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施工方法を河川上から陸上に変更し架設期間3分の1に

首都高速 堀切小菅間拡幅工が大詰め迎える

 首都高速道路東京西局プロジェクト本部は、中央環状線の堀切・小菅JCT間のうち延長560㍍区間の改良を進めている。1日交通量は約8万台に達することや、同JCT間は短い延長内に合流および分流が存在しており、現在の1方向3車線では慢性的な交通渋滞が発生する状況にある。そこで渋滞を緩和し中央環状線の機能を向上させることを目的として、ダブルデッキの下層(内回り)について現行3車線を河川側に最大3.4㍍拡幅し、4車線化する工事を進めている。なお上層(外回り)はすでに4車線化を完了済み。

 高架は2層構造でかつ下層桁は綾瀬川側になだらかに曲線状の線形が張り出すような形状にあり、従来であれば拡幅に伴い膨大な耐震補強が必要となる。一方で都道450号線と綾瀬川に挟まれており、ヤードが狭小であること、桁下クリアランスが低いこと、なおかつ単純桁、連続桁が輻輳しており複雑な耐震設計が必要になるなど様々な要因が相まって、設計・施工の難易度が高い現場となっている。そうした状況に対応するため、首都高速では初めて免震・制震構造を全面採用した。また、現行の小菅出口分岐部が合流部から程近く出口を利用する車が短い延長の中で車線を変更しなくてはいけないため、分岐部を現在の90㍍先に付け替える(出口の位置はそのまま)。2015年6月に下部工の詳細および全体計画についてまとめたが、今回は下部工や耐震補強内容、構造上の特徴は前回記事を参照していただくとして割愛し、主に施工中の上部工事の計画及び詳細、進捗状況を取材したものをまとめた。(井手迫瑞樹)


 約560㍍区間は、堀切側から3径間連続非合成箱桁の一部、単純合成鈑桁×3、3径間連続非合成箱桁、単純非合成箱桁、単純合成鈑桁×2、単純鋼床版箱桁×2という構成で、門型橋脚および張り出した梁上と門型橋脚のさらに上に配置された橋脚柱の上にそれぞれ上部工を載せている2層式構造である。今回は下層部について、門型橋脚の綾瀬川側にさらに拡幅桁支持用の梁を継ぎ足し、その上に拡幅桁を架設する工事を行う。


事業概要(以降注釈なきは、首都高速道路提供)


桁を綾瀬川側に拡幅し、小菅出口を付け替える


拡幅桁・中床版の設置(事前工)

 前段階として、基礎の補強はレベル2地震動に対して、既設橋脚の曲げ耐力・せん断耐力が不足する3橋脚に対しては鋼管矢板井筒基礎を用いた増杭補強、レベル2地震動に対して既設フーチングの曲げ耐力が不足している11橋脚には、フーチング上面の増厚補強を行う。増厚部の面積は既設フーチングの半分程度に抑えている。下部工の耐震補強を終えた後に既設の床版の一部および地覆・高欄を切断し、拡幅桁および中床版を架設する。


河川上からの架設は手間多く時季も限定

 「陸上化」により時季の制約なく施工可能

 拡幅桁および床版の架設は、事前の計画では綾瀬川側に台船に載せて桁や床版を運搬してきて、河川上から行うというものだった。しかし、製作工場から大型バージで船出しして、さらに東京湾で河川に入るための小型バージに積み替えなければならず、その手間を有することや、綾瀬川の水深を考慮すると、より小型のバージ船で小割にして運搬する必要があったこと、出水期には工事ができないこと――などから、陸上運搬および施工ヤード確保による陸上からの架設方法を採用した。これにより架設工期を3分の1程度に短縮することを可能にした。


 さて、その陸上側からの拡幅桁および中床版の架設である。

 まずは綾瀬川側に横桁を架設し、次に桁を載せるための増設横梁を本線上から架設する。増設横梁とは、拡幅桁を架設するため門型橋脚から張り出している既設の梁の先端部には箱状の梁を新たに配置するものを指す。そのままでは先端部が重い構造になるため、それを支える既設梁を補剛しなおかつ梁の根元部も補強するため大型の鋼板を両脇から板を当て、ウエブ状に配置するもの。次いで拡幅桁および中鋼床版を架設するが、桁形式は従来検討していた箱桁からより軽量な鈑桁とし、床版においては既設と同様のRC床版ではなく軽量な鋼床版を採用しており、既報の免震・制震的構造や徹底化した軽量化(桁重は全体で約1,500㌧に抑制)を図ることで、既設橋脚の補強量ひいては基礎工の補強量を軽減している。


架設STEP概要図