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関越道・田川橋で初採用 薄肉かつ軽量でありながら高耐久性 人力施工可能

NEXCO東日本・ネクスコメンテナンス新潟・長栄工業 RC壁高欄補修用超高強度打込型枠「高性能スマートウォール」を初適用

 東日本高速道路ネクスコ・メンテナンス新潟長栄工業が開発したRC壁高欄補修用超高強度打込型枠「高性能スマートウォール」が、関越道・田川橋のRC壁高欄補修で初採用された。3社は平成22年にプレキャストRC打込型枠を開発し、多くの現場で使用されていたが、今回採用された高性能タイプは超高強度繊維補強モルタルを用いることで型枠の厚みを従来の30mmからさらに20mmに薄肉化、重量を54kg超から37.2kg(サイズはh0.8m×w1.0m)に軽量化し、現場でクレーンを用いることなく、人力施工できるようになったことが特徴だ。なおかつ、圧縮強度は120N/㎟以上あり緻密で、塩化物イオン拡散係数も従来型枠より大きく改善されており、「パネルについては100年間の長期耐久性が期待できる」(ネクスコ・メンテナンス新潟)としている。



 田川橋は1983年に供用された橋梁で、新潟県内でも魚沼の豪雪地帯に位置し、同橋を含む区間は冬季間に多量の凍結防止剤を散布している。加えて高欄は現在のフロリダタイプではなく直壁タイプのため、設計被り厚は40mmしかない。劣化部の塩化物イオン濃度は、被り40mmの付近で平均2~2.5kg/㎥とNEXCOが基準としている発錆限界値1.2kg/㎥を超える箇所も部分的にあり、表面に錆が浮いている状態も見られたため、今回凍結防止剤散布の影響を受ける上り線道路側壁面(延長24.7m)の被りコンクリートをWJではつり、鉄筋を防錆処理した上で高性能スマートウォールを使って型枠を組み、中に無収縮モルタルを注入して断面修復、型枠と一体化し、補修するというものだ。



 高性能スマートウォールに用いるモルタルは水分量が極端に少なく、これを練り混ぜて型枠に流し込みシート養生および蒸気養生を行い、完成したプレキャスト型枠は緻密で、塩化物イオンの見掛けの拡散係数が通常コンクリートの百から数百分の1と非常に小さい。これが表面を守ることにより、鉄筋近傍への塩分の再浸透を大きく遅らせる。さらに鉄筋防錆剤には塩化物イオン吸着効果のあるものを採用しており、鉄筋膨張による損傷の発生を防いでいる。これにより100年間の長期耐久性を期待できるものと見込んでいる。



高性能スマートウォール製造工程①


高性能スマートウォール製造工程②


曲げ試験状況


 施工手順は、①WJで壁面の被りコンクリートを鉄筋裏まで最低60mm程度はつり、鉄筋防錆剤を塗布する、②約1m毎ごとに高性能スマートウォールを立て込む。立て込む際は下に高さ調整用の調整モルタル(高性能モルタル)敷設を行い、2箇所アンカー固定用に削孔し、その穴にエポキシ樹脂を充填後、高性能スマートウォールを差し込む。パネル間の継ぎ目部はビニルパイプを差し込んでおき、継ぎ目表面および下端部にはエポキシ樹脂系のパテを塗布する。上はステンレス製の治具(SUS304を使用)で倒れないように固定する。③枠内に無収縮モルタルを流し込んで一体化させる。④パネル継ぎ目にビニルパイプを通してエポキシ樹脂を注入し、最後にエポキシ樹脂系の接着剤を塗布し上部を高性能モルタルで仕上げ、上部の施工界面からの水や塩分など劣化要因を遮断する。


WJによるはつり状況


防錆モルタルの塗布および調整モルタル工の施工


WJ施工後、鉄筋防錆した状態/立てこみ孔用のアンカーを削孔する


軽量なため立てこみは人力施工可能/立てこみ後、下端にエポキシ系のパテを塗布していく


高性能スマートウォールの立てこみが完了した状態/パネル継ぎ目部にエポキシ樹脂を注入


無収縮モルタルを充填して、上部を仕上げて完成となる(写真はモルタル充填状況)


 施工に要する期間はWJが2日、下部調整モルタル1日、立て込みに1日、無収縮モルタルの打設1日、上部の天端仕上げ1日、計6日程度を見込んでいる。従来方法では10日を要していた。

 今後は、「実構造物での試験施工を経て施工性の確認や課題などを洗い出し、本格運用を図ることで、工事による車線規制時間を少しでも短縮してサービス向上につなげていきたい」としている。

 本工事の施工はネクスコ・メンテナンス新潟。一次下請は長栄工業。WJ施工はテクノジェット。