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インタビュー詳細

幸久大橋4車線化工事などが進展

茨城県 復興・創生期間内に重要路線を集中的に整備

茨城県
土木部長
富永 幸一 氏

 茨城県は平坦な地形であるため、道路実延長が北海道に次いで全国第2位となる約56,000kmを有し、そのうちの約4,200kmが県管理となる。県管理の道路では、東日本大震災からの復興を進めるため、復興・創生期間内の完成を目指してバイパスや道路拡幅などのさまざまな整備事業を進めている。また、供用後30年以上経過する橋梁が7割以上に達していることから、今後、維持管理費および更新費の急激な増加が見込まれている。こうした現状をふまえ、整備事業と保全の取り組みについて、土木部長の富永幸一氏に聞いた。


広域交通ネットワークの整備が進展

 過去10年間の企業立地面積は1,087haで全国第1位

 ――茨城県の概要からお願いします

 富永土木部長 茨城県は関東地方の北東部に位置し、東京へは約35~160km圏と近接しています。面積は全国第24位の約6,097km2ですが、平坦な地形のため可住地面積が約3,975km2と全国第4位の広さを有しており、約292万人(平成27年10月国勢調査)が暮らしています。また、道路実延長は北海道に次いで全国第2位となる約56,000km(平成26年4月時点)で、そのうち県は約4,200kmを管理しています。

 県北地域には阿武隈・八溝山系の山々が連なり、県央から県南西地域にかけては肥沃な平地が広がるとともに、変化に富んだ約190kmの海岸線や、「西の富士、東の筑波」と称される筑波山、全国第2位の湖面積を有する霞ヶ浦、ラムサール条約湿地である涸沼(ひぬま)など、水と緑に恵まれた多彩な県土を形成しています。

 ――県内の道路網は

 富永 本県には、常磐自動車道(常磐道)、北関東自動車道(北関東道)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東関東自動車道水戸線(東関道水戸線)の4本の高速道路があります。このうち、圏央道は昨年2月に県内区間が暫定2車線で全線開通し、東関道から東名高速道路までつながりました。東関道水戸線は、本年2月に鉾田IC~茨城空港北IC間が開通しました。

 高速道路をはじめとする広域交通ネットワークの整備が進展してきたこともあり、順調に企業立地が進み、平成19年から平成28年までの10年間の企業立地面積の合計(電気業を除く)が1,087haと全国第1位となっています。

 圏央道に関して、県内区間を含めた東北道から東関道水戸線までの区間の4車線化を進め、2022年度から順次供用し、2024年度までに全線供用するとの見込みが、昨年末に国から示されました。これにより、課題となっていた事故による通行止めや渋滞などが解消し、本来の機能が発揮されることとなり、さらなる企業立地の促進や広域的な交流の拡大など、本県の発展に大いに寄与するものと期待しています。

 今後は、来年の茨城国体やその翌年の東京オリンピックなどを見据え、圏央道の4車線化や東関道水戸線の全線開通に向け、地元市町村と連携しながら整備促進に努めていきたいと考えています。


「復興みちづくりアクションプラン」を平成24年に策定

 復興・創生期間内の完成を目指して各整備事業を推進

 ――道路整備の方針は

 富永 日本社会全体が急激な人口減少・超高齢化時代を迎えるなか、本県では「活力があり、県民が日本一幸せな県」を基本理念に政策ビジョンをとりまとめたところです。そのなかで、土木部では「災害に強い県土づくり」と「県民誰もが安全、安心で快適に暮らせる県土づくり」を2本の柱として、道路をはじめとする各種事業を推進しています。

「災害に強い県土づくり」では、東日本大震災の教訓を踏まえて防災対策をさらに強化するため、今後想定される大規模災害に備えて、緊急輸送道路ネットワークの機能強化やインフラの老朽化対策などに取り組んでいます。緊急輸送道路ネットワークの機能強化については、平成24年に策定した「復興みちづくりアクションプラン」に基づき、橋梁の耐震化などによる危険箇所の解消や、道路拡幅による交通阻害箇所の改善、のり面の補強、津波浸水区域の代替路整備などを計画的に進めています。

「県民誰もが安全、安心で快適に暮らせる県土づくり」としては、高速道路や幹線道路などの広域交通ネットワークの整備を進めるとともに、通学路などの生活道路の整備や、観光地へのアクセス道路の整備などにも取り組んでいます。

 今後は、茨城国体や東京オリンピックを契機として、さらなる交流人口の拡大を図るためにも、高速道路のインターチェンジへのアクセス道路の整備や、観光地の渋滞対策などを重点的に進める予定です。

 構造物の整備については、地質状況、周辺環境などの現場条件や供用目標、施工性、維持管理、景観など、さまざまな観点を考慮しながら、適切に経済比較を実施したうえで、最適な工法・形式を選定しています。

 ――事業中の路線について教えてください

 富永 本県では東日本大震災からの復興を進めるため、国の復興予算を活用し、復興・創生期間である2020年度末までの完成を目指し、道路や河川、港湾などの各種事業を進めています。おもな事業中の路線としては、国道349号(那珂常陸太田拡幅)、国道118号那珂大宮バイパス、都市計画道路鮎川停車場線などがあります。 

 また、東京オリンピックを契機として交流人口の拡大を図るため、石岡小美玉スマートICアクセス道路などについても整備を進めています。


幸久大橋 2回の非出水期で上・下部工工事を完了

 既設橋との離隔距離は0.1m

 ――国道349号(那珂常陸太田拡幅)は

 富永 国道349号は、水戸市を起点として県北地域を縦断しながら宮城県に至る広域幹線道路で、地域の産業振興や交流・連携を支える大変重要な路線です。

 那珂常陸太田拡幅は、このうちの那珂市杉~常陸太田市瑞龍町の延長10.4kmについて、慢性化する朝夕の交通渋滞の解消、災害時の緊急輸送道路ネットワーク強化を目的として、4車線拡幅を行うものです。平成24年度に事業着手し、これまでに約6kmを供用しています。事業進捗率は平成28年度末で約7割、構造物比率は13%です。


事業平面図(茨城県提供/以下同)


 事業区間には一級河川久慈川を渡河する幸久(さきく)大橋があります。県管理橋梁としては、北浦大橋(橋長1,295.8m)に次ぐ橋長1,166mの長大橋で、平成10年3月に暫定2車線で供用しています。上流側の旧道には幸久橋が架かっていますが、東日本大震災や台風などの被災により平成25年10月から通行止めとなっており、地元から幸久大橋の早期4車線化を強く望まれていることから、復興事業により1日も早い完成を目指しています。幸久大橋4車線化の事業費は約69億円で、着工年次は平成26年度です。現在は上部工が完成し、橋面工および前後の取付道路工事などを行い、平成30年度の供用予定となっています。

 橋梁形式は、水戸市側の高水敷がPC4径間連結ポストテンションバルブT桁橋×2連(290m)、洪水部を含む中央径間が鋼3径間連続鋼床版箱桁橋×2連(609m)、常陸太田市側の高水敷がPC5径間連結ポストテンションバルブT桁橋+PC4径間連結ポストテンションバルブT桁橋(267m)で、4車線完成時の幅員は21.8m(車道13m)です。


幸久大橋 橋梁一般図(平面図/側面図)


 施工にあたっては早期復興を図るため、河川管理者との協議を入念に行い、下部工事、上部工事をすべて平成27年度内に発注して、橋梁本体工事を3カ年度(2回の非出水期)という短工期で完成させました。また、すでに旧基準で整備されていた4車線一体型の橋脚については、平成24年の道路橋示方書の基準に対応した耐震補強(橋脚コンクリート巻立て工)を実施するとともに、上部工も既設橋(4車線化後の下り線)と比べて連続桁の多径間化を図るなど、耐震性の向上に配慮しています。



上部工架設


 鋼橋区間の架設では既設橋との離隔が0.1mと近接施工であったことから、接触防止対策が必要になりました。具体的には、桁を既設橋から離隔1.1mの位置に一旦設置した後、1.0mの横取り架設を実施したことと、側床版と主桁の連結部に回転用治具を設置し、架設前に主桁の中心側に側床版を折りたたんだ状態で架設することで、既設橋との離隔距離を1m以上確保して接触を防止しました。


側床版を折りたたんだ状態での架設