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連載詳細

コンクリート構造物の耐久性向上を定量的に確認

シラン系表面含浸材の含浸深さの非破壊管理を目指して

国立研究開発法人土木研究所 
寒地土木研究所 耐寒材料チーム
主任研究員
遠藤 裕丈 氏

(2) 現場での検討

 次に、この評価方法の現場での適用性を検証するため、実際の工事で使用されたコンクリートによる実験を行いました 。

 ここでは、北海道内の道路橋で行われた地覆の打換え工事で使用されたコンクリート(水セメント比54%)の一部を使用し、現場で供試体を作製しました。打ち換えられた地覆と同じ方法の養生を施した後、図-9に示すように、無塗布範囲にテープを覆い、シランを塗布しました。塗布後は測定を行うまでの間、現場と同じ環境に供試体を曝しました(図-10)。

 

図-9 現場でのシランの塗布状況

 

図-10 塗布後の静置状況

 図-11は測定結果です。測定は水平面(供試体上面(打設面))と垂直面(供試体の側面)で行いました。水平面においては、実際の含浸深さに比べ、表面水平方向への含浸距離が大きい結果もみられました。これは前述した実験室での結果と同じ傾向でした。一方、垂直面では、水平面とは対照的に表面方向含浸距離と含浸深さは概ね対応する結果となりました。この理由として、垂直面の場合、塗布面に残存するシランは下方へ垂れやすく、無塗布範囲へは流出しにくいこと、また、側面は脆弱なレイタンス層が形成されにくいことが考えられます。


 図-11 測定結果


■おわりに

 シランを使用してコンクリートの耐久性を高めるには、適切なシランを選定することはもちろんですが、選定したシランを適切に施工することが大切です。そのためには、シランがコンクリート部材に適切に含浸していることを確認する管理手法の整備が求められます。さらに、現場で適用するとなりますと、極力、簡易かつ迅速に判定できる方法が望まれます。

 本稿で示した非破壊管理手法は、現在も改良を続け、シランが塗布範囲から流出しても、無塗布範囲のコンクリート表面にシランが接触しないよう、テープではなくエポキシ樹脂を使用したり、また、塗布前にディスクサンダーで表面のレイタンス層を除去する等、実用化に向けたさらなる検討を進めています。これらについては、別の機会にお話できればと思っています。

(2018年3月28日掲載)


【参考文献】

[1] 遠藤裕丈、安中新太郎、林大介、室野井敏之:シラン系表面含浸材の含浸深さを非破壊で管理する技術の開発に向けての基礎的研究、寒地土木研究所月報「寒地土木技術研究」、No.765、pp.2-9、2017.2 

[2] 遠藤裕丈、安中新太郎:施工時にシラン系表面含浸材の含浸深さを非破壊で管理する方法の開発に向けての基礎実験、第60回(平成28年度)北海道開発技術研究発表会発表概要集、2017.2

[3] 北海道開発局道路設計要領,第3集橋梁,第2編コンクリート,参考資料B「道路橋での表面含浸材の適用にあたっての留意事項」