HOME現場を巡る一覧NEXCO東日本 宮城白石川橋 防水性能を有するプレキャストPC床版を初採用

現場を巡る詳細

UFCとコンクリートの複合構造床版

NEXCO東日本 宮城白石川橋 防水性能を有するプレキャストPC床版を初採用

 東日本高速道路(NEXCO東日本)東北支社は、東北自動車道の国見IC~白石IC間に位置する宮城白石川橋(上り線)の床版取替工事を、2020年10月2日から11月12日までの42日間、終日車線規制および終日対面通行規制を行って実施した。同工事では、NEXCO東日本と大林組が共同開発したUFCとコンクリートとの複合構造により防水性能を有するプレキャストPC床版が初採用され、工程遅延リスクの回避や耐久性向上に寄与した。


橋長276.9m 全延長約3,000m2の床版を取替え

 床版下面に2方向のひび割れが発生

橋梁概要と損傷状況

 宮城白石川橋(上り線)は、橋長276.9m、幅員10.9mの3径間連続非合成鈑桁橋×2連で、1975年の供用から44年が経過している。2017年度の平均交通量は約16,500台/日で、大型車混入率は約32%、凍結防止剤の散布量は福島事務所管内(本宮IC~白石IC)で過去平均約2,500t/年となっている。



宮城白石川橋全景(NEXCO東日本提供。以下、注釈なき場合は同)


 老朽化や凍結防止剤による塩害、車両の大型化による繰返し荷重により、既設床版(210mm厚)の下面に2方向ひび割れ、上面に土砂化が発生しており、舗装面も継続的な補修にも関わらずポットホールが全長にわたり発生していた。そのため、PA1橋脚~A2橋台までの床版全面積約3,000m2をプレキャストPC床版に取替えることにした。なお、同橋下り線の床版取替工事は昨春に完了している。



床版下面の状況


床版上面と舗装面の状況


床版上面にUFCを負曲げ部40mm厚、それ以外20mm厚で打ち重ね

 防水工の工程遅延リスクを回避

防水性能を有するプレキャストPC床版

 今回採用したプレキャストPC床版は、通常のプレキャストPC床版(50N/mm2)上面に超高強度繊維補強コンクリート(UFC、圧縮強度150N/mm2以上)を負曲げ部で40mm厚、それ以外は20mm厚で打ち重ねて一体化している(全体床版厚は220mm)。透水係数の非常に小さいUFCにより、舗装を浸透した雨水はUFC上で排水されるため、従来の防水工と同様にコンクリート内部への浸透を防ぎ、長期にわたる防水性の保持を実現したことが特徴だ。




構造概要と排水イメージ


 間詰部もUFCを用いて施工することにより、現場での防水工が不要となり、その工程短縮効果はもとより「規制期間が決まっているなかで、(防水工時の)天候による工程遅延リスクを確実に回避できることが非常に大きい」(NEXCO東日本)という。防水性能を有するプレキャストPC床版を採用することにより2日の工程短縮を実現した。さらに、「UFCの防水性能が100年耐久性となっているため、高性能床版防水の更新が不要となり、結果的に床版自体の耐久性向上につながっている」(同)ことも特徴となっている。今回、UFCならびにプレキャストPC床版同士の接合部には、常温硬化型の「スリムクリート」(圧縮強度180N/mm2以上、引張強度8.8N/mm2以上)を採用し、防水性能を確保している。


 施工方法は通常のプレキャストPC床版と基本的に同じだが、本床版は接合部のスリムクリート同士の継手が鋸歯状(ギザギザ)になっていて、その部分にもスリムクリートを流し込んで打設をするので、より丁寧な施工が求められる。このような構造にしたのは、「スリムクリートのひび割れ発生強度が8 N/mm2という制限があるのに対して、支点の負曲げ部分の打継部で目開きが生じないように、引張力に対抗するため」(同)という。



鋸歯状になっているスリムクリート同士の継手(大柴功治撮影)


 排水桝周辺はスリムクリートが切れないように排水桝の形状を下側に受けを作る形で改良して、桝の縁にスリムクリートがかぶさるように製作した。ジベルなどのあと埋め部もスリムクリートを打設し、床版全面にわたり長期的かつ高い防水性の確保を図っている。



製作時の排水桝周辺と架設時の状況(右写真:大柴功治撮影)


UFC打継ぎ時間と厚さを厳密に管理

新設床版の製作

 床版の製作は、日本高圧コンクリートの埼玉工場で行った。製作にあたっては、スリムクリートの打設に注意を払っている。製作型枠を用いてコンクリートを打設し、硬化する前にスリムクリートを打ち重ねるため、接着剤などは使用していない。
 コンクリート打設班の後からスリムクリート打設班が追いかけていく形で製作をしていったが、重要となったのは打重ね時間の管理だ。「許容打重ね時間は2時間だったが、早くても遅くても不完全となるので、コンクリート表面の状態を見極めながら調整をしていった」(元請の大林組・横河ブリッジJV)というように、概ねコンクリート打設後30分が経過した後、スリムクリートを打設していった。



スリムクリートの打設


 コンクリートとスリムクリートの厚さ管理も厳密に行うため、「打設をしながら、場所ごとにスケールで計測を行いながら仕上げていった」(同)という。さらに、同橋では横断勾配が4%であるため、スリムクリートのセルフレベリング性を考慮して、型枠を勾配に合わせて設置することで、天端をレベルで打設できる工夫も行った。



型枠と勾配に合わせた鉄筋組み


 養生は、スリムクリートの乾燥を防止するため打設直後に透明フィルム(ポリフィルム)を設置し、その上に養生マットを敷設した。透明フィルムを剥がして、天端を仕上げた後は、上面に湛水した状態で蒸気養生(1日)、脱型後のレイタンス処理時にも常時散水養生を行って、7日間の水中養生を実施した。「通常のコンクリートよりも養生に気を使って製作した」(同)という。



打設後の養生と水中養生


完成した床版