道路構造物ジャーナルNET

夜10時~翌朝5時の夜間車線規制下で施工

国土交通省千葉国道 市川大橋鋼床版補強にSFRC+CFRPグリッドで補強

公開日:2020.10.26

補強工は全体を36分割して施工
 1回あたりの施工面積は50~60m2

 次いで鋼床版上面の補強を行うが、養生などに多くの時間が必要であることから、全体を36分割し、1回あたりの施工面積は50~60m2と前工程の約半分にした。手順はまず通行規制を行った後、仮舗装をバックホウで除去し、次いで投射密度150kg/㎡のショットブラストで床版上面を研掃し、端部と添接板はグラインダーで仕上げた。さらに縦横のジョイント部にはスタッドを標準300mm間隔で溶接し、主桁付近の鋼床版負曲げが生じる部分にスペーサーを設置して厚さ75mmの超速硬SFRCの中間に位置するよう高さ調整してCFRPグリッドを配置した。そして鋼床版とコンクリートの付着性を向上させるため高耐久型エポキシ樹脂接着剤『KSボンド』を塗布し、超速硬SFRCを打設していった。


施工区割図(二次施工)

仮舗装の撤去/ショットブラストの施工①

ショットブラストの施工②

KSボンドの塗布①

KSボンドの塗布② 打継の鉛直部分や隅角部も丁寧に施工していた

CFRPグリッド配置図/SFRC+CFRPグリッド構成図

主桁付近の鋼床版負曲げが生じる部分にCFRPグリッドを配置

 超速硬SFRCは「施工効率の向上と省人化を図るため」(世紀東急)、バックホウで受けとめ、打設現場まで移動し、落としていった。SFRCはスランプ6.5±1.5cmで製造している。


バックホウで受け止め

運び、降ろした

ロータリースプレッダーで平坦性と正確な打設髙を担保

 SFRC打設時のレベリング性向上に力を発揮したのが、フィニッシャの前方に装備されているロータリースプレッダーである。バックホウで運ばれたSFRCは最初にある程度人力で均し、タンピングしていく。舗装厚は75mmであり所定の平坦性を確保しなくてはならない。ロータリースプレッダーは、フィニッシャの前方にプロペラのような羽根が装着されている。羽根の上下はコンクリートをかき回さず、撫でつけられるようコンクリート面と平行になるような形状になっており、この高さを調整することで平坦性と打設厚さの正確性を担保している。さらに羽根は同時に回るのではなく、横に波打つように時間差をつけて回しているため、余ったコンクリートが横に回る逃げ場を作っている。後ろでは追いかけでフィニッシャのバイブレータが締固めしていく。

ロータリースプレッダー

路面にはグルービングを付ける

 最後に舗装面の粗面仕上げである。今回は75mm全舗装厚をSFRCで打設し、上にアスファルト舗装はかけない。そのためすべり抵抗性を確保するためにSFRC上の横グルービングが必要なため、 5mm程度の厚さと30mm間隔の溝を設置できる、金属製でのグルービング用の器具が必要であった。当初は施工性を考慮して、アルミ製の機材でグルービングを付けようとしたが、「軽すぎて沈まない」(下請けの東京コンクリート技研)ため満足な施工ができなかった。そのため最終的にはある程度重さのある鋼製機材を用いてグルービングを付けた。12kgと結構な重さがあるため、移動は打設した床版部分を跨ぐ形で台車を配置し、その上を使ってグルービング用の機材を渡し、台車の端部をガイドにして正確に横に引っ張った。但し、一回では満足な深さに達しないため、一箇所につき2回施工する必要があった。


グルービング(横溝)作業状況

5mm程度の厚さと30mm間隔の横グルービングを施工した

 施工完了後はポリフィルムシートをかぶせ3時間程度養生し、翌朝5時には交通を開放している。

養生シートの設置状況

 今年度は6月から7月にかけて施工日に雨が降る不運が重なり、工程的には非常に苦しい状況となっている。

 設計は山側が長大および橋梁調査会、海側がワイ・イー・シー。元請は山側が世紀東急工業、海側が日本道路。山側の一次下請はフタミ(研掃工)、ケミカル工事(ジェットコンクリート製造、打設など)など。二次下請は東京コンクリート技研など。

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