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事前含浸を必要とせず施工可能

名高速 大高線堀田南工区で新たなアラミド繊維補強シートを試験施工

 名古屋高速道路公社は、現在大高線や万場線で14.77kmにわたり210,550㎡の床版下面補強を進めている。そのうちの堀田南工区(大高線、ブラザー工業本社近く、元請:ショーボンド建設)において、試験施工の位置づけで 、事前含浸を行わないアラミド繊維補強シートを用いた床版下面補強を行っている。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


外側から見た堀田南工区(井手迫瑞樹撮影)


 大高線は昭和54年に供用した区間。床版厚さは220mmで現道示の厚さに満たないことや、疲労そのほかの理由によりひび割れなどの損傷が見られることから、上面の床版防水が行われている区間に順次、アラミド繊維補強による下面シート貼り付け補強が進められている。今回の堀田南工区における床版補強面積は15,108㎡。そのうち1層貼りが13,448㎡、2層貼りが1,660㎡。本工事では1層貼付けを基本とし、パネル損傷判定がa・b判定及び既設表面保護が施されている箇所は2層貼付としている。

 さて、今回の補強で最大の特徴は、アラミド繊維シートにある。今回使用するシートは前田工繊が製作した「FFシートAW50/50」。縦横2つの糸を重ね織しているのではなく、特殊な目留め糸で止める機構を採用している。これによりシートの㎡当たり重量を696gに軽くした。また、しっかりと縦横の糸を把持し応力の伝達を適切に行えるようにしつつ、柔らかな風合いを備えて現場で貼りやすくしている。これにより事前含浸を必要とせず施工でき、工程を短縮できる。


含浸前のFFシートAW50/50(井手迫瑞樹撮影)

 近づいてシート表面を見ると、表と裏で目の粗さが異なっている。「表を粗く、裏を密実にすることで、含浸時のエアの排出をし易くしている」(前田工繊)もので、これによりシートが母材に、より密実に接着する効果をもたらしている。またシート端部には赤いラインが描かれているが、これはシート端部のラップ幅(100mm)を示すもので、現場でいちいち計測する手間を省いている。加えて同現場では専用の裁断機を備え、シート裁断の手間も極小化している。


赤い筋がラップ幅を示すライン(井手迫瑞樹撮影)

 同現場ではシート貼り付け前のひび割れ含浸樹脂もショーボンド建設のビックス工法を採用しており、ひび割れ幅0.3㎜以上を補修対象とし、注入器の設置間隔は、30㎝ で行っている。


ひび割れ注入工の施工フローチャートと概要図(名古屋高速道路公社提供)


ひび割れ注入工の施工手順(名古屋高速道路公社提供)

 現場の施工フローと所要日数は次の通り。

 ①母材表面処理、②ひび割れ注入金具取付および、ひび割れに沿ったシール材の取り付け、③注入器具の設置、硬化後の仕上げ工(以上、3日間)。④貼り付け前の表面処理、プライマー塗布、⑤パテ材塗布、⑥含侵樹脂下塗り(0.7kg/㎡)、⑦シート貼り付け(事前含侵不要)、⑧含浸樹脂上塗り(1回目、0.4kg/㎡)、脱泡、⑨同2回目(0.3kg/㎡)、⑩トップコート(以上、6日間)。


アラミド繊維シート補強フローチャートおよび概要図(名古屋高速道路公社提供)


アラミド繊維シート貼り付け補強工事の施工手順(名古屋高速道路公社提供)

 含浸樹脂上塗りを2回に分け、その間に脱泡作業を入れているのは、先述したエアの排出硬化の高さが、外面に影響を与えるため。上塗りは1回でも性能に問題はないが、エアの跡がどうしても残ってしまう。そのため今回のような工程を採用した。材工価格は名古屋高速道路が採用している従来と同等だが、「単位面積当たりの施工効率を約5割程度アップすることができる」(ショーボンド建設)としている。同現場ではハンチ部の剥落防止工(タフガード工法)、ジョイントの止水対策、排水管の取替、橋梁検査路の新設、橋脚補強鋼板の塗装塗り替えなども合わせて行っている。

 工期は平成31年3月まで。(2017年12月20日掲載)