどです。PCが普及していないのは我々の目が土木ばかりに向いていたからと思っています。当社は38年前にハーフスラブの開発に着手し、現在まで展開してきています。当社が工場を閉鎖することなく維持・拡大できているのは建築製品(工場生産の8割近くを占める)を生産しているからです。私は今後も建築におけるPCのシェアを拡大していくことは難しくないと考えています。


建築分野の施工例

FR板施工例

 そのためにはPCプレキャスト製品の良さを伝えることのできるプレゼン能力を磨かなくてはなりません。そのためには設計力及びデザイン力を身につけることが必須です。建築については300億円達成時に120億円、約4割を担うようにしたいと考えています。当社のプレキャストPC製品とりわけハーフスラブは、他社の同種の製品に対して、約半分の製造労務人工とすることができます。機械化を推し進め、自動製造に近い形にしているためです。
 話しは高速道路の大規模更新事業に戻りますがそういう合理化をプレキャストPC床版でもやることで競争に勝ち残っていきたいと考えています。ただプレキャストPC床版は工事が付いてきます。現場での工事をいかに素早く合理的に行うか、撤去も含めて、製作、架設までパッケージ化して効果的なプレゼンが出来るかどうかで成否は大きく変わっていくと思います。なお、プレキャストパネルを用いた床版の取替は、当社が府内大橋(国道10号、大分県)で行ったのが最初のはずです。


床版取替え施工例

 ――プレキャストパネルは継手構造が競争の核の1つになっています。同業他社は継手を工夫することで床版厚を増やさないようにし、コスト縮減を図っていますが、御社は
 菅野 当然、開発を進めています。但し程度の差はあれ、各社ともそうした個別の要素技術は似たものを有しているのではないでしょうか。今後はそうした技術を系統立てて分かりやすく1つのパッケージとして示すことが必要なのだと思います。勝負どころですね。

SIBIE法を研究――グラウトの充填調査――

 ――ほか代表的な独自技術は
 菅野 1つはPC用高強度フライアッシュコンクリートがあります。同コンクリートは塩害やASRに対して高い耐力を示しており、塩害環境下における構造物の建設に適しています。
 また、最近課題となっているPCグラウト充填不良箇所の調査方法としてSIBIE法(インパクトエコー法の画像化手法)を用いたPCグラウトの充填調査法を熊本大学の大津政康教授と共同研究しています。
 建築ではパラレル工法やスマイルパラレル工法の採用を推し進めていきたいと考えております。学校の耐震は一段落し、現在は大規模団地の耐震補強で採用事例が増えています(左写真)。都営団地や横浜市営団地、大阪府営団地など多くの物件で使われています。利点としては、オール外付けで居室中に全く部材が入らないこと(住みながら補強できる)、振動、騒音、粉塵も少ない利点があります。

  また、同じく建築耐震ですが「免震+PCaPC工法(柱・梁圧着接合)」(右写真)があります。
 福岡市内の情報通信棟など重要インフラで採用事例が増えている工法で、免震ブロック以下全てプレキャスト部材を用いて、PC鋼線やPC鋼棒を用いて圧着接合、グラウト注入しています。こういうものを手がけていきたいと考えています。

源太橋で田中賞受賞――保全分野の事業拡大に弾み――
 筑後川渡河部 神代橋の架替え進む

 ――最近、施工している案件で印象的な現場は
 菅野 補修補強で初だと思うのですが、土木学会田中賞を受賞した鳥取県発注の「源太橋」耐震補強工事(左写真)があります。同橋は様々な理由で河川内基礎の補強ができず、下部工の補強を最小限にしなくてはならないことからゲルバーの吊桁を鋼製部材とし、補強材も炭素繊維プレートを用いるなど補強による重量増を避けながら耐震補強を図る画期的な手法が評価されました。
 最近の新設橋では福岡県発注の神代橋(右写真)があります。橋長390㍍のPC5径間連続箱桁橋です。主要地方道久留米筑紫野線の筑後川渡河部に架かる橋梁の架替えで、現在上部工の架設が進んでいます。

 ――海外事業などは
 菅野 海外事業は、これまで台湾、キルギス共和国、ベトナムなどで手掛けてきていますが、昨年ミャンマーに現地法人を立ち上げたのを契機に中長期的に進めていきます。
 また、人材確保、育成の一環として、3年前に設立したFPSセイフティー事業協同組合を通じて協力会社に研修生を斡旋するとともに当社正社員として技術者を定期採用しています。
 ――ありがとうございました

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