道路構造物ジャーナルNET

ジョイントの止水部のみを補修し、延命化を図る

鋼製ジョイント補修工法『REJ工法』が九州縦貫道で施工

公開日:2021.10.12

 西日本高速道路メンテナンス九州とビルドメンテックが開発した弾性シール材による鋼製ジョイント補修工法『REJ工法』が九州縦貫道のNEXCO西日本九州支社管内の福岡県内の高架橋で採用された。損傷した鋼製ジョイントの止水部のみを補修し、ジョイントの延命化を図ると共にジョイントからの漏水による桁端部や支承、下部構造の劣化を抑制でき、補修コストを安くできることが特徴だ。同事務所管内では今年度13橋201mを施工している。交通への影響を最小限に抑えるため、夜間に半断面ずつ施工している現場を8月末に取材した。(井手迫瑞樹)

施工対象部を長方形の飛散防止治具で囲んで1種ケレン相当を確保
 2層のプライマーを塗布後、弾性シール止水材をエア式のガンで吹き付け、表面仕上げ
 

 現場は、規制開始時間に左右される。コロナ禍とは言え週末であり、交通台数が多い福岡近郊では規制が遅れ、施工開始は予定を一時間程度オーバーし、22時半からとなった。損傷していた鋼製ジョイントはガイトップSGT-50。
 施工はまずジョイントの既設ゴム止水材を撤去する。次いで(ブラスト材やゴミなど下に落ちないよう)バックアップ材を設置した上で、施工対象部を長方形の飛散防止治具で囲み、その中に作業員が入ってオープンブラスト(アルミナ系)して1種ケレン相当を確保、ブラスト材やゴミをバキュームして清掃する。本現場ではジョイントの鋼材の一部が著しく腐食しており、ブラストによって鋼材が消失、コンクリート面が出ていた個所も生じていた。

対象となるジョイント/止水ゴムの損傷状況

既設止水ゴムの掻き出し作業/ブラスト施工前のバックアップ材の設置


研掃材が飛散しないように養生した中でブラストを施工した

ブラスト施工後のジョイント

 素地調整後はプライマーを2層塗布する。1層目はエポキシ系の塗料(『かため太郎』)をフラッシュラスト対策とコンクリートの表層強度向上を目的として塗り、さらにシリコーン系のプライマーを塗布、最後にシリコーン系で低モジュラス(0.1N/㎟、伸び率1,700%以上)な弾性シール止水材をエア式のガンで吹き付け、表面仕上げを行い、完成させた。片車線(5m)の施工時間は22時半から概ね5時間程度で完成させていた。施工に要する人員は1パーティー3人程度ということだ。

2層のプライマーを施工

弾性シール止水材の施工

 NEXCO各社を中心に今後も需要の増加が見込まれており、積極的に施工していく予定だ。

REJ工法の完成状況

 同工法の採用実績は、2019年の営業開始以来、NEXCO西日本、国交省、地方自治体などにおいて3年足らずで1259.41mに達している。

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