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宇治田原トンネルは2班増の4班体制で掘削

2023年新春インタビュー③ NEXCO西日本 新名神京都 本線工事を全面展開、橋梁上部工工事も進展

西日本高速道路株式会社
関西支社
新名神京都事務所
所長

松本 崇

公開日:2023.01.01

 NEXCO西日本関西支社新名神京都事務所は、新名神高速道路大津JCT~城陽JCT・IC間のうち、京都府内の12.9㎞の建設事業と名神高速道路京都南JCTの新設工事、京都縦貫自動車道の料金所設置事業を担当している。新名神の建設事業は6車線化対応や周辺事業との調整などの課題に対処しながら工事が進められている。その現状について松本崇所長に聞いた。※建設中・計画中の構造物、JCT、ICはすべて仮称です。

構造物比率は橋梁31%、トンネル15%
 竣工済み工事は11件 施工中工事が22件

 ――管内の概要から
 松本所長 当事務所は、新名神高速道路大津JCT~城陽JCT・IC間のうち、京都府内の12.9㎞の建設事業を担当しているのに加え、名神高速道路京都南JCTの新設工事と京都縦貫自動車道の料金所設置事業を担当しています。
 新名神高速道路の大津~城陽・八幡~高槻区間は、道路公団民営化前の2003年に抜本的見直し区間とされ、9年間にわたり事業が凍結されていましたが、2012年に改めて暫定4車線で事業を再開しました。その後、物流の増大や新東名高速道路の6車線化などの世の中の流れがあり、2020年3月には6車線化の事業許可をいただきました。それまでは暫定4車線で設計を進めてきましたので、6車線化対応するために設計を見直して、間に合う箇所は極力、6車線で建設するという方針のもと事業を推進しています。


新名神高速道路全体事業状況/新名神京都事務所の担当事業(NEXCO西日本関西支社提供。以下、同)

 地形的には、新名神大津事務所が担当する滋賀県内は山岳地帯ですが、京都府内に入ると宇治田原ICまでが中山間地域で、宇治田原ICから城陽スマートICまでが丘陵地帯、そこから城陽JCT・ICに向けて平野部で市街地に入っていきます。
 ――構造物比率は
 松本 橋梁区間は約4km(31%)、トンネルは宇治田原トンネルの1本で約1.9km(15%)、土工区間が約7km(54%)となっており、構造物比率は46%です。丘陵地帯を中心に切土と盛土区間があり、市街地は高架橋構造となっているのが特徴です。
 ――事業の進捗状況は
 松本 用地取得率は99%で、残り1件のみとなっています。工事は施工中が22件あり、竣工済みが11件です。舗装工事や施設関係の工事を除き、すべて発注済みで本線工事を全面展開しています。


大津JCT~城陽JCT・IC(京都府域)概要図
大津JCT~城陽JCT・IC(京都府域) 工事状況(2022年9月1日時点)

建設担当区間の周辺で複数の事業が施工・計画
 国道24号拡幅工事との並行区間は約2kmに達する

 ――6車線化対応以外で事業全体を通して課題になっていることはありますか
 松本 当事業区間の周辺ではさまざまな事業が施工・計画されており、それらとの綿密な事業調整が必要となっています。


事業区間の周辺ではさまざまな事業が施工・計画されている

 市街地ではJR奈良線の東側から城陽JCT・IC間に架かる総延長約2.8kmの城陽高架橋を建設していますが、それと並行して国土交通省による国道24号寺田拡幅という事業が行われています。城陽高架橋の北側にある現道2車線を下り線2車線に改良し、南側に新たに上り線2車線を整備するものです。その間で城陽高架橋の施工をしていますので、工事が錯綜しヤードも限られています。国土交通省との調整を日々しながら、約2kmに達する並行区間の工事を進めています。
 国道24号拡幅工事の東側から宇治田原ICにかけては、京都府の一般府道山城総合運動公園城陽線(城陽橋)と城陽市の(都)東部丘陵線の事業が新名神高速道路と並行して展開されています。架設などで制限が生じることから、ここでも細かな調整をしていかなければなりません。さらに、城陽スマートICのすぐ横には京都城陽アウトレットが、また、宇治田原ICと直結する青谷地区基幹物流施設が計画されていることから、その事業調整も行っています。

宇治田原第一高架橋 鋼床版に変更して軽量化を図り6車線化対応
 府道と町道交差部上空の架設は2台のクレーンで桁をリレーして施工

 ――構造物の詳細について
 松本 府県境側からですと、宇治田原第一高架橋があります。上り線が橋長275.5mの6径間連続鋼床版箱桁橋、下り線が同294.5mの5径間連続鋼床版箱桁橋で、西側は宇治田原トンネルの東坑口に近接しています。
 同橋は暫定4車線での設計となっていたこともあり、上部工を鈑桁、PC床版を前提として下部工工事を行いました。6車線化の事業許可後、それに対応するための検討を行い、床版を鋼床版に変更して軽量化することで、構築した下部工を補強することなく構造的に成立させたことが特徴となっています。
 ――進捗状況は
 松本 2022年11月に上下線の主桁架設が完了し、鋼床版の架設準備をしています。


宇治田原第一高架橋と宇治田原トンネル東坑口

宇治田原第一高架橋 施工状況

宇治田原第一高架橋での6車線化対応

 ――桁架設はどのように行ったのですか
 松本 550t吊オールテレーンクレーンで架設しています。特徴的だったのは、宇治田原トンネル東坑口側の上り線P5~A2、下り線P4~A2の桁架設です。両径間は府道783号と町道の交差部にあたるため、府道を夜間通行止め、町道を終日通行止めにして施工しましたが、2台の550t吊オールテレーンクレーンを用いる架設方法を採用しました。
 その方法は、上下線間の地組ヤードに配置したクレーンで吊上げた桁ブロックを一旦府道上に仮置きして、町道上に配置したもう1台のクレーンでその桁ブロックを吊上げ、さらに地組ヤードのクレーンが次の桁ブロックを吊上げて、2台のクレーンが桁ブロックを吊上げた状態で高所作業車を用いて添接して架設を完了させるというものでした。まさに桁ブロックをリレーのバトンを渡すように架設していきました。


上り線P5~A2・下り線P4~A2の桁架設ステップ/下り線G2桁の架設図
架設状況

 府道の交通量が多く、通行止め期間を最小限にするためと、地組ヤードの550t吊クレーンではブーム長が足りなかったため、そのような方法を取りましたが、1夜間で府道上にサンドルを組立て、桁仮置き、架設、サンドル解体まで行い、14夜間で両径間の架設を完了しました。それ以外の径間は昼間に施工しています。


橋梁一覧表①(拡大してご覧ください)

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