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施工方法などを照査した上でマニュアルなど策定へ

福北公社 北九州高速道路の床版補修・防水に首都高と同タイプを試験導入

 福岡北九州高速道路公社は、北九州都市高速道路1号線の勝山ランプ入口合流部および出口分岐部において、2000㎡強について、床版の補修、床版防水工、舗装の打替えを進めている。とりわけ床版補修と床版防水については首都高速道路で用いている手法と同様のものを試験的に導入している。 同社では、今後も一次供用区間である1号線をターゲットに損傷が起きている個所を床版補修・防水・打替を順次行っていく予定で、今回行った施工方法を照査した上でマニュアル等を作成していく予定だ。その内容について取材したものをまとめた。(井手迫瑞樹)



 同ランプを含む北九州都市高速道路1号線(小倉東IC~下到津IC間)9.2kmは昭和55年に供用され、37年が経過している。とりわけ日明IC~紫川JCT間(約3km)は、断面交通量が上り線15千台/日、下り線11千台/日、であり、大型車混入率も24%と比較的高くなっている。また、凍結防止剤も全線で180tから多い年には330t程度散布していた。一方で、床版防水は供用以来長い間設置しておらず、平成17年に初めてアスファルトシート系防水層を設置し、併せて基層に密粒アスファルト、表層に排水性舗装を設置した。同年には防水層を施工する前に床版の叩き点検などを行ったが、大きな損傷や補修跡もなかった。

 しかし、近年とくに走行車線においてポットホールが集中的に生じており、平成28年度の点検では、床版下面にひび割れや遊離石灰などが確認され、補修が必要と判断された。



 今回補修する勝山ランプの床版を支える桁は6主鈑桁であり、床版厚も220mmとなっている。疲労による損傷というよりも塩分の侵入等による鉄筋腐食に伴うコンクリートの剥離及び上面の砂利化現象による損傷が大きい(写真参照)と考えられる。そのため、脆弱部を鉄筋裏まで斫り、鉄筋の錆を除去した上でポリマーセメントモルタルにて断面修復した後に、首都高速道路で行っているコンクリート床版に生じたひび割れに浸透・接着する高浸透型プライマーとタイヤ付着抑制型アスファルト加熱塗膜防水を併用した工法を採用している。また、基層にはSMA、表層には改質Ⅱ型密粒アスファルト舗装を採用している。また、名高速などでは路肩コンクリートを除去し、同部分にも床版防水を行うようにしているが、本工事では部分的に浮きが見られる一部を除き残置した。


舗装構成および床版補修と防水


 というのも、「交通管理者との協議により、舗装工事は土日を含む週末の連続規制、という工事上の制約がある」(福岡北九州高速道路公社)ことが大きい。下りが金曜朝のラッシュアワーが完了した10時ごろから月曜日の朝まで、上りは同夕方のラッシュアワー完了後の夜から月曜日夕方のラッシュアワー前までの時間内に路面切削から再舗設完了までを行わなくてはならない。さらに人家連坦地にあるため、音の出る作業はできるだけ昼間に施工しなくてはならない制約条件もある。「床版上面との付着切れなどの大きな損傷が生じておらず、端部の防水を丁寧に実施する」ことも路肩コンクリートの撤去を見送る要因となった。


 さて、実際の補修手順は、以下の通りだ。

 まず路面切削を行う。路面切削は上面に舗装を1cm残すように切削し、爪付きのバックホウで残した薄皮を丁寧に剥いだ。さらに端部など取れにくい箇所にある既設防水層の残滓などは人力工具で除去する。こうした丁寧な工程を経るのは、床版上面を削ることを極力避けるためだ。


舗装切削


爪付バックホウや人力で細かな残滓も丁寧に除去

 次に床版上面から叩き点検を行うが、これは元請だけでなく、公社職員も再確認した上で、損傷個所を特定する。特定した個所はカッターやベビーサンダーで除去し、コンクリートを鉄筋裏1cmまでピックなどで斫る。鉄筋裏の斫り作業は、配置されている鉄筋の横から鉄筋に沿わせる形で斫ることにより、斫り面積を最小限にし、健全な個所や鉄筋に害を与えないよう慎重に施工させている。その後、鉄筋錆をカップワイヤーなどで研掃し、断面修復用のポリマーセメントモルタルを打設(ここではNEXCO中日本などで使われているPD工法を採用した)し、0.5~最大2時間程度養生した後に指拭および叩き確認し、防水工程に入る。


叩き点検し、悪い箇所を割り出していく/カッターで脆弱部の周囲を切削し


脆弱部のコンクリートを鉄筋裏まではつりだす


鉄筋を傷つけないように丁寧にはつっている


PD工法で床版上面を補修

 床版防水は、首都高速道路で使われている複合床版防水工法「マルチフレッシュ工法」を採用した。具体的には一次防水として0.1mm程度以上のひび割れに浸透して接着するエポキシアクリレート樹脂系の高浸透型防水材「マルチプライマー」を塗布し、固まるかどうかという時期に4号珪砂を散布し、アスファルト加熱型塗膜防水材「フレッシュコート」を施工した。フレッシュコートの施工は「現場の施工条件上、1方向からしか施工できず、現場において1つの釜で溶かしては流しを繰り返したため、施工に4時間程度かかった」(同)ということだ。その後、舗装との接着性をよくするための4号珪砂を再度散布し、アスファルト基層を舗設する。


防水工の施工

 アスファルト基層はSMAを採用している。SMAは転圧不足による点接着による不具合が一部で見られるため、NEXCO各社では基層をFB13に変更している。今回の現場でも、舗装種別についての議論もあったが、当初設計通りSMAとした。しかし、品質確保のために、プラント出荷時から二次転圧に至るまで温度管理を5回にわたって行うことや、一次転圧にマカダムローラー1回と振動ローラーを推奨すること、2次転圧にマカダムローラー5回、タイヤローラー9回以上を行うことを指導するなどして、品質確保に努めている。


舗装は念入りに転圧し、品質に万全を期した

 

 元請は山口建設工業、及び勝山建設工業

(2018年4月12日更新)