道路構造物ジャーナルNET

施工方法を河川上から陸上に変更し架設期間3分の1に

首都高速 堀切小菅間拡幅工が大詰め迎える

公開日:2017.09.19

1車線規制して架設
 拡幅桁、中床版は移動式門型吊フレームを採用

 横桁架設は、規制された作業帯(1車線+路肩規制)内に13tラフテレーンクレーンを置いて吊り降ろし、外部足場上で既設桁のウエブに添接する。また、次工程に必要な架設用ビームも設置し、さらにその後の鋼床版や拡幅桁の架設に用いる移動式門型吊フレーム(後述)の移動に必要なレールを引いている。なお、このレールはビーム側と、既設桁側に段違いに配置している。既設桁のレールは高欄とH鋼ガードレールに挟まれた狭い箇所に配置するため、H鋼ガードレールと軌条設備を一体化している。段違いになっているレールの所に移動式門型吊フレームを設置し、この吊フレームを使って拡幅桁(37ブロック)や中床版(同数、鋼床版部の中央部分を指す)の架設を実施する。同フレームは今回4基製作しており、施工能力としては1基当たり1夜間で2ブロック架設できると見込んだ。桁の作業は7月下旬から始めており、1週間に2、3日稼働しているが、8月上旬には2ブロックを残しほぼ架け終えた。今後はお盆を挟んで残る2ブロックと中床版の配置を行い、これも9月初頭には完了する見込みだ。


架設作業前/①桁搬入主桁吊り上げ

2基の移動式門型吊フレーム(井手迫瑞樹撮影)

吊フレーム架設は事前に想定・訓練を徹底
 現場では確認作業省き迅速に施工

 架設はまず、移動式門型吊フレームを組むところから始まる。同フレームは約30ブロックに分割したものを1夜間あたりトラック2台ずつ(計8台)で運び入れ、2台のラフテレーンクレーンを用いて、部材ごとに立ち起こしてはレール上に下から配置する形で順次組み立てていく。部材の立て起こしは危険を防止するため河川側に振った後に行っている(1車線規制なので、高速側に荷を振ると大事故を引き起こすおそれがあるため。高く上げれば今度は俯角が生じる)。施工後に撤去する場合も危険がある作業は、全て河川側で行う。施工をスムーズに行うため、架設に携わる作業員が実際に製作工場に赴き、現場を模擬して実構造物によるシミュレートおよびトレーニングを2回行った。


移動式門型吊フレームの形状および軌条設備

 最終的に荷の動きと重心バランスを全て確認して吊り点を設けており、現地では品物を吊るためにバランスを取るという作業は一切省き、立て起こしおよび架設に連続性を持たせている。いちいち確認していると作業が遅滞し、21時~翌朝5時までの時間内に施工することが困難であるためだ。結果として4台の吊フレームを組立てるのに3夜間で施工することができた。

吊フレーム内に引き込んで降ろす
 移動して位置を確定し接合

 次に桁および床版の架設である。
 夜間に左1車線を規制した上で、4基ある吊フレームに対して、2台ずつ計8台の架設ブロックを積んだトレーラーが入ってくる。トレーラー上にある桁をフレームに備え付けてあるチェーンブロックで吊り、中に引き込んで降下させた後、所定の位置までフレームを自走させて道路軸方向に動かし、設置した横桁とボルト止めする。そしてこの吊フレームがまた戻ってきて、2台目の桁を吊り上げて同様の作業を実施し、ブロック同士を高力ボルトで添接する。


②引き込み/③降下

引き込まれた桁/これを降ろしていく(井手迫瑞樹撮影)

④移動・据え付け/⑤2ブロック目に移動(以降繰り返し)

下部を見ながら慎重に降下/作業主任者が添接部を見ながら指示する(井手迫瑞樹撮影)

仮添接/施工済みのブロックと繋げる(井手迫瑞樹撮影)

 現場は少し曲率が入っている区間であり、10t以上の吊り荷を縦断方向に動かした時に問題なく動くのかという課題があった。それも吊フレームの組立同様、製作工場内でトラブルの有無や必要な作業時間をシミュレートおよびトレーニングして確認した上で現場施工している。
 お盆明けには桁と床版の間に、縦桁を入れたり、検査路を入れたり、中床版を入れるが、その中床版を入れる時に再び吊フレームを使って架設していった。こうした作業を繰り返し実施して平成29年度内に拡幅供用を目指している。


中床版の架設

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