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日綜産業などの新技術を参加者約50人に紹介

橋守支援センター静岡 浜名湖大橋で技術研修会を開催

 NPO法人橋守支援センター静岡は26日、浜松市の浜名湖大橋補修工事の現場で「橋梁の維持管理技術研修会」を開催した。浜松市の職員やコンサルタントなど約50人が参加し、日綜産業・ヤマダインフラテクノス・ニチレキ・ナカボーテック・アースシフトの5社の新技術について説明を受けるとともに、情報交換を行った。



研修会には約50人が参加し、橋面上に設営されたテントや足場内で新技術の説明を受けた
(大柴功治撮影。以下、注釈なき場合は同)


 日綜産業は、同現場で採用されている先行床施工式フロア型システム吊り足場「クイックデッキ」、内部脱着式採光防音防護工システム「クイックパネライト」、同足場専用電動ホイスト「アッププロ」を紹介した。アッププロは8台の電動ホイストにより、クイックデッキを一括で昇降させるもの。電動ホイストは上部にモーターが付いているものが一般的であるが、アッププロは下部にあるため、施工性や安全性に優れている。昇降スピードは約10m/分(上昇)だ。これまで8台のホイストを各人で操作していたが、本現場から1人で一括操作できるように改良を行った。



アッププロの説明後、クイックデッキを昇降させるデモも行った


 下部工補修を行う今回の工事では、潮の干満にあわせて昇降できるため、船上からの施工に比べて工期短縮につながるとともに、施工時以外は足場を上げることにより漁船などの船舶航行の安全性が確保できる利点があるという。なお、クイックデッキの同工事での設置面積は上部工2,600m2、下部工650m2となっている。


 ヤマダインフラテクノスは「エコクリーンハイブリッド工法」、ニチレキは「サーフトリートDN工法」、ナカボーテックは「NAKAROD方式」、アースシフトは「Single i工法(Triple EYE(トリプルアイ)協会」をそれぞれ紹介した。


エコクリーンハイブリッド工法」は、累計施工面積約1,080,000m2に達する循環式エコクリーンブラスト工法の機械設備を有効活用し、ブラスト用研削材(スチールグリット)をピーニング用特殊鋼球に替えることで、既設橋梁の疲労き裂予防ができるショットピーニングと腐食予防を同時実現したもの。

 塗装塗替え工と同時施工することにより、足場や飛散防止設備、循環再利用設備を併用できることや、狭隘部への施工が可能などといった特徴がある。同工法で疲労強度も2等級向上することが実証されており、2020年度土木学会中部支部技術賞も受賞している。これまでの施工実績は10橋で、NEXCOの特定更新工事や国土交通省の工事などで採用されている。



エコクリーンハイブリッド工法 概要図


「サーフトリートDN工法」は、おもに15m未満の橋梁を対象としたコンクリート舗装の補修工法。小規模橋梁では耐荷重が小さいために切削機が導入できないことや、導入できても切削によって振動が発生して橋梁そのものにダメージを与えてしまうことがある。
 同工法では、切削をせずに表層上に防水機能を付与する浸透系樹脂(HQプライマー)と遮水機能を有する表面保護材(サーフトリート)を塗布することにより、コンクリート舗装の劣化を防ぐ。浜松市では1,000m2以上に採用されているとのことだ。



サーフトリートDN工法 概要図


サーフトリートDN工法 施工前(左)と施工後(右)(ニチレキ提供)


NAKAROD方式」は、外部電源が不要な電気防食工法だ。犠牲陽極材(亜鉛)と内部鋼材の電位差を利用して、鋼材に対して防食電流を供給する。そのため、外部電源の保守点検や電流・電圧の調整が不要で、5年に1回程度の点検で済む最小限のメンテナンスを実現した(耐用年数は30年以上)。内部鋼材のモニタリング機能は従来どおり有している。
 また、犠牲陽極材と電解質層をFRP製トラフで覆いユニット化しているので、コンクリート表面への設置(標準250mmピッチで施工)も簡単で工期短縮が図れるとともに、従来の面状流電陽極方式とは異なり、線状流電陽極方式を採用しているため、コンクリート表面の変状を目視で可能だ。これまでに4件の採用実績があるほか、全国で試験施工も行われている。



NAKAROD方式 概要図と施工事例(ナカボーテック提供)


研修会場に設置されたユニットで電位量を測定


 アースシフトが実演・説明した「Single i工法」は、調査中の構造物への負担を最小限に抑えられるNETIS登録の微破壊検査工法で、コンクリート内部のひび割れ等を画像データとして取得する。φ10.5mmの 調査孔へ高性能工業用内視鏡を定速で挿入し、鉛直方向と側面方向の動画を撮影することで、コンクリート内部の損傷状況や健全性を、コンパクトな機材で確実に調査できる。
 外部からはわからないコンクリート内部の水平方向のひび割れを確実に視認できること、判定や評価に差が生じることもある各種非破壊検査と異なり、発注者・設計者・施工者等の関係者が、動画と静止画および柱状断面写真を見て、直感的に共有できることが特徴だ。



Single i工法の実演


(左)変状部の画像/(左)柱状断面写真


 浜名湖大橋の補修工事は工期を分けて継続的に行われており、今回の工事は中村建設施工で4月1日に着手し、工期末は10月30日となっている。工事内容は上部工および下部工の断面修復、ひび割れ注入工(IPH工法を採用)、上部工の表面含侵工(けい酸塩系コンクリート改質材「RCガーデックス」を用いて施工済み)で、橋長836mの全長にわたり施工する。

(2020年9月2日掲載 大柴功治)