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伸縮量は小さいが過酷な供用条件下で長期耐久性を期待

大三島島内の明日本川橋でヒノダクタイルジョイントαが採用

 愛媛県今治土木事務所が所管する大三島島内の明日本川橋で、日之出水道機器が展開している比較的小さい伸縮量(20~40mm)に対応した一体成型鋳鉄製ジョイント「ヒノダクタイルジョイントα」が採用されている。現場条件を考慮し最適な形状を設計した上で一体成型しているため溶接部やボルトなど損傷しやすい部材を最小限に抑制できる。また、素材は球状黒鉛鋳鉄(FCD)という従来の鋳鉄に比べて数倍の引張強さと粘り強さを有しており、「少なくとも設計耐用年数は30年」(同社)を考慮しており、疲労耐久性に優れる――などの特長を有している。(井手迫瑞樹)


 同橋は橋長10.35m、車道幅員8.25m(+歩道幅員3.25m)と小規模ながら、採石場が近接しており、砕石を満載したトラックが1日約180台通行するという過酷な供用条件下にある。既設ジョイントはゴムジョイントを使用していたが、大きく損傷しており、より耐久性が高いものが求められていた。一方で同島内では自転車の国際大会が行われており、耐スリップ性や段差発生防止など走行安全性も同時に要求された。


補修前の既設ジョイント損傷状況


 ヒノダクタイルジョイントαは、マンホールの鉄蓋で実績のあるFCDを用いた鋳鉄製伸縮装置。「FCDのマンホール鉄蓋は、大型車が多数通過する箇所に長期間設置していても、破損する事例は発生していない」(同社)表層には耐スリップ性を考慮したアンタイスリッピングデザイン(マンホール鉄蓋上の形状に似た3重の突起形状を有したもの(下写真)で濡れたアスファルトと同様の摩擦係数を有する)を採用している。ジョイント前後の現場打ちコンクリートにはデンカ製の無収縮モルタル(デンカ ハイプレタスコン TYPE-H)を使用しており、施工後の収縮クラックによる損傷を抑制できる。また、ジョイントは歯型形状の「歯」部分だけでなく、根本の歯茎に当たる半円形状部分も車両荷重の一部を受ける構造になっており、アスファルト舗装の沈下や轍掘れによる段差の影響を抑制できる。


ヒノダクタイルジョイントαの構造図


拡大図 根本の歯茎に当たる部分も車両荷重の一部を負担する

 止水構造は上下2重止水構造となっている。特長は上部の構造で、突起を挟むようにゴムが設置されているため、雪や土砂などの踏抜荷重にも非常に強い耐力を有する。


止水構造


 防食はマンホールの鉄蓋にも採用している電着塗装を施している。塗装が剝がれても「鋳鉄特有の酸化被膜が形成される」(同社)ため、優れた防食性能を維持できる。

 床版(および現場打ちコンクリート)とジョイント本体(鋳物部)は、本体とボルト緊結されているブラケットで固定している。仮にジョイントが損傷しても、ジョイント際まで敷設している表層舗装をはつり除去し、ボルトカバーの役割を果たす鋼製キャップおよびナットを外すだけで、容易に既設伸縮装置本体のみを取り外し、新しいものに取り替えることが可能だ。

 施工は、ジョイントブロック(一体成型できる最大は900mm×遊間幅)どうしを現場の幅員に合わせて、橋軸直角方向に鉄筋を通して繋ぐ。次に既存製品を撤去し、型枠を遊間に設置し、製品をクレーンで遊間内に吊り降ろして、位置調整してセットし、既設床版の配筋に固定する。無収縮モルタルを流し込んで、最後に表層50mmのアスファルト舗装を敷設して完成となる。


吊下ろして据え付ける


補修後の供用状況


 現在までに市町村など自治体を中心に約60件の実績がある。同社は今後、より伸縮量が大きい伸縮装置にも適用できる製品を開発していく方針だ。