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日本鋼構造物循環式ブラスト協会 自治体などから約40人が参加

品川区 勝島橋で循環式エコクリーンブラストの現場見学会を開催

 日本鋼構造物循環式ブラスト協会は、12月12日に品川区発注の勝島橋補修工事(元請:大旺新洋)で、循環式エコクリーンブラスト工法の現場見学会を開催した。現場見学会には埼玉県、さいたま市、横浜市など自治体などから約40人が参加した。勝島橋は大井競馬場に程近い京浜運河に架かる橋長150.2㍍の鋼4径間連続非合成鈑桁橋。現在、補修工事が行われており、その一環として塗替も施工されている。対象面積は全9,960平方㍍で、これを全て循環式エコクリーンブラスト工法を用いて塗り替えた。塗替の一次下請は建装工業、二次下請にヤマダインフラテクノスと三次下請シダックス、いずれも同協会の会員会社が現場に従事した。

 勝島橋に同工法を採用したのは、既設塗膜の事前検査で、相当量の鉛が検出されたため。塗膜剥離剤などの仕様も検討されるところだが、海に近いため1種ケレン相当の下地処理での塗り替えが望ましいことや、塗膜剥離剤を使用しても結局素地調整のためのブラスト処理が必要なこと。ブラスト後の廃棄物量が従来の非金属系の研削材を用いたブラスト工に比べてスチールグリッドを使用しているため、研削材が容易に破砕・摩耗せず循環して使うことにより、ほぼ既設塗膜だけが廃棄物となるため、廃棄物量を40~50分の1に削減できる点。加えて周辺環境への配慮、労働者の安全性に非常に留意している点が評価されて採用された。


研削材は循環して使用する


ほぼ鉛だけを廃棄できる

 実際、循環式エコクリーンブラスト工法が評価されているのは、廃棄物量削減はもちろんながら、安全への意識の高さがある。現場見学会に先立って行われた午前中の座学で講師を務めたヤマダインフラテクノスの山田翔平氏は平成26年5月30日に厚生労働省が出した文書「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業について」に触れ、上部法規である鉛中毒予防規則の第四十条の一に言及し「当該鉛業務は、著しく困難な場合を除き、湿式によること」でいわれる「著しく困難な場合」は解釈例規によると「サンドブラスト工法を用いる場合または塗布面が鉄製であり、湿らせることにより錆の発生がある場合をいうこと」と記されていると述べた。その上で、当該文書はブラスト工法を否定しているわけではなく、必要な安全措置を講じれば、使用して良いことを示している、と暗に述べている。


全面を覆う養生足場(左)/防塵マスク+エアラインマスクを装備(右)


大型吸引ダクト(左)/施工時の粉塵はほとんど無かった(右)


(右)良好なブラスト品質/(左)隅角部や添接部もきれいに仕上がっていた

 本現場でも、塗装面全面を覆う養生足場はもちろん、320立方㍍/分の鉛対応集塵装置と吸引ダクトを設備し、現場の施工環境を良化するとともに、内部で作業に従事する労働者は全て、鉛中毒予防規則よりも厳しい特定粉じん障害予防規則に沿って防塵マスク+エアラインマスクを装備し、外に出る時はエアシャワーを浴びて外部に鉛など有害物を持ち出さないよう、徹底した安全・環境管理をしていた。実際に記者も含めて、厚生労働省の担当者や自治体のインハウスエンジニアなどが中に入ったが、吸引ダクトの効果はもちろん、研削材の破砕がほとんどないため粉塵が無く、視界も良好で高いブラスト品質が期待できるほか、次の工程にも容易に移れることが予想でき、見学者から高い評価を得ていた。同協会によると廃棄物量は1,000平方㍍当たり1㌧に抑制できるということで、従来の同40㌧に比べて2、3%となるため、産廃物の量を劇的に減らすことができ、循環式エコクリーンブラスト用の設備や安全設備を投入してもなお、総コストで1割程度縮減できる、としている。

 一方で、こうした安全意識の高い塗装業者や設備を導入できる余裕のある業者が全国にどれだけいるか? ということも考慮していく必要がある。協会としては、そうした良質な業者の勧誘や育成を図るべきであろうし、塗膜剥離剤など様々な工法を状況に応じて使いわけていくこともまた、必要であろう。


様々な設備類が現場を支える


 見学会後の挨拶で厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課の小林弦太中央労働衛生専門官(左写真)は、「現場の安全管理は発注者と施工者が連携して進めるのが重要であると考えており、2年前に出した文書でも安全衛生経費をしっかりと出すことが重要と通知している。本日の現場は、防塵マスクはもちろん、さらに二重に防護していただけているので、しっかりとした防護対策が行われている」と話した。

 また、横浜市から参加したインハウスエンジニアは、「座学時にビデオを見た感じでも粉塵は少なくなっていると感じたが、鉄粉は比重が重いため、空中に舞う割合が少なく(粉じんも大きく発生しない)ことが現場を見て肌で感じた。また我々の現場は鉛こそ出ていないものの(人家密集地にある橋梁が多く)施工環境に留意しなくてならないが、そういう意味でも配慮されていると感じた。現在は3種ケレンでしか塗り替え施工していないが、1種ケレンも本格的に考えて行く必要があり、その参考になった」と述べていた。