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けい酸塩系は新設、シラン系は既設への塗布を想定

JR西日本 RCラーメン橋の横梁、縦梁に含浸材塗布を検討

公開日:2015.04.16

 JR西日本はRCラーメン高架橋の横梁、縦梁を対象に新設構造物に対してはけい酸塩系、既設構造物に対してはシラン系の含浸材で改質するための研究を進めている。平成28年度には供試体の一部を使って含浸材の浸透深さや透水状況などを確認し、その結果を見て自社のマニュアルに対策方法としてスペックインする方針だ。
 具体的に試験しているのは新設構造物向けにけい酸塩系5種類、既設構造物向けにシラン系14種類。けい酸塩系含浸材を塗布した供試体は和深(和歌山県東牟婁郡串本町)の暴露試験場、シラン系含浸材を塗布した供試体は西明石~姫路間の山陽新幹線高架下でそれぞれ平成27年3月から暴露している。

 塗布面から20㍉以上塩分が浸透しないことが目標

 けい酸塩系は、建設時のひび割れなど初期欠陥個所に対する補修材料(断面修復を伴わず、想定しているかぶり厚と同程度の効果を期待)としての適用を想定していることから、塩害環境の厳しい和深で試験している。要求性能の一例としては塗布面から20㍉以上塩分が浸透しないことを目標としている。

 
           けい酸塩系は環境の厳しい和深で暴露試験

 透水量が90%以上抑制できることを目標

 シラン系は主に既設コンクリートの水分の侵入を抑止するために塗布することを想定している。要求性能の一例としては透水量が90%以上抑制できることを目標としている。塗布を想定している山陽新幹線高架橋は環境が比較的厳しくないことから、西明石~姫路間の高架下で供試体を暴露することにした。


           シラン系は高架下で暴露している

 JR西日本が所管する山陽新幹線は、新大阪駅~岡山駅間が開業後43年、岡山駅~博多駅間が同40年を経過しており「中性化は相当程度進展している」(同社)。また、高度成長期に急速施工を余儀なくされた個所や、良質な骨材の不足や塩分総量規制が整備されていなかったこともあり除塩不足の海砂を使用した区間もあり、複合的な劣化も懸念される。
 なお、同社では、シラン系含浸材をアルカリシリカ反応(ASR)で劣化したRC桁で使用した実績がある。(井手迫瑞樹)

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