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床版補修・複合防水、路肩コンクリートの撤去なども施工

名古屋高速道路 高速1号楠線約7万4000平方㍍の舗装を修繕

 名古屋高速道路公社は、11月3日~11日にかけて高速1号楠線楠JCT~東片端JCT間の上り線6.4kmを全面通行止めして、RC床版の補修、路肩コンクリートの撤去、複合床版防水の設置、舗装の打ち替え、鋼床版上の舗装打ち替えなどを主とするリフレッシュ工事を実施した。

 同路線は全区間が高架形式。工事対象のうち、楠出入口~北区荻野通1丁目(暫定的に『荻野出入口』があった)2.2kmを昭和63年12月、楠出入口~楠JCT間0.1kmを平成3年3月、北区荻野通1丁目~東片端JCT間4.3kmを平成7年9月にそれぞれ供用している。(同公社刊「名古屋高速道路公社四十年史」P80など)

 内訳は鋼床版が約35,410㎡、RC床版が約38,630㎡。舗装のほか、システムカディ補修、逆走対策、遮音壁点検、高欄塗装、伸縮装置取替、照明柱点検、その他の付属工事、構造物点検も合わせて行った。舗装修繕工事に係わるのべ人員は約3,300人に達した。


構造物点検も合わせて行った(井手迫瑞樹撮影)


床版防水は未設置、下り勾配側に損傷が集中

 RC床版厚は200mmの区間も

 楠線の1日交通量は上下線で平均5万台、大型車混入率は19%(平成27年センサス)に達する。平成16年度に舗装(表層)の打替えを一度行っており(前掲「四十年史」P225)、その際は床版防水は行っていない。見た所、床版上面の損傷が比較的多く、場所によってはかなりの面積で断面補修を行っているところも見られた。


かなりの面積で断面補修を行っている個所もあった(井手迫瑞樹撮影)

RC床版のショットブラスト(井手迫瑞樹撮影)

 RC床版部の舗装打ち替えは、まず舗装を撤去し、ショットブラスト(100g/㎡)で研掃する。次に目視および叩き点検で損傷箇所を確認する。はつりの目安は外観から明らかに土砂化など損傷が確認できるか、または打音の際に異常音が面的に連続し30×30cm以上でカッターを入れられる箇所、としている。対象箇所はコンクリート劣化部をカッターやチッパー、ブレーカーなどではつり、含浸材(亜硝酸リチウム40%水溶液を400g/㎡)を塗布し、鉄筋防錆を行う。



RC床版部施工手順(拡大推奨、名古屋高速道路公社提供)


マーキングした個所をはつる(井手迫瑞樹撮影)

 点検箇所は写真のように何種類かの色でマーキングされていた。これは事前に電磁波レーダを車載した非破壊点検車で調査した損傷が疑われる個所を赤、青でピックアップし、その後、舗装業者が床版全面を打音検査して浮きがある箇所を緑でマーキングし、最終的に公社のインハウスエンジニアなどが再確認して黒くマーキングしたもので、はつりは黒で囲まれた箇所において実施された。

 それが終わった後、はつり部に接着剤を塗布し、ポリプロピレン補強繊維入り超速硬ポリマーセメントモルタルを打設して断面修復。複合床版防水工、基層(密粒度As(13)改質Ⅲ型-W)40mm、表層(排水性舗装)40mmを舗設した。昨年度から、左右にある幅500mm(厚さは舗装厚と同じ80mm)の路肩コンクリートも大型ブレーカーではつり、撤去している。「路肩コンクリートとコンクリート床版の間に雨水などの水が侵入する可能性があり、路肩コンクリートを撤去して複合床版防水を施工すれば、よりよい防水性能が得られる」(名高速)ことがその理由だ。


路肩コンクリートを大型ブレーカーではつる(井手迫瑞樹撮影)


厚さ80mm×幅は500mmある(井手迫瑞樹撮影)/基層上端部の塗膜防水工(名古屋高速道路公社提供)

 ただし、端部の基層は完全な締め固めが困難であるため、試験的にアスファルト加熱型塗膜系防水を基層の上に塗布し、細孔を埋め、排水性舗装を敷設する手法を採用している。また、床版端部から地覆の立ち上がり部や伸縮装置の際には網状ルーフィングの防水補強材および成形目地材を挿入し、シームの発生を防止し、ダレ無く確実な防水施工ができるような工夫を施している。


バルチップをひび割れ防止繊維に採用

 複合床版防水は2種類の工法

 RC床版の断面修復工(最大深さ70mm程度)は超速硬コンクリートを使用しているが、それに用いているひび割れ防止用の補強繊維は当初から継続してPP(ポリプロピレン、萩原工業製「バルチップ」、当社調べ)を使用している。従来の鋼繊維でなく有機繊維を採用したのは、繊維補強する際、毛羽立ちはどうしてもゼロにはできず、後工程の防水層を考慮した場合、鋼繊維では毛羽立ちが防水層に(破れなどの)悪影響を与えてしまう可能性があるためだ。有機繊維は柔らかくかつ防水層施工時の熱で(毛羽立ち部分が)溶けるため、防水工の不具合が生じにくい性質を有する。なお、断面修復工は昼間では収縮ひび割れなどを惹起しやすいことからなるだけ夜間に施工するようにした。


床版断面修復工の施工(名古屋高速道路公社提供)

 複合床版防水は、今回全体で38,630㎡施工するが、そのうち約34,000㎡でデンカの「デッキコート複合防水工法」、約4,000㎡で菱晃の「ドーロガード工法」を使用している(いずれも当社調べ)。いずれも、まず床版コンクリート上面及び路地覆立ち上がり部までアクリル樹脂系の浸透材を塗布し、次いでその上にアスファルト加熱型塗膜系防水材を設置する工法で、浸透材はコンクリートのひび割れに浸透し補修する効果も有する。


複合床版防水:浸透防水の施工(名古屋高速道路公社提供)


複合床版防水:塗膜防水の施工/表層舗装の施工(名古屋高速道路公社提供)


RC床版にも鋼床版と同様の表面除去工程

 ビーストやショットブラストを活用し、表面を綺麗に

 RC床版においても防水工の前工程の舗装除去工では、鋼床版と同様ビーストやストロングベッカーでできうる限り残滓を除去し、最後にショットブラスト(投射密度100kg/㎡)を施工してさらに表面を研掃している。舗装や一部防水工の残滓を確実に除去しつつ、床版を傷めないようにするためだ。なお、ショットブラストはRC床版部全面で施工する。防水工についても通常無色の浸透材に顔料を混ぜて色付けすることで、施工管理しやすくなるようにしていた。 


床版上面の残滓を除去(井手迫瑞樹撮影)