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「第3次あいち地震対策アクションプラン」で耐震補強も進める

愛知県 4373橋、60本を管理 長寿命化修繕着々

愛知県
建設部 道路維持課長

山田 哲夫 氏

公開日:2015.11.20

 愛知県は橋梁4,373橋を管理しており、供用年次別では50年超が約3割を占める。トンネルは同様に60本を管理しており、50年以上供用が4割に達する。こうした構造物の維持管理をどのように行っていくのかが大きな課題となっている。また、東日本大震災の教訓や愛知県が直面する南海トラフ巨大地震を想定した被害予測調査結果を踏まえ、県では「第3次あいち地震対策アクションプラン」を作成、耐震補強をさらに強化していく方針で事業を進めている。詳細を山田哲夫道路維持課長に聞いた。(井手迫瑞樹)

比較的建設年次の古いRC橋が多い
 ほぼ1㌔に1か所橋梁

 ――保全について管内橋梁の内訳から
 山田課長 4,373橋を管理しており、橋種でみると鋼橋が14%、PC橋が約2割、RC橋が約6割というシェアになっています。供用年次別では50年超が約3割、40年超~50年未満約2割、30年超~40年未満が約1割となっています。比較的建設年次の古いRC橋が多く、昭和30~40年代のピークを見てもRC橋が多数を占めます。鋼橋やPC橋はピーク後の建設速度がやや鈍った時代からのものが多いようです。


図1 橋種別割合(左)/図2 供用年次別割合(右)

図3 橋梁の延長別割合

 橋長別では50㍍超が9%、うち100㍍超の長大橋が全体の4%となっています。路線別では一般国道で約800橋、主要地方道で約1,300橋、一般県道で約2,300橋となっています。面白いのは各路線ごとの道路延長の比率と一致した数字になっている点でしょうか。ほぼ1㌔に1か所橋梁がある状況です。路線の規格によって橋梁の密度が変わっているということはほぼありません。

トンネルは60箇所を管理
 1,000㍍超のトンネルは5本

 ――同様にトンネルは
 山田 当県が管理するトンネルは現在60か所あります。工種は素掘りが約2割、在来(矢板)工法が約5割、そしてNATMで2割強となっています。供用年次別は50年超が4割と橋梁に比べて高齢化率が高くなっています。トンネルは1955年からの5年間に建設のピークがあり、その後、1989年にNATMを導入してから以降後、長大トンネルの建設が増えています。


図3 トンネルの工種別割合(左)/図4 トンネルの供用年次別割合(右)

表1 供用年次別詳細(左)/グラフ1 供用年次別および工種別詳細グラフ(右)

図5 トンネルの延長別割合

 トンネルが集中しているのは奥三河の山間部、設楽町や新城市などです。今年3月には新東名アクセス道路の一環として本宿トンネルが、6月には国道473号の岩古谷トンネル(延長約1,300㍍)が新たに開通しています。岩古谷トンネルは、並行する古いトンネル(堤石トンネル、供用80年、延長約540㍍)が標高の高い位置にあり、そこまでの平面・縦断線形が悪いことから、線形を改善するためにその下に延長が長いトンネルを抜いたものです。岩古谷トンネルを含めて、1,000㍍超のトンネルは5本あります。次いで500~1,000㍍は5本です。最長のトンネルは豊川市内にある清田トンネル(在来工法)で延長は1,500㍍に達します。
 ――劣化の傾向は
 山田 橋梁の定期点検は平成19年からスタートして23年までの5年間で1巡目の点検を行い、24年に第1回目の橋梁長寿命化修繕計画を策定しています。同時に24年から2度目の点検に着手しましたが、昨年7月に維持修繕に関する省令・告示が施行され、点検の法定化に伴い統一的な基準で点検し、統一的な尺度で健全性を診断する必要が生じました。これにより、点検は近接目視に転換しましたが、私どもとしては、点検の基準をそこでリセットするというのではなく、そのまま継続して方法だけを変えていくイメージでいます。その意味では現在は第2ローテの中間にあります。
また、点検費用については、近接目視、打音検査の原則導入により導入前と比べて1.5倍程度に上がっています。しかし、点検精度は飛躍的に向上しています。ただ、今回お示しする資料は平成24年までの1ローテ目の点検が終わった段階のものです。それによれば、旧基準のE判定(要緊急対策)が623橋あり、次期点検までの5年以内で対策が必要なC判定、詳細調査が必要なS判定を合わせると全体の橋梁の6割に達します。
 E判定損傷の内訳は、橋種別では37%が鋼橋(RC床版も含む)、PC橋33%、RC橋27%、その他3%となっています。これを橋種ごとの橋数で除し、E判定損傷率を見ると、鋼橋が27%、PC橋が18.1%、RC7%、その他4.6%となっており、重大な損傷は必ずしも橋齢によって進むのではなく、橋種や橋種に影響を与える橋長、架設位置や交通量、河口に近い橋であれば上流か下流かなど設置環境が大きく影響するものと考えられます。今後、これらの劣化状況と設置環境の関連について分析していく方針です。
 損傷種類別の発生割合に着目(E判定の623橋ベース)すると、コンクリート部材の「剥離・鉄筋露出」が約4割と最も多く、発生部位は、主構(コンクリート橋の主桁、横桁、床版橋など)、躯体(橋脚、橋台)、床版に多く見られます。次に「鋼部材の腐食」が約3割を占め、発生部位は支承、鋼製高欄、主構の順に多く見られます。また、変形・欠損は約1割を占め、伸縮装置、舗装で発生しています。次いで「コンクリートの浮き」、「路面の凹凸」、「ボルトの緩み・脱落」の順となっています。


グラフ2 橋梁の健全度別割合(平成24年度までの一次点検完了時データ)

グラフ3 E判定橋梁の工種別割合(左)/表2 各工種に占めるE判定の割合(中)/
グラフ4 E判定の損傷種類別発生割合(右)

グラフ5 主なE判定損傷の発生部材割合

愛知県トンネル定期点検要領(案)を策定
 23年度から3カ年で近接目視点検を全トンネルで実施

 ――同様にトンネルの変状について
 山田 平成23年8月に東栄町と豊根村にまたがる国道151号太和金トンネルで背面空洞を起因とした土砂崩落事故(地山から供給される水により空洞が発生し、土圧の緩みで10㍍ぐらいの高さから部分崩落、覆工部も薄かったことから、突き破って崩落した。人的被害はなし)が発生したことから、本県では「愛知県トンネル定期点検要領(案)」を策定し、23年度から25年度までの3年間で近接目視による点検を全トンネルで実施しました。
点検の結果、判定区分3A(早急に要対策)4本、2A(2年以内に対策)11本、A(同5年以内)5本の計20本において、補修を行う必要があると判断し、要対策と判定された全てのトンネルについて、今年度で対策を完了する予定です。


グラフ6 トンネルの劣化状況(左)/表3 損傷区分別定義

 ――具体的にどのような変状があったのでしょうか
 山田 最も多い変状は覆工の浮き・剥離(背面空洞含む)です。12本(損傷トンネルの6割)で確認されました。次いで漏水(5本)、ひび割れ、材質劣化(3本ずつ)となっています。
 背面空洞の対策として、①覆工が外力に対抗するための反力を取れるようにする、②空洞自体の安定対策などを目的として、覆工背面にモルタルなどを注入して固結させ、覆工と地山の密着性を向上させる裏込注入工をトンネル8本で実施しました。
 浮き・剥離、材質劣化については、落下する恐れがある部分を除去するとともに、断面修復工と合わせて防護ネットを設置するなど剥落防止工を11本で実施しました。
 漏水対策として、縦樋や溝切りなどによる導水工、防水板・、防水シート工事を5本で実施しました。
 今後は、トンネルも本県の「道路構造物長寿命化計画」の対象構造物として位置付けているため、同計画のロードマップに基づいて計画的な点検・修繕を推進することとし、今年度から2周目の点検に着手していきます。
 ――やはり在来工法に損傷は集中していたのでしょうか
 山田 NATMと在来工法を比較すると、損傷は在来工法に多く見られます。NATM工法は岩盤と地山の密着度がすぐれており、特に土圧の緩みなどもロックボルトを入れて止めますから、損傷は起きにくいと考えています。但し、NATMで施工したトンネルに変状がないかと言えば、そうではなく漏水や覆工コンクリートの浮き・剥離が生じている箇所もありました。
 そのため、平成27年6月に供用した岩古屋トンネルでは、技術提案によりテレスコピックセントルという、2組のセントルを交互に押していく工法を採用し、型枠の脱型までの期間を延長し養生期間を長くとることにより、コンクリートの品質向上及び覆工コンクリートのひび割れ低減を図っています。


グラフ7 トンネルの変状状況

 ――トンネルの補修にあたっては、規制などが大変だったのではないですか
 山田 太和金トンネルでは、施工上鋼製支保工の設置が必要となりましたので、終日通行止めとせざるを得ず、地域の皆様に大変なご不便をおかけしました。

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