道路構造物ジャーナルNET

福岡高速道路を計画的に保全

20年間630億円の費用をかけて老朽化・予防保全対策

福岡北九州高速道路公社
保全交通部長

羽野 清敏

公開日:2014.12.01

 福岡北九州高速道路は福岡高速道路の5路線56.8㌔と北九州高速道路の5路線49.5㌔を所管している。交通量は一時の減少傾向から回復基調にあり、福岡高速道路は昨年度、過去最高の1日平均交通量17.8万台を記録した。一方で、北九州高速道路は平成20年度までに相当程度リニューアル工事を完了したものの、福岡高速道路は橋梁天端部のひび割れ損傷や一部の鋼橋で溶射被膜の劣化が見られるなどの損傷も起きている。そこで同社は平成24年度から20年間で630億円をかけて福岡高速道路の老朽化対策及び予防保全対策に取り組んでいる。そうした課題を中心に同社保全交通部長の羽野清敏氏に聞いた。 (井手迫瑞樹)

過去最高の17.8万台を記録
福岡高速道路の1日平均交通量

 ――管内の所管地域、路線から
 羽野部長 当社は福岡高速道路の環状線、香椎線、太宰府線、空港線、粕屋線56.8㌔と北九州高速道路の1~5号線49.5㌔を所管しています。各高速の最大断面交通量(年平均トラフィックカウンター交通量)は福岡高速で香椎線箱崎~東浜間の7.7万台、北九州高速は黒崎バイパスの開通による影響もあり4号線大谷~山路間の4.4万台となっています。大型車混入率は平均で14%となっており、特に太宰府線は日量1万台を大きく超えています。平成25年度の全路線の1日平均交通量は福岡高速が17.8万台(過去最高)、北九州高速が8.8万台となっています。


                     福岡高速道路の路線一覧と路線図


                         北九州高速道路の路線一覧と路線図

 ――構造物比率は
 羽野 福岡高速から申しますと、鋼桁が7割強を占めます。次いでコンクリート桁、土工、トンネルの順に続きます。北九州高速は土工が5割弱を占め、次いで鋼桁、コンクリート桁、トンネルの順になっています。コンクリート桁は基本はPC桁です。北九州高速4号線の一部にRC桁が存在します。


                          構造物比率

鋼橋の腐食、コンクリート橋脚のひび割れが散見
福岡高速道路の香椎線が中心

 ――構造物の損傷状況は
 羽野 福岡高速は博多湾沿岸の香椎線を中心に塩害などで鋼橋の腐食、コンクリート橋脚のひび割れ(特に天端部)が生じています。同線は昭和61年の塩分総量規制前に建設された路線であるため内在塩分量が多く含まれており、それが損傷を誘発したのだと考えております。また、交通量が多い太宰府線では大野城~太宰府間でコンクリート床版の劣化など構造物の老朽化が進んでおり、炭素繊維シートのクロス張り補強などで対応しています。なお、福岡高速については平成24年度から20年間630億円の費用をかけて老朽化・予防保全対策に取り組んでいます。


              橋脚天端部のひび割れ損傷(上)、その剥落対策工事(下)

 北九州高速は4号線が最も古く供用後50年以上を経過した区間もありますが、平成15~20年度に大規模補修事業(以下、「リフレッシュ工事」という)を実施しています。その他の号線は損傷数は概ね少ない状況です。

300径間を順次補強
RC床版対策

 ――上部工の補修補強メニューをもう少し具体的に。
 羽野 福岡高速では昭和48年道路橋示方書に準拠して設計した香椎線のコンクリート床版に対して、現行基準を満足するように炭素繊維シート貼り付け補強を実施します。今年度は16径間を対象に着手し、今後約300径間に対して順次補強を行います。


                炭素繊維シートのクロス貼り補強

 凍結防止剤による損傷は、鋼桁端部で発生しており、平成23年度から桁端部に特化した塗り替え工事を行っています。具体的には1種ケレン(ブラスト)により素地調整した上で塗り替えます。
今回は、床版への炭素繊維シート貼り付け時に足場を作るので、発生している他の損傷も合わせて補修(塗り替え工事等)を実施します。

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