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現場を巡る詳細

鋼床版箱桁、コンクリート桁約412㍍

首都高大規模更新 大井JCTの1号羽田線アプローチ桁を撤去

 首都高速道路は、首都高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事に伴い、工事用の仮桟橋を構築するため、大井JCTの1号羽田線アプローチ部の桁を撤去する工事を進めている。撤去延長は鋼床版箱桁(P10近傍J7~P13間205㍍)とPCT桁橋・RCホロースラブ橋(P13~P25間207㍍)の約412㍍。このうち6月下旬から、鋼桁のP11 近傍J12~P13間124㍍とコンクリート桁全てを撤去した。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


 同橋の周辺条件は苛酷だ。海側には1号羽田線、東京モノレールといった日本有数の重要交通が供用されており、陸側にはホテルやマンションが林立している。その中で構造物を安心・安全にかつ騒音にも配慮しながら施工しなくてはならない。本当は交通量の少なくなる土・日曜夜間に施工したいところだが、住宅街での休日夜間施工は難しいということで、鋼桁の撤去は木曜および月曜日の夜間に施工することにした。


撤去区間と側面図および断面図(首都高速道路提供、以下注釈なきは同)


鋼橋の撤去

 鋼橋(コンクリート橋もだが)、まず既設桁上の舗装を撤去して(舗装はアスファルトなので桁と一緒にスクラップ化することはできない)鋼床版面を露出させた後に、陸側にベント材を設置、ジャッキアップして横取りし、ベント上で1ブロック約20㌧の重量になるよう切断し、100㌧クレーンで陸上の桟橋に順次下ろしていく。降ろした後はさらに4つに小割し、トラックで搬出しスクラップ処理するものだ。


既設鋼桁の横取り作業図

 ジャッキアップは8月4日(木曜日)夜間に1号羽田線上りの左車線を通行止めした上で施工した。22時開始、翌6時開放なので前後各1時間の規制準備、規制解除を考慮すると施工時間は正味6時間しかない。ジャッキアップ支点は桁の3箇所に設けて一晩で800㍉持ち上げた。鋼重は壁高欄込みで約460㌧。慎重に150㍉ずつ順々に盛替えながらジャッキアップしていった。そして8月8日(月曜日)の夜間に油圧ジャッキを利用して陸上側に5.7㍍横取りした。なお横取り時および横取り完了後は桁の支持面がレベルになるようサンドルの上に三角形状の楔を噛ませて安定させている(写真)。


ジャッキアップ前の鋼桁/ジャッキアップ完了時の鋼桁(夜間)


ジャッキアップ完了時の鋼桁遠景/使用したジャッキ/ジャッキの受け状況


夜間の横取り架設


鋼桁の切断

 鋼桁の大まかな切断はベント上で行う。まず桁(幅員5.75㍍、高欄を除いた有効幅員は4.75㍍、桁高は2.5㍍)を全体で18ブロック(最大長7.5㍍、約20㌧弱)に切断していく。次いで重量のある両脇の壁高欄を切断し、100㌧クレーンで撤去する。壁高欄の切断工はワイヤーソー切断で、鋼桁は全てガス切断を用いている。切断箇所は水系塗膜剥離剤を用いて塗膜を除去、その上でガス切断を施工している。


ベント上で切断される鋼桁/切断された鋼桁ブロックは100㌧クレーンで桟橋上に吊下ろす

 ベント上で切断された鋼桁ブロックは100㌧クレーンで順次桟橋上に吊下ろされる。次いで鋼桁を十字状に4つに切断し、1小割ブロック4㌧弱のトラックに積み込める重さにした後、搬出。スクラップ処理される。切断は墨出しなどを行わずに施工しているが、綺麗なもので職人芸のような切り口だった(一次下請は島川工業)。


桟橋上で鋼桁切断工、綺麗に十文字に4分割している(中、右写真は井手迫瑞樹撮影)


搬出のため小割にした桁の一部を吊り上げ/トラックに積み込み搬出する


コンクリート桁撤去

 コンクリート桁(最大で6主桁)の撤去は現場でワイヤーソーなどにより行っている。まず各スパンの橋台支点上で橋軸直角方向、次いで主桁を1本ずつ橋軸方向に切断し、120㌧クレーンで撤去、桟橋上でダンプトラックに乗せられる大きさに4分割して搬出していた。切断は昼間に施工している(コンクリート桁の切断工一次下請は第一カッター興業)。


コンクリート桁(左)および高欄(右)の切断工


高欄(左)および桁(右)の吊り上げ


ワイヤーソーやカッターを使って小割にし、クレーンで積み込んでトラックで搬出する(左写真は井手迫瑞樹)


橋脚撤去~桟橋の設置

 桁撤去後は橋脚の撤去を行う。橋脚は港湾管理者との協議により、海底からマイナス10㌢の部分で切断して撤去する。その後はもともと大井JCTアプローチ部があった空間部分にもH形鋼を打設し工事用道路としての桟橋工を架設していく。


空間部分にもH形鋼を打設し工事用道路としての桟橋工を架設していく(井手迫瑞樹)

 取材した9月6日には、鋼桁18ブロック中13ブロックの撤去が完了しており、コンクリート桁もほとんどが撤去完了していた。作業従事者は最盛期で橋梁特殊工(一次下請:金子建設)が16人、切断工が7人、職員が4人の30人弱。首都高東品川JVの小玉芳文鋼橋工事プロジェクトマネージャーは、「今後各地で大規模更新や老朽化橋梁の架け替え事業などが増えてくることが予想されており、今回のような現場はその重要な事例となる。当JVとしてもこうした知見を蓄積して、本格化するリニューアル事業に備えていくことが大事だと思っている」と話していた。