現場を巡る詳細
首都高速道路 ロッキングピアを有する赤羽橋の耐震補強
首都高速道路は、昨年度末、都心環状線の一ノ橋JCT~浜崎橋JCT間にある浜崎橋付近と赤羽橋付近のロッキングピアに対する耐震補強を完了した。いずれも高速上は交通量が多く、高架下は鉄道や河川が近接するうえに狭小なヤードしかなく、通常の巻き立て補強は実施できないことから、難易度の高い施工となった。今回は赤羽橋付近の対策についてレポートする。(井手迫瑞樹)
赤羽橋付近の当該橋梁は、昭和39年に供用された橋長125.783mの3径間連続非合成鋼箱桁橋(4主桁)である(右図および写真、首都高速道路提供、以下同)。設計示方書は昭和31年道示を適用している。下部工は浜崎橋JCT側から環182~環187が2本柱で環182・環183がRCヒンジラーメン橋脚(杭基礎)、環184・環185が同橋脚(ケーソン基礎)であり、環186・環187がロッキングピア(杭基礎)、環188がRC橋脚(ケーソン基礎)である。環184・環185~環186・環187の中央径間部は52.6mと環182・環183~環184・環185間および環186・環187~環188間は36m強となっている。平成9年に橋脚に鋼板巻き立てを施し、上部工は平成14年に変位制限装置と落橋防止装置を設置している。
現場は、国道1号の古川渡河部の赤羽橋と首都高速道路が交差する箇所にある。首都高と平行に古川が流れているが、古川の左岸側には並行して都道319号線が走っている。また、都営地下鉄大江戸線赤羽橋の駅舎のすぐそばには、ロッキングピアがある。そのうち古川左岸側のロッキングピアは、駅舎の出入り口と東京都水道局の水管橋に挟まれた位置にある。その反対側(古川右岸側)のロッキングピアは同水管橋に隣接し護岸と一体構造となっている。
一番、浜崎橋JCTよりの環182・環183の柱は、古川護岸と民地に囲まれ、接道していない。非常に工事のやりにくい場所である。転じて環188は、護岸と都道の間に首都高速道路が管理する高架下ヤードがあり、赤羽橋の駅舎のあるところ以外は、工事用ヤードとして使うことができるため、比較的施工しやすくなっている。
環-182,183耐震補強構造配置図/環-188落橋防止機能付きダンパー配置図
(いずれも拡大して見てください)
浜崎橋付近と同様、非常に厳しい施工条件のため、通常行うロッキングピアを巻き立てて壁式化するような耐震補強は、ここも難しい。
そのため、橋梁全体をモデル化して、上部工の変位を抑え、ロッキングピアの回転角を抑制する手法だ。両端支点(環182・環183、環188)上の沓をBP-B支承に取替え、落橋防止機能付き粘性ダンパーおよび横変位拘束構造を設置した。設計上はこれらの措置によりロッキングピアの回転角を許容値内に抑えられた。
速度依存型の粘性ダンパーに落橋防止構造の機能を付加した制振ダンパー
(寸法、抵抗力及びストロークは下表の通り)
赤羽橋付近の高速道上の規制状況/高速道路からの荷下ろし
足場内でのダンパー設置状況
足場内でのブラケット設置状況(左)荷取り/(右)横取り
