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既設プレキャストRC床版下面に損傷が発生

NEXCO東日本 上信越道 豊洲高架橋で床版取替工事を実施

公開日:2018.01.22

既設床版と新設床版の形状の違いにより
施工上の工夫が必要に

 新設床版パネルの厚さは、両端部の場所打ち床版とあわせる必要があるために既設床版と同じ230mmとした。耐久性向上のために、路肩側地覆立ち上がり部40㎜までを一体化し、バルチップ入りコンクリート(強度50 N/mm2)で製作している。間詰め部の鉄筋にはエポキシ樹脂塗装鉄筋(MKエポザク)を採用した。パネルサイズは、橋軸方向1.6m×橋軸直角方向10.9m(重量約11.6t)で1日当たり最大10パネル(片側5パネル)ずつ合計125パネルの架設を行った。


新設床版架設

 既設床版は下部が顎付きであったが、新設床版では顎なしを採用したことで新たに下型枠が必要になった。箱桁直上部は後から型枠が組めないため、既設桁上に発砲スチロールの埋設型枠を敷き、新設床版を載せることとした。


上フランジ処理(埋設型枠)

 また、新設床版の設置高さは当初から調整ボルトを用いる計画であったが、既設桁の吊りピース削除痕などの影響により、架設済みの新設床版との高さが合わず、再調整を行わなければならない施工上の苦労があった。
 継ぎ手部はループ継ぎ手を採用し、間詰め部はPC床版と同じ強度50 N/mm2のバルチップ入りコンクリート(スランプ15cm)で、1箇所あたり幅400mm、合計126箇所の打設を行った。


ループ継ぎ手と間詰めコン打設

RC製プレキャスト壁高欄を採用
 橋梁下にも作業ヤードを設け施工の効率化を図る

壁高欄・床版防水など
 壁高欄は施工の省力化のためにスカート付きのRC製プレキャスト壁高欄(橋軸方向4m)を採用した。プレキャスト壁高欄の設置のみであれば約2週間の工期短縮が可能だったが、両端部は場所打ち壁高欄で施工したため、結果的には約1週間の工期短縮となった。これはプレキャスト壁高欄設置後に、既設壁高欄(直壁形式)との形状すりつけで鉄筋と型枠の組立に時間を要したためである。
 施工の効率化では、橋梁上に加え、下場にも作業ヤードを設け、プレキャスト壁高欄をはじめとした資機材の搬入や鉄筋の加工、コンクリート圧送を行った。


RC製プレキャスト壁高欄の据付

端部場所打ち高欄

高架下からの作業

 耐久性向上のために、場所打ちの鉄筋はすべてエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用するとともに、現場打ちコンクリートもPC床版と同じバルチップ入りコンクリート(強度50 N/mm2)を使用したが、一般のコンクリートと比べるとワーカビリティーに劣ることから、円滑な打設作業を行うために、事前に試験打設を行って確認した。
 床版防水は高性能床版防水(グレードⅡ)を採用し、ニチレキのHQハイブレンAU工法を用いて、約2,500㎡を5日間で施工した。舗装は同じく約2,500㎡を昼夜1日間で施工し、基層はFB13を、表層は高機能舗装Ⅱ型を採用している。


(左)防水工(大柴功治撮影) (右)施工後全景

まとめ
 今回の工事は、NEXCO東日本関東支社長野管理事務所管内では小仁熊橋に次いで2事例目の高速道路リニューアルプロジェクトでの床版取替工事となった。「対面通行規制の期間をできるだけ短くすることが課題で、(小仁熊橋も両開き施工だったので)片押し施工など機械の配置を含めて効率的で短い期間で施工できる方法を検討していきたい」(NEXCO東日本)としている。
 元請は、JFEエンジニアリング。
(2019年1月22日掲載 大柴功治)

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