道路構造物ジャーナルNET

「橋梁診断支援AIシステム」の開発状況などを説明

土木研究所構造物メンテナンス研究センター 「第14回CAESAR講演会」を開催

公開日:2021.10.09

 土木研究所構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)は7日、「第14回CAESAR講演会」を東京・一橋講堂で開催した。西川和廣土木研究所理事長兼CAESARセンター長(右肩写真)は開会の挨拶で、「昨年と同様にさまざまな新型コロナウイルス感染症対策を施しての開催となった。とくに今回は、会場での開催に加えてオンラインによる同時配信を行っている。会場とオンラインを合わせた参加申込者は900人を超えており、これほどの人数の土研のイベントは初めてだと思う。オンライン参加の方の半分が関東地方以外の遠隔からの参加で、これは我々の目指すところでもあるので、CAESAR講演会のみならず他の土研のイベントもこのような形を標準にしていきたい」と語った。


会場開催は人数を制限して指定席制にするなど、万全の感染対策を施して行われた

 講演は3本で、澤田守CAESAR特命上席研究員は「橋梁診断支援AIシステムの開発」について講演を行った。官民25者で進めてきた共同研究は今年度が最終年度であり、床版橋や桁橋、鋼トラス橋の診断支援を可能とする代表部材189種類の診断セット(損傷のメカニズムや点検方法、診断での損傷特定情報、措置にあたって効果が期待できる工法の例などの点検、診断、措置の基礎情報となるもの)が概成。現場でも使用できるモバイル対応も行い、今年度には知見の蓄積や研究成果を反映していくベースとなる同システムver1.0(床版橋+桁橋、鋼トラス橋)の構築を予定している。さらに、定期点検の3巡目(2024年度~)から全国的な展開を目指して検討を進めるという。
 次いで、「近年の橋梁基礎の洗掘被害と予防保全に向けた今後の研究展望」と題して、藤田智弘CAESAR主任研究員が講演。台風や豪雨により被災した橋梁事例とその応急復旧方法を挙げた後、洗掘被害は局所洗掘や河床低下、またはその複合で発生すると説明した。これらの発生メカニズムを解明することが予防保全につながることから、これまで得られた知見とともに河床の測量技術などを活用した河床低下・洗掘予測手法の検討を進めていく。予防保全には河川管理者と道路管理者が連携して取り組むことが重要であるとも強調した。
 3テーマ目では「シナリオデザイン設計法の開発」について、大住道生CAESAR上席研究員が説明を行った。同設計法は橋梁が既存の設計法の想定を超える災害に見舞われたときに損傷が進展していくシナリオを考慮したもので、設計法として新しく体系化したもの。その具体例として、レベル2地震動を超えた場合にクリティカルエレメントを橋脚基部から支承部へと転換したシナリオについて説明を行った。

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