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インタビュー詳細

2020年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑫日立造船

保全事業の提案営業を展開中 向島工場に塗装工場を新設

日立造船株式会社
常務執行役員 社会インフラ事業本部長
嶋 宗和 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。最終回となる今回は、日立造船の嶋宗和常務執行役員の記事を掲載する。


 ――19年度の業績ならびに20年度の目標をお願いします

  昨年度は受注高が397億円、売上高が335億円と18年度を上回ることができたが、営業利益は16億円の赤字となった。

 今年度は受注高350億円、売上高300億円、営業利益プラスマイナスゼロを目標としている。

 ――業界を取り巻く状況は

 嶋 年明けから新型コロナウイルス感染拡大が顕著となり、緊急事態宣言の発出などで経済活動が停滞したが、社会インフラ事業本部が取り扱う案件の中心となる官需については、遅れることもなく予定通りに発注されている。官需では現状、案件の延期や中止はない。ただ、民需についてはコロナの影響だけではないが、一部で予定していた案件が期ずれにより、来年度に延期となったものもある。

 今後は、コロナ禍の影響が少しずつ出てくる可能性があるとみており、状勢を注視していきたい。

 新設橋梁に関しては、昨年度は公告件数が少ない端境期のため20万t割れは確実とみていたが、それ以上に厳しい結果となった。今年度は昨年度より増加するとみているが、大幅な回復は期待していない。今年度は下期に集中して発注される見込みで期待をしているが、案件が集中しすぎると監理技術者などの人材面での構造的な課題が浮かび上がってくる。

 そのため、新設橋梁については部門内での構成比を抑え、耐震補強工事などの保全事業に注力している。以前から大型の耐震補強工事を中心に提案営業を実施してきた成果が出始めている。案件も増加しており、今年度も引き続き提案営業活動を積極的に展開していく。

 ――そのほかの需要見通しは

  水門に関しては、今年度は予定通りに大型の新設ゲートや再開発がらみのゲートが公告される見込みなので、しっかりと受注していきたい。

 洋上風力発電に関しては、事業開発から設計、製作・据え付け、オペレーション、メンテナンスまで一貫してできる体制を整えている。NEDOによる次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究などで実証実験を継続している。将来的に稼働を目指してさらなる研究開発、製作、据付、試運転を行っていく。さらに洋上風力発電所の設置、電力の卸供給および運営を行うための合同会社を設立した。インフラ部門の次期の主力事業と見据えており、引き続き研究開発も含めて、注力していく。

 シールド掘進機に関してはリニア新幹線などの国内向けのほか、台湾、フィリピン、インドネシアなどの海外の地下鉄案件向けに営業展開している。

 ――防災分野については

 嶋 初受注した岩手県向けの海底設置型フラップゲート式水害対策設備は、今年6月に大船渡漁港で据付が完了した。さらに兵庫県南あわじ市福良港に設置される2号機を兵庫県から受注した。年末から堺工場で製作を開始する。

 また、フラップゲート式水害対策設備「neoRiSe®(ネオライズ)」は全国各地から引き合いがあり、積極的に営業展開を継続している。



海底設置型フラップゲート式水害対策設備函体据え付けのもよう


 ――設備投資については

  昨年度、向島工場に塗装工場を新設し、今年度から稼働している。同工場は、温湿度管理ができる全天候型の塗装工場となっている。そのほか、多電極の溶接装置などの主要な設備の更新事業を計画的に実施している。

 ――新型コロナ対策については

 嶋 全社的には出社率を3割とする目標値を設定しているが、工場もある社会インフラ事業本部では達成は容易ではない。現状では連絡会議などはリモートで実施している。これからは、リモートでできる仕事・作業、できない仕事・作業をしっかりと分けることが重要になる。分類して作業することで生産性の効率化につながると考える。

(聞き手=佐藤岳彦、文中敬称略 2020年11月9日掲載)