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大日本塗料・積水化学 鋼橋などの足場解体時クランプ跡補修の新たな工法

世界初となる重防食機能(犠牲防食効果)をもった「メタモルシート#1」を開発

公開日:2021.08.30

 大日本塗料と積水化学は、足場解体時クランプ跡補修の新たな工法として「簡単」、「省工程」、「品質」、「安全」をキーワードに世界初となる重防食機能(犠牲防食効果)をもったシート「メタモルシート#1」を開発した。同シートは貼る重防食塗料とも言える製品で、大日本塗料の防食技術と積水化学の粘着技術を融合させることで、鋼道路橋防食便覧に掲載されているRc-ⅠまたはRc-Ⅱ相当の重防食機能が期待できる。また、本製品は現場で必要なサイズにカット出来るため、無駄なく活用できるのも特徴だ。今後、色彩の決まっている道路事業者に対しテープ表面を予め調色し製作することも検討している。

離型フィルムと亜鉛末含有防食粘着剤層、着色基材から構成
 シートの粘着層に世界で初めて「犠牲防食効果」を付与

 「メタモルシート#1」は離型フィルムと亜鉛末含有防食粘着剤層、着色基材から構成されたシートである。本製品はシートの粘着層に世界で初めて「犠牲防食効果」を付与させることを成功させた。

防食テープの構成と防食コンセプト

防食テープ外観と亜鉛末含有粘着層

 シート形状はA4サイズ(210mm×300mm)で、損傷の形状に応じて切断し、貼り付ける。1箇所当たりのクランプ損傷部を30×30mmで設定した場合、シート1枚で70箇所施工できる。シートの厚さは約600μmと比較的厚いが、これは現場によって異なる下地への段差追従性を持たせるためである。また、粘着性能が75N/25mmと非常に高い点も本製品の特徴である。この粘着性能は自動車の内装製品に求められる要求性能よりも高い接着力を有する。粘着性能は施工当初より発現するが、時間が経過すると更に粘着層が鋼材下地に馴染んでいき、接着力が向上する。

 施工対象箇所は、足場設置時に用いたクランプなどによって傷ついたフランジの平滑面や隅角面。実際、足場用クランプチェーン解体時の擦過に塗膜が傷つくことは多く、仮に、損傷が鋼材まで達した場合の補修例として、鋼道路橋防食便覧Ⅱ-68 図-Ⅱ.4.1に傷の深さによる補修方法施工例として「素地調整後、有機ジンクリッチペイント(240g/㎡30μm)、超厚膜エポキシ樹脂塗料(1000g/㎡ 300μm)、ふっ素樹脂塗料上塗(120g/㎡×2 50μm)の5工程で補修」することが記載されているが実際、足場解体時の限られた時間の中で全ての工程を実施するのは難しいのが現状である。時間および現場的制限により正規の補修方法が取れなかった場合、早期損傷を招くケースが考えられる。また、2019年には仮設工業会の基準改定によりクッション材などのあて物で安全性が確認されたもの以外は原則禁止となったことで今後現場における擦過傷は増加することが見込まれており、市場では「簡単」、「省工程」、「品質」、「安全」に補修できる工法が強く求められていた。

施工状況

施工日数を従来の5日から1日以内に短縮
 材工コストも1~2割縮減

 この市場ニーズを製品化した「メタモルシート#1」は素地調整、貼り付け、上塗塗装の3工程を最短1日で完了できるため、足場解体と同時に施工ができ、施工日数を従来の5日から1日以内に短縮できる。また、材料費は上がるが、人件費を8割減らすことが出来るため、結果的に材工コストを1~2割縮減することが可能になる。
 今後はクランプやドーリーなどで運ぶ際のジャッキやサンドルなど、架設時の擦過傷だけでなく、小規模面積(部分塗替え)の補修などにも適用拡大を図っていく。また、小規模なブラスト工法と組み合わせることで、橋梁点検車や特殊高所技術点検で見つけた損傷への機動的補修工法も現在模索している。

こうしたアーチ橋の

小規模な補修にも適用可能だ

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