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長さ1~2mの光ファイバーをセンサとして利用し、2点間の相対変位を測定

光学ストランドによる構造物のモニタリングシステム「OSMOS」 実績250例を超える

 日揮などが主となって導入し、OSMOS技術協会メンバーで技術展開している光学ストランドによる構造物のモニタリングシステムOSMOS(Optical Strand Monitoring System)が順調に実績を伸ばしている。近年では、垂井高架橋の損傷対策モニタリング、阿蘇長陽大橋復旧設計時の橋脚の傾きのモニタリング(国土交通省)や、NEXCO東日本の大規模更新対象のRC床版の劣化進行モニタリング、石垣港サザンゲートブリッジ(主径間である鋼ローゼ、沖縄県石垣市)の吊材交換、奈良県内の自治体のPC橋劣化部のモニタリングなど、様々な橋種、部位に渡り使われており、日本導入以来の実績は橋梁を中心に250箇所を越えている。(井手迫瑞樹)

サザンゲートブリッジでの実施例

道路橋床版での実施例(上図、下写真)



阿蘇長陽大橋でも上下部、仮設工様々な場所に使った。
(1枚目のみ井手迫瑞樹撮影、他は建設技術研究所提供)

 OSMOSは、長さ1~2mの光ファイバーをセンサとして利用し、2点間の相対変位を測定する方法。測定には、赤外線が光ファイバーの曲がり部において漏洩し、通過する赤外線の強度が変化するマイクロベンディングの原理を利用している。

 センサは、自立型無線センサ「LIRIS」を用いている。①ひび割れや亀裂などの変位を測定する光ファイバーOS(Optical Strand)と、②躯体の傾きをとらえる傾斜計TM(Tilt Meter)の2タイプを有している。LIRIS(OS)は1mの長さを有するもので、鋼部材の腐食による不陸やコンクリート表面の凹凸による局部ひずみの影響を受けることなく、軸力部材の平均的な歪みや、コンクリートのひび割れなどを確認することができる。また、短期間の測定では、電源・配線が不要な電源内蔵型センサのため、例えばサザンゲートでは12個のセンサを2日で設置(既設吊材2本と新設吊材2本に6個ずつ)し、さらには設置後すぐにモニタリングを開始することができた。鋼材に対しては磁石を用いた脱着が可能で、コンクリート部材には簡易なアンカー等を用いて設置する。さらにSMSアラートシステムを付属することで管理値を超えた際にアラームアラートメールを発信する。さらにまた測定したデータ制御には、Safe Worksというクラウドを用いたシステムでリアルタイムかつ精緻にモニタリングできる。


 LIRISとは別に有線式の「V5.2EDASシステム」もある。これは①長期にわたる常時モニタリングが可能で静的かつ動的100Hzまで対応できる、②測定されたデータは自動でデータサーバへUPされアラートメール発信機能も搭載、③1台のモニタリングステーションに光ファイバーを含め、最大30台のセンサを接続可能であり、複数の異なるセンサデータを収集・分析・表示できる――などの能力を有している。これをSafe Worksと繋げることにより、遠隔地から構造物の状態を監視することが可能で、実際に阿蘇長陽大橋の橋脚補強では、損傷を蒙った橋脚に光ファイバーセンサや傾斜計を付けることで、安全な工事の進捗に寄与した。また、NEXCOの床版は、状態などに応じて(床版取替の)優先順位を付け更新していくが、迫川橋のように予期せぬ損傷が起きるケースもある。また、大規模更新までの延命策として樹脂注入その他の補修を行うケースもある。そのような劣化の進捗や補修効果の持続性を確認するため、数橋で常時モニタリングを実施すべくOSMOSを活用している。


モニタリング事例

 日揮は、「石油やガスのプラントに関わる仕事が大きなウエイトを占めてきたが、今後は土木構造物のインフラメンテナンスにも展開していきたいと考えている。そのIoTの一つとして積極的に展開していきたい」(同社)と考えている。

 また、会員の宮地エンジニアリングは、傾斜計と変位計のセンサを利用し、上部工架設の安全性向上に役立てている。例えば、架設中の仮設ベントに傾斜計を付け、ベントの傾きを掲示モニタリングしたり、送り出しを行う桁に変位計を設置して、反力をリアルタイムに管理する――などの使い方だ。無線式は予め設置し、そのまま運ぶことができるため、「設置の容易さはもとより、運用性も高く、今後も架設安全性を高めるIoTとして使用していきたい。それだけでなく、損傷が懸念される鋼構造物の常時モニタリングとしても提案していきたい」(同社)と話している。同じく会員の大日コンサルタントは、橋梁の健全度モニタリングや長大斜面の落石や崩壊の危険を事前察知し警報するシステムとして全国展開を進めていく考えだ。



(2020年7月22日掲載)