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インタビュー詳細

床版取替、高性能床版防水関連、PC鋼材の非破壊検査など

NEXCO各種要領の平成27年度改訂詳細

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長
広瀬 剛 氏

延長床版システムのL2照査を義務付け

 ――延長床版システムの改訂点について

 広瀬 延長床版システムは様々な効果を発揮しますが、その反面、橋梁の死荷重を増加させるというデメリットがあります。それは当然、地震時とりわけL2地震時において橋梁全体に影響を与えます。

そのため橋梁建設編に、延長床版システムを設置した場合に、レベル2地震時における橋梁全体の挙動へ与える影響について照査を義務付けることを追記しました。


 ――具体的にはどのように対策を施すのですか

 広瀬 現在は、延長床版を採用した時にパラペットの前面の一部が剥がれ落ちる現象が生じることがあります。

 パラペット部の直上の延長床版は、現在の構造では底版が下に敷かれており、その上に亜鉛めっき塗装した鋼板、次いで一番上に延長床版があるわけですが、その底版とパラペットの角が(温度変化による桁の伸縮によって)当たって、引き剥がされることを繰り返す状況になっていました。それによって底版と延長床版が動き、パラペット前面のコンクリートが剥がされるような事象が少しあったものですから、あまり底版と延長床版との間の摩擦係数が大きすぎると、こうした問題を助長することから、もう少し滑りやすくすれば良いのではないかと考えました。

 それで亜鉛めっき鋼板の代わりにクロロプレンゴム製の板を配置すれば、摩擦係数を緩和できることは分かりました。こうした成果はNEXCO総研の技術資料としてとりまとめています。


検査路にFRP仕様を追加

 鋼部材同様に塗装し紫外線劣化を防止

 ――他には

 広瀬 付属物関連ですが、検査路にFRP製検査路の仕様を追加しました。

 点検の基準が昨年度から大きく変更され、近接目視と打音検査が基本となったため、検査路新設の必要性が増しています。そうした事態に対応するため、重くて耐久性も劣る鋼製検査路ではなく、軽くて耐久性の高いFRP検査路を選択できる対象にラインナップしたということです。


 ――FRPは軽量である反面、剛性が低く撓み易いという性状を有します。また、高い防食性を有しますが、紫外線による劣化に弱いという側面もあります。それへの対策は

 広瀬 構造的には径間長を短く設定することでたわみに対応します。紫外線に対しては、鋼部材同様に塗装(フッ素樹脂トップコート)することで対応する方針です。


2および3種ケレンにブラスト面形成動力工具の使用を追加

 塗膜除去工法についても2年間でまとめる方針

 ――厚生労働省および国土交通省の平成26年5月30日付文書(鉛・クロム含有既存塗膜に対する健康被害を防ぐため塗膜除去の際、湿式処理の徹底を骨子とした文書)を受けて、今後どのように対応していきますか

 広瀬 今回の変更では、2種および3種ケレンを行う際にブラスト面形成動力工具の使用を追加しています。これは従来、標準工法としていたディスクサンダーによるケレンが、凹み部に錆が残り、塗膜の耐久性に悪影響を与える事象があったためです。具体的には「構造物施工管理要領」に標記を追加しています。


 また、塗膜除去方法の策定も喫緊の課題として捉えております。今次の改定では、「設計要領第二集橋梁保全編」に有害物資含有塗料の除去に関する留意事項をフロー図入りで追加するに留めましたが、平成27年度からの2年間で、塗膜剥離材やRPR工法、金属系ブラスト工法、その他の工法について、作業安全性、塗替え塗膜の品質確保に留意しながら、長所、短所をまとめようと考えています。中でもRPR(下写真)には余分な廃棄物がほとんど出ないと聞いており、注目しています。


RPRを用いた塗膜剥離


 ――そもそも塗膜剥離材その他の工法は、塗膜除去に従事する作業者の安全性(鉛の体内蓄積防止など)を考慮して導入された手法です。RPRであっても塗膜剥離剤であっても、最終的には錆の除去やアンカーパターンをつけるためにはブラストが必要になります。NEXCO総研としてはそうした作業者の安全性向上の観点から何かを示すことはありませんか

 広瀬 組み合わせだと考えています。RPRのようなものを使用してだいたい剥がして、最後にはブラストが必要であることは間違いないと思います。そうしないと完全に剥離できないし、塗り替え塗膜の品質も確保できませんから。

 ――もう一つ質問です。ブラストを使う際は、どうしても粉塵濃度が高まってしまうわけですが、作業者の安全確保まで踏み込む考えはありませんか

 広瀬 無いです。安全性を軽視しているわけではもちろんなくて、我々の各要領では、あくまで施工した構造物の品質確保が主眼であるからです。今次の改定では、「設計要領第二集橋梁保全編」や「構造物施工管理要領」に有害物資含有塗料の除去に関する法令に基づいた留意事項を追記しておりますが、運用の仕方として、各地の労働基準監督署の指導に従って工法を選定し、施工していけば良いのではないかと考えています。