道路構造物ジャーナルNET

―上長房橋床版取替工事―

車線規制による床版取替工事の実施について

公開日:2014.10.16

10月1日号では、中日本高速道路の猪熊康夫取締役常務執行役員保全事業本部長に同社の保全事業について話を聞いた。その中で、床版取替の特徴的かつ、今後を見据えた事例として中央道上長房橋の床版取替について言及があった。同橋についてさらに詳しく、今回は担当者の報告という形で内容について掲載する。(井手迫瑞樹)

中日本高速道路株式会社 八王子支社
八王子保全・サービスセンター
田中貞俊  加藤嵩大
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京㈱ 八王子道路事務所
浦野 悟

1.はじめに

 上長房橋は、中央自動車道八王子IC~相模湖東IC間に位置する橋梁である。(写真-1)当該区間は昭和43年に供用され、道路橋示方書などが整備されつつある過渡期における橋梁構造物が多く見られるのが特徴である。供用開始後45年以上が経過し、首都圏中央連絡自動車道の供用等により交通量も交通形態も大きく変わり、現在は日交通量5万台を超える重交通路線となっている。従来、高速道路での床版取替工事は、反対車線を対面通行としながら施工車線の通行止めを行い、全断面施工で実施されてきた。本工事の特殊性は、交通量が多いこと、ジャンクション近傍であり、上下線の切替えが難しいことから、反対車線(下り線)での対面通行が確保できない現場状況下にあって、車線規制により上り線1車線の交通を確保しながら半断面ごとに床版取替を実施した点にある。この施工方法は、高速道路では初の試みであるため、本稿においてその概要を報告するものである。


写真1 橋梁位置

2.上長房橋(上り線)の構造特性と問題点

 上部工形式は2連の3径間連続4主鈑桁橋で、昭和39年道路橋示方書により設計されており、床版支間3.2mに対して床版厚が170㎜と薄い。また、建設当時の過渡的な基準により、特に配力鉄筋方向の曲げ剛性が不足し、損傷の初期段階において、橋軸直角方向のひび割れが容易に発生しやすい構造になっている。このため、供用前に縦桁補強対策などが施されていた。(図-1)

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