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ロードジッパーを用いて朝夕で車線変更し渋滞を緩和

NEXCO東日本 北陸自動車道栄橋・貝喰川橋で中分に仮設RC床版を渡して車線を確保しつつ床版取替

公開日:2021.06.07

 東日本高速道路新潟支社は6月2日、北陸自動車道中之島見付IC~三条燕IC間の栄橋及び貝喰川橋で行っている橋梁リニューアル工事を現場公開した。同区間は日平均39,300台(大型車混入率23%)が通る北陸道でも指折りの重交通路線である。床版取替時も対面3車線(通常は上下2車線ずつの4車線)を確保するため、上下線の間の隙間を利用して、隣接する両側の桁のウエブに止める形で横梁を渡し、その上に仮設のRC床版(版厚220mm、幅約5m)を設置し、縦目地には埋設ジョイントを設置して仮設道路として用いている。朝夕で渋滞方向が異なるため、約3.3㎞にわたってロードジッパーを用いて車線変更を施している。施工はまず中分側の一部を撤去して仮設床版を設置した後、下り線、上り線の床版を順次取替え、最後に中分側の仮設床版を撤去して、床版の一部と高欄を設置して、完了させるものだ。

 

 今回対象となる橋梁は、信濃川渡河部にある栄橋と信濃川支流貝喰川渡河部に架かる貝喰川橋の2橋。供用年次はいずれも1978年9月で、供用開始から42年が経過している。栄橋は橋長368.2mの鋼4+3径間連続非合成4主鈑桁橋で、有効幅員は10m、貝喰川橋は橋長156mの鋼3径間連続合成鈑桁+単純合成鈑桁×2(両側径間)という構成の橋梁で、有効幅員10m。いずれも既設床版厚は220mmであり、供用後は部分打替えなどの補強補修を繰り返してきたが、床版防水工は未設置であり、凍結防止剤の多量散布による塩害の進行により舗装のポットホールの頻発、床版コンクリート上面の土砂化や下面のひび割れ(栄橋、貝喰川橋)、桁端部の腐食(貝喰川橋)が生じていることから、その抜本的な対策のため、プレキャストPC床版に取替えることにした。
 現場工事には昨年(2020年)度から着手している。まず、昨年度は対面通行に必要な中分拡幅(上下線間の隙間への横梁およびRC床版の設置)を実施し、今回の工事で下り線、さらに今秋に上り線の床版取替を行い、2022年度に中分の床版および壁高欄を設置して、完了させる方針だ。


栄橋諸元/貝喰川橋諸元

 中分側の撤去にあたっては、まず上下線を連結する際に必要な補強材を桁下から設置する(上記図面の「中分拡幅後(R2)」部分を参照)

中分拡幅作業

 並行して上下線の中分側の桁同士を5.23mピッチで横梁を渡し、その上に橋軸方向全延長に仮設RC床版支持用の縦桁を配置し、中分側の床版を切断撤去した上で、架設RC床版を設置していく。桁と床版および仮設床版パネル間の間詰部は本設さながらに間詰め材を施工して桁および床版間を接合した。また、切断した既設床版と仮設床版間は埋設ジョイントを橋軸方向全体に設置して走行安全性を担保するとともに撤去時の施工効率を向上させている。特に貝喰川橋は両側径間が合成鈑桁であるため馬蹄型ジベルが点在しており、主桁上面の床版撤去には非常な苦労を要したようだ。

施工前から下り線床版取替までの工程概要図

埋設ジョイントを既設床版と仮設RC床版との間に設置

 現在は両橋とも下り線側の既設床版撤去と新設プレキャストPC床版の架設を行っている。壁高欄も施工日数の短縮を図るためプレキャストRC壁高欄を用いている。


既設床版の撤去/床版の架設状況

 施工にあたってはロードジッパーを活用(右写真)して朝夕の上下線の車線数を変更することで交通への負荷を抑える。また、工事規制区間の上流に簡易トラフィックカウンター・監視カメラを設置して交通状況を監視し、簡易情報版(LED)によって工事規制、渋滞情報、所要時間情報などを提供する。加えてLINE公式アカウントによる情報提供も実施している。
元請は鉄建。一次下請は第一カッター興業、コンクリートコーリング(東京)など。(詳細版は7月以降に『現場を巡る』で掲載する予定です)

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