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現場を巡る詳細

自走台車とダブルツインジャッキを用いて1夜間で施工

NEXCO東日本 黒埼跨道橋 北陸道を跨ぐ71.5mの桁を送出し架設

 東日本高速道路(NEXCO東日本)新潟支社は9月15日夜間、新潟中央環状道路・黒埼跨道橋の北陸自動車道を跨ぐ桁を送出し工法で架設する工事を行った。同工事は新潟市からNEXCO東日本が委託された工事で、自走台車とダブルツインジャッキを用いて71.5mの桁を送り出した現場を取材した。


手延べ機などをあわせた送出し総重量は約400t

 橋脚間ベントは下部工基礎と同じ深さまで根入れ

 黒埼跨道橋は、橋長245m、有効幅員8.5mの鋼5径間連続(鈑桁+細幅箱桁)橋。架設したのはP2~P3間の細幅箱桁部で桁長は71.5m、鋼重は220t、手延べ機(32.0m)などをあわせた送出し総重量は約400tとなった。床版は220mm厚の合成床版(パワースラブ)を採用し、架設済みの状態で送り出している。

 桁製作は元請の藤木鉄工・東港工場で2019年9月から開始して、12月末に仮組検査を実施している。



藤木鉄工・東港工場での桁製作と仮組(NEXCO東日本提供。注釈なき場合は以下同)


 主桁はP3からA2後方に軌条設備を構築後、120tオールテレーンクレーンを用いて、9ブロックに分割した桁の地組立を行った。高速道路上となるブロックはボルト落下を防ぐために全断面溶接とし、それ以外はボルト添接となっている。さらに、高速道路上は耐久性を高め塗替えを極力抑えるために、金属溶射を採用した。



9ブロックに分割した桁の地組立


地組完了


 ベントは全14基で、P2、P3、P4、A2の橋脚ベントは橋脚のフーチング上に設置しているが、P3~P4間のB3ベントとP4~A2間のB6、B7ベントは、杭基礎で下部工基礎と同程度の支持層までの18~21mの根入れを行い、転倒防止対策を施した。また、地組ヤードは軟弱地盤となっていたため、120tクレーンで1ブロック10数tになるブロックを架設するにあたり、アウトリガー下の地耐力調査を行った。その結果、地盤改良までは必要なく、掘削後に良質土に置き換えて施工している。



B3ベントの基礎工と完成したB3ベント


B6ベント(左)とB7ベント


113.05mを3回にわけて送り出し

 1回目は自走台車で61.5m 

 架設当日は、北陸自動車道の新潟中央JCT~巻潟東IC間(上り線)および巻潟東IC~新潟西IC(下り線)を21時から翌6時まで通行止めにして、P3側からP2側へ3回に分けて、合計113.05mを送り出した。



送出しステップ図(藤木鉄工提供)


 送出し軌条は主桁(G1桁、G2桁)に各2本の合計4本。桁と手延べ機のほぼ中間地点に自走台車(120t/1台)を4台、桁後方に従走台車(40t/1台)を4台、B1・B2ベント上に鉛直耐力2,500kNのエンドレス滑り装置をそれぞれ4台、後方桁側に700kNのダブルツインジャッキを2組(4台)配置した。



自走台車を4台配置


B1上(左)とB2上(右)のエンドレス滑り装置


ダブルツインジャッキ。2台1組で2組を配置したうちの上段1組は予備機


 通行止め規制完了後の21時30分からは1回目の送出しを開始。自走台車を用いて、毎分平均2.5mの速度で61.5mを送り出し、22時に手延べ機先端をP2橋脚上まで到達させた。橋軸直角方向には橋脚上に三角形のガイドを取り付け、ズレ防止を図るとともに、架設桁の橋軸直角方向のズレを計測できるようにした。

 架設時における最大たわみ量は計画上で-1.6mとなることから、自走台車を事前に750mmジャッキアップするとともに、P3橋脚部も手延べ機先端がP2橋脚側に到達する際にぶつからない高さまで上げ越して送り出している。P2橋脚到達時には自走台車のジャッキダウンを行い、手延べ機先端を支持させた。



送り出し開始前(大柴功治撮影。以下同)


自走台車での1回目送出し/(右写真)1回目送出し完了時


ダブルツインジャッキでは合計51.55mを送り出し

 フェールセーフとして予備のダブルツインジャッキを配置

 自走台車解放後の0時10分からはダブルツインジャッキを用いて2回目の送出しを開始した。ダブルツインジャッキでは毎分平均1mの速度で送出しを行ったが、途中、微調整を繰り返していたため、2回目の25m送出しが完了したのは1時20分となった。




2回目送出し完了時


 同ジャッキはラム運動ジャッキとシリンダ運動ジャッキの併設方式を採用している複合ジャッキで、ラム運動ジャッキが稼動して架設物を押している間にシリンダ運動ジャッキが反転戻し運動を行うため、連続稼動が可能となり、工程短縮が図れることが特徴。
 今回、ダブルツインジャッキを2組(2台1組)配置したが、使用したのは1組でもう1組は予備とした。通行止め時間内という限られた時間での架設となるため、自走台車やダブルツインジャッキが万一故障した際に、自走台車ではダブルツインジャッキを、ダブルツインジャッキでは予備のダブルツインジャッキを使用できる体制を整えたわけだ。
 9月4日には、ダブルツインジャッキ2組で各2.5m送り出しを行い、自走台車で5m戻して、さらに5m送り出すという試験引きを行ったが、その際にも「問題が生じたときにいかに早く対処するかを入念に確認した」(NEXCO東日本)という。

 2回目以降は、反力調整により0.5%程度の下り勾配となるため、桁後方部に逸走防止対策としてブレーキング装置を配置した。

 3回目は従走台車を解放後、2時から同じくダブルツインジャッキで26.55mを送り出し、2時50分に送り出しを完了した。その後、ラッシングなどを行い、4時30分に架設作業を終えて、予定より早い5時15分に通行止めを解除している。




送出し完了


 9月29日夜間には、架設桁をP2側で0.65m、P3側で1.45mジャッキダウンし、架設が完了した。

 側径間は現在、桁製作中で、来年夏に架設予定だ。


 新潟中央環状道路は、新潟市が整備を進めている北見島見町~西蒲区角田浜間約45kmの主要地方道で、放射状の都心アクセス道路を環状に結ぶことで市内のネットワーク強化を目指している。優先的に整備が進められている黒埼跨道橋を含む国道8号~国道116号間(延長約8km/事業延長約5km)は2022年度末に開通予定で、地域住民の利便性向上や周辺の工業団地、黒埼SICへのアクセス向上が図られることになる。


 元請は藤木鉄工。一次下請は横河ブリッジ(架設・足場工)、明和(ベント基礎工)など。二次下請はオックスジャッキ(ジャッキ)、国土(クレーン)など。

(2010年10月26日掲載 大柴功治)