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端部は延長床版を活用

NEXCO西日本 中国道寺河内橋など4橋の床版を取替

 西日本高速道路中国支社山口高速道路事務所が所管する中国道の寺河内橋など他3橋の上り線側の床版取替工事がこのほど完了した。いずれも中国道の山深い個所にあり、凍結防止剤の影響による塩害で鉄筋の腐食や床版の損傷を招いていたため、4橋とも全面的に床版を打ちかえたもの。4橋のうち、長野第一橋は合成桁であり、撤去や架設の際は特に細心の注意を払っている。寺河内橋、下渋川橋、長野第二橋の端部には延長床版を採用し、凍結防止剤を含んだ漏水がジョイントから橋台や桁に伝うことを抑止している。川田建設・清水建設JVが担った現場を取材した。(井手迫瑞樹)


斜角が厳しい橋梁も
 長野第一橋は単純合成鈑桁

 寺河内橋が橋長168m、有効幅員9.25mの鋼4径間連続非合成I桁橋。斜角は87°~80°で直下には県道と林道、二級河川渋川を有する。下渋川橋は橋長78m、有効幅員9.25m(上下線別)の2径間連続非合成鋼鈑桁橋で斜角は70°を有し、県道と渋川を跨ぐ箇所にある。長野第二橋は同じく渋川と県道を跨ぐ箇所にある橋長84.6m、有効幅員9.25m(上下線別)の2径間連続非合成鋼鈑桁橋で斜角は60°と厳しい、昭和57年7月の供用、他橋と同じく渋川および県道を跨ぐ。長野第一橋は橋長41.5mの単純合成鈑桁橋、斜角は77°を有する。4橋とも。昭和55年道示設計で1983年3月に供用された。

寺河内橋、下渋川橋構造一般図(NEXCO西日本提供、以下同、拡大して見て下さい)

長野第一橋、長野第二橋構造一般図

鉄筋位置の塩化物イオン量 最大値は12kg/m2超
 
床版取替は8300m2強

 いずれも田園部から山間地を通過する橋梁であり、交通量は少なく、損傷の主因は凍結防止剤を含んだ水の浸透による影響が大きいものと思われる。寺河内橋は実に最大7%、長野第一、同第二橋は4%の横断勾配があり、勾配の低い個所に塩分を含んだ水が流れこんでひび割れや床版の打ち継ぎ目から浸透した塩分で鉄筋の腐食が発生している。さらに上面の被りコンクリートにおいては土砂化の発生も見られた。鉄筋位置の塩化物イオン量は平均値こそ1.2kg/m2だが、最大値は12.38㎏/m2(長野第二橋上り線P1-A2間劣化部)に達している箇所もあった。



損傷状況写真(NEXCO西日本提供、以下注釈なきは同)

 下面においても剥落、貫通ひび割れが生じているが、これは山陽道に転換するまでの交通量による疲労損傷もあるのかもしれない。

 さらに桁の上フランジを伝う形で水が移動し一部桁の腐食を招いていた。伸縮装置近傍からも漏水が見られ、パラペット上面の鉄筋が損傷し、断面欠損が生じていた。これらの損傷から4橋ともに更新対象と判断し、床版の取替などを行っているものだ。床版の取替面積は、寺河内橋が上り線1826.8m2、下り線2052.3m2、下渋川橋が上り線846.9m2、下り線850.0m2、長野第一橋が上り450.2m2、下り451.8m2、長野第二橋が上り918.4m2、下り921.8m2の合計8318.2m2に達する。

工場内に床版養生時に使う上屋根を作り散水養生
 エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用

床版の製作

 プレキャスト(PCa)PC床版の製作についてもコスト縮減・品質向上のための工夫を凝らしている。

 まず、コスト縮減に関してはPC床版のハンチの大きさを各橋梁ごとに統一し、鋼製型枠の製作数を最小限にした。

 品質面では、工場内に床版養生時に使う上屋根を作り、その中でPC床版をシートで包みながら散水養生してコンクリートの緻密性を向上させた。通常は水槽に入れて水中養生することが多いが、「水槽は1つの水槽に入れられるパネル数が限られてしまう。効率的かつ適切に床版を養生できる手法として今回の方法を考案した」ということだ。

 なお、床版、場所打壁高欄、橋台再構築部には防錆と耐久性向上のため、鉄筋は全てエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。

全体フローチャート/長野第一橋を除いた3橋の施工手順


規制日数を最小限にするため4橋同時に施工
 5主桁に対応 
3連のジャッキアップ装置を使って桁から剥離

床版の撤去・架設

 今回の現場は規制範囲が長く規制日数を最小限にするためには、4橋同時施工に施工する必要がある。そのため規制作業では施工班を増やし、床版取替工では協力会社を3社体制で行うなど要員確保に努めた。また、床版撤去は非合成桁である寺河内橋、下渋川橋、長野第二橋の3橋と合成桁である長野第一橋で異なっている。非合成桁の3橋はまず、中分部のガードレールを撤去する。路肩側の壁高欄は標準4mごとに切断する。鉛直方向切断はワイヤーソーを使用し、橋軸方向の切断はロードカッターで施工した。撤去重量は橋ごとに微妙に異なるが、4~4.8tほど。これを60t吊ラフタークレーンで吊り切り撤去した。


壁高欄撤去の際の1ブロック当たりの規模

壁高欄撤去状況

 床版の切断は橋軸方向に1.9mごと、橋軸直角方向はG3-G4桁間をロードカッターで切断して、吊孔を削孔して床版を撤去した。切断は、鋼桁を誤って傷つけないように、削孔した吊孔により床版厚さを確認した上で、切断深さ管理治具付きロードカッターを用いて切断作業を行った。撤去の方向は下渋川橋がA1からA2、寺河内橋は2台のクレーンを使ってP2-P3中央部から両橋台に向けて、長野第二橋はA1からA2に向けてそれぞれ撤去(・架設)していった。

床版切断概要図

 撤去の際はジャッキアップ装置を用いるが、5主桁であるため、ジャッキアップ装置を桁位置に合わせて不均等にならないよう(偏った力が入ると床版中間部のいずれかで剥離中に割れてしまう)、3連のジャッキアップ装置を使って桁から剥離し、クレーンで撤去した。

既設床版の撤去振興順と剥離装置セット数


ジャッキアップ要領図

ジャッキアップ状況写真

 主桁上フランジに付着したコンクリート片は電動ピックではつり取り撤去後、上フランジ上に残った既設のジベル筋は主桁を傷めないように15~20mmの部分を残してガス切断し、さらにサンダー及びケレンワイヤーブラシを使用して丁寧にジベルや錆などを除去した。

 その後、上フランジ上面と側面に速乾性下塗り塗装剤を塗布した。

上フランジケレン概要図

既設ジベル筋の処理詳細図


上フランジケレン詳細図/同ケレン状況写真