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日本海沿いの帆掛橋2号橋では塩害による深刻な損傷が発生

島根県 新設事業から保全事業に約20億円の予算を移し老朽化対策を強力に推進

島根県
土木部
道路維持課長

渡部 文明 氏

公開日:2021.07.30

 島根県は、2,751橋の橋梁と194本のトンネルを管理している。供用から50年以上経過している橋梁が全体の約3割を占める現状の中で、1巡目点検でⅢ判定となった橋梁214橋については2023年度までの対策完了を目指して事業を推進中だ。塩害やASRに対する対策事例などを含め、同県の保全への取組みについて、土木部道路維持課長の渡部文明氏に聞いた。

橋梁2,751橋、トンネル194本を管理
 RC橋とPC橋が全体の約7割を占める

 ――管理橋梁数と内訳からお願いします。
 渡部課長 2020年度末現在、2,751橋を管理しています。橋種別では鋼橋419橋(15%)、RC橋999橋(36%)、PC橋が1,001橋(37%)、混合橋10橋、その他322橋(12%)で、RC橋とPC橋がそれぞれ36%、37%と多くなっています。
 供用年次別では、30~40年未満が518橋(19%)と最も多く、次いで40~50年未満が470橋(17%)で、50年以上は808橋で全体の29%を占めています。
 延長別では、100m以上が135橋(5%)、50m以上100m未満が232橋(8%)、30m以上50m未満が295橋(11%)、15m以上30m未満が486橋(18%)、15m未満が1,603橋(58%)です。路線別では国道が632橋、主要地方道が995橋、一般県道が1,124橋です。


橋種別橋梁数と割合/供用年数別橋梁数(島根県提供。以下、注釈なき場合は同)

 ――同様にトンネルについては
 渡部 194本を管理していて、工法別では、在来工法76本(39%)、NATM工法113本(58%)、開削工法5本(3%)となっています。
 供用年次別では橋梁と比較して新しいものが多く、20~30年未満が52本(26%)と最も多く、次いで10~20年未満が44本(23%)で、50年未満が176本で91%を占め、50年以上は9%です。
 延長別では1,000m以上が12本(6%)、100m以上1,000m未満が162本(84%)、100m未満が20本(10%)です。路線別では、国道94本(48%)、主要地方道73本(38%)、一般県道27本となります。


工法別トンネル数と割合/供用年数別トンネル数

 ――比較的新しいトンネルが多い理由は
 渡部 整備事業で県単独事業を加え予算が潤沢に確保できた時期があり、その時トンネルを多く掘削しています。

橋梁のⅢ判定は214橋で2020年度末までに77橋の対策完了
 トンネルはⅢ判定75本のうち52本で対策が完了

 ――橋梁とトンネルの定期点検結果と、それに基づく対策の進捗状況を教えてください
 渡部 橋梁では、2,744橋で1巡目定期点検を実施し、早期修繕が必要なⅢ判定は214橋(8%)でした。Ⅰ判定は1,728橋(63%)、Ⅱ判定は802橋(29%)で、Ⅳ判定はありませんでした。Ⅲ判定の214橋のうち、2020年度末までに77橋の対策が完了しています。率では36%となります。
 トンネルは194本のうちⅢ判定は75本(39%)となっており、Ⅰ判定3本(1%)、Ⅱ判定116本(60%)で、Ⅳ判定はありません。同じく2020年度末までにⅢ判定の69%にあたる52本で対策が完了しています。
 道路付属物等については、94施設に対してⅠ判定29施設(31%)、Ⅱ判定37施設(39%)、Ⅲ判定28施設(30%)、Ⅳ判定なしで、Ⅲ判定のうち17施設で対策済みです。


1巡目定期点検結果

点検結果に基づく対策の進捗状況

 ――橋梁の長寿命化修繕計画に基づく補修・補強の方針がありましたら
 渡部 島根県では2021度以降の道路事業について、新設事業から保全事業に約20億円の予算を移して、老朽化対策などを強力に推進する方針としています。これにあわせて、橋梁の長寿命化修繕計画では1巡目定期点検で早期措置段階と判断された橋梁については、2023年度までに対策を完了することとしています。2巡目定期点検が始まった2020年度以降に早期装置段階となった橋梁については、次回点検までに完了させるという内容に長寿命化修繕計画も変更しています。


今後10年間における道路建設と道路維持の投資イメージ

 ――点検を進めてみての全体的な損傷状況は
 渡部 当県は日本海に面し東西に約200kmと長い海岸線を有している一方、中国山地を背景にした降雪地域も有しています。それぞれ環境が異なり多種多様なので、損傷傾向をつかむことが対策に有効に働くのかという疑問もあり、全体的な傾向は把握していません。
 ――全国的に橋梁では桁端部の漏水による損傷が多くなっていますが、島根県ではそのような事例は発生していませんか
 渡部 桁端部を含め、コンクリート部材のひび割れやうきが多く発生している状況です。仔細に原因を分析したわけではありませんが、被り不足を含む建設時の品質によるものがかなりの割合を占めています。全国的に交通量の多い路線では疲労損傷が発生していますが、島根県では疲労に関係したものはなく、建設時の品質によるものが多いと考えています。
 対策では、断面修復やひび割れ注入が多くなっています。


過去3年間の橋梁補修内容

損傷および対策事例(西郷都万郡線油井谷橋) ひび割れ補修(対策前(左)と対策後(右))

損傷および対策事例(浜田商港線円通寺橋) 断面修復(対策前(左)と対策後(右))

 ――トンネルでは
 渡部 損傷として多く見られているのは覆工のうきで、これも施工時の品質に起因しているものが多いと考えています。剥落防止のために、FRPメッシュでの補修工が多くなっています。国道191号朝倉トンネルでは、FRPネット工を採用して補修を行いました。
 また、工法として避けがたいのですが、在来工法による背面空洞も確認されており、国道485号五箇トンネルなどで、裏込め注入工による対策を行っています。


過去3年間のトンネル補修内容

国道191号朝倉トンネルでの損傷とFRPネット工

国道485号五箇トンネルでの裏込め注入作業

 ――床版の損傷についてはいかがですか
 渡部 被り不足による鉄筋露出が多くなっていて、断面修復を行っています。床版が抜けるほどの土砂化はこれまでに発生していません。
 ――床版防水の施工状況は
 渡部 全体の施工状況は把握していません。2014年度~2019年度末までの5年間では、28橋で防水工を実施しています。

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