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床版上面補修のマイクロクラック対策にWJの活用を検討

名高速 新川中橋工区で床版補強にアンダーデッキパネルを採用

 名古屋高速道路公社では、高速1号楠線において新川中橋工区床版等修繕工事を発注し、床版の補修補強工事を進めている。当該工区は矢田川と庄内川の渡河部および国道41号の上空を部分的に跨いでいる橋梁・高架部で工事延長は310m(2連)、幅員は20mであり、床版を上下両面から補修・補強するものである。下面補強は、同公社が採用している連続繊維シートを1,748m2、および「アンダーデッキパネル」と呼ぶ鋼製パネルによる補強を1,145m2で施工する。また、上面補修は断面修復や床版防水を施工するほか、マイクロクラック対策のためのはつりをウォータージェットで行うことも検討している。様々な工種や工法が交錯する同現場を取材した。(井手迫瑞樹)


 同橋の橋梁形式は鋼3径間非連続合成箱桁橋×2連。1988年12月に供用された。床版厚は200~220mmで設計されているが、場所によっては一部170~180mmの厚さしかない箇所もあった。これらは舗装切削により削られたものではなく、建設時当初からと推定されており、 公社では施工不良が原因であると推測している。また、2017年11月に行われたリフレッシュ工事では楠99-101径間の2か所で床版ハツリ時に床版内部に空洞が確認された。周囲の脆弱部を撤去した後で空洞は、50×27㎝、24×18㎝の比較的大きな範囲であり、原因としては建設当時の施工不良(豆板)が主な要因と推定している。

床版下面損傷図(名古屋高速道路公社提供、以下注釈無きは同)

 こうしたことから、2018年6月にIHIインフラ建設が受注後、路面下空洞調査車『スケルカ』を使って舗装上面から非破壊検査をするとともに、高性能電磁波レーダ探知機『ストラクチャスキャンSIR-EZ』を用いて鉄筋のかぶりを測定した。また、小径コアを採取して、床版厚、コンクリート強度および中性化深さ、塩化物含有量を測定した。さらに、削孔した箇所を利用して、棒状スキャナ―により床版内部を撮影し、調査を行った。これらの調査及び診断結果をもとに、学識者を交えて協議しながら床版補修の施工方法の方針を決定した。


スケルカとSIR-EZ

小径コアと棒状スキャナにより調査

 その結果、床版厚が一部170~180mmと推定される(楠99~103、但し99~100の径間は70%程度、102~103径間は45%程度)4径間では、アンダーデッキパネルを採用して補強することにした。同パネルはデッキプレート、縦リブおよび横リブ、ブラケット、添接板などの部材からなるもので、下図のように設置し、既設床版とデッキプレートの間(5~10mm)に充填剤を注入し、既設主桁に取り付けたブラケットと横リブを添接板で接合することによって、既設主桁へ荷重を伝達する。

アンダーデッキパネルの配置図

 1パネルあたりのサイズは足場内での移動を考慮して、橋軸直角方向が約3m、橋軸方向が約1.2mのものを使用している。施工に際しては、現場状況により開口部が2箇所しか設けられないため,縦取り装置を使って最長で150m程度足場内を移動してパネルを設置していく。それ以外の部分は二方向アラミド繊維シート(ファイベックス製)で補強する。

ハンチ部の損傷/鉄筋の防錆処理(井手迫瑞樹撮影)

断面修復
(井手迫瑞樹撮影)

壁高欄の剥落防止対策
(井手迫瑞樹撮影)/アラミド繊維シートによる補強

 2019年5月から、壁高欄および床版下面の断面修復工を行い、壁高欄には剥落防止シートによる剥落防止対策を実施し、床版下面にはアラミド繊維シートによる床版補強を進めている。

 また、アンダーデッキパネルによる床版下面の設置は、3月から現地計測および詳細設計を開始し、8月頃より工場製作を進めている。9月からは現地にてアンダーデッキパネル設置前の準備工などを進め、12月頃より本格的にアンダーデッキパネルの設置を開始する予定だ。


 床版上面の補修および床版防水は過年度のリフレッシュ工事で施工されているが、97-98径間のポットホール発生部については車線規制を行い、改めて、部分断面修復(リフレモルセットSF)および防水工を施工していく。断面修復の際、通常はブレーカーなどによって脆弱部をはつるが、同現場ではマイクロクラックによる損傷を生じさせないように機械式WJによるはつりを検討している。施工によって生じる水は、バキュームで水とガラを吸い込みながら施工する方針だ。施工によって生じる騒音と施工や養生に必要な時間を検討しながら、現場への適用を慎重に判断する。

楠線の過去の床版上面補修例(2017年秋、井手迫瑞樹撮影)


WJの試験施工

 元請はIHIインフラ建設、一次下請はケミカル工事、有村工業、鹿島道路中井商工。工期は2018年5月26日~2020年3月15日まで。(2019年9月25日掲載)

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