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現場を巡る詳細

上下のクリアランス50cm程度の個所に78.3m、350tの桁を架設

中日本高速道路名古屋工事 名古屋西JCT島井交差点部の桁を夜間一括架設

 中日本高速道路名古屋工事事務所は、4月24日深夜から25日未明にかけて名古屋西JCTFランプ橋のうち、島井交差点(国道302号と県道111号線の交差点部)上に当たるP9~P10部分の桁を、両平面道路の一部を夜間全面通行止めにして架設した。当該桁の桁長は78.3m、鋼重約350tの鋼床版箱桁。同径間の上下クリアランスは50cm程度しかなく、また、西南の地組ヤードから斜めに進入させて、交差点上で位置や方向を修正しながら所定の位置に運ぶため、「規制時間は午前6時までのぎりぎりになることも予想した」(同事務所)。最終的には、30分前の午前5時半ごろに交通開放するなど、比較的スムーズに作業を終えることができた。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


架設位置


架設縦断図

 夜間架設の準備工として、当日の日中に地組ヤード内の交差点部への進入口ぎりぎりまで多軸移動台車(ミック)で運んだ。多軸移動台車は48軸を前後一台ずつ配置したもので、鋼重そのものは約350tだが、カウンターウエイトやターンテーブルなどの仮設備を加えると、台車上の総重量は約550tに達する。それでも今次の多軸移動台車の積載能力は950tであり、積載荷重は60%弱に抑制している。


STEP図①23時過ぎから交差点部への進入を開始した


ヤード内の桁/ヤード内ぎりぎりまで事前に動いておく(中、右)

 本工事のメインである交差点部への進入、桁架設は24日の9時半から開始した。まず今回の架設に必要な規制(国道302号の南行きおよび県道111号線の東西方向全て)を22時50分ごろまでに規制完了し、23時過ぎから交差点内への進入を始めた。平均して毎分40cm程度のスピードでゆっくりと斜めに交差点内に突っ込んでいく。


STEP図②


ゆっくりと移動する/交差点部を斜めに通過する桁、既設橋脚ぎりぎりを移動する


タイヤの向きやジャッキ高さを微調整しながら既設桁下を抜けていく


 交差点直上は名古屋高速万場線の高架がありその傍らには同線の橋脚があるが、多軸移動台車上の桁がその梁のすれすれ横を、車軸を操作し方向を微調整しつつ通過していこうとするが、保護材が梁に接触しそうになった触れたため桁を後退させ、ジャッキで桁の高さ位置を若干下げて再挑戦し、無事問題なく通過した。1時頃に約150m移動して交差点を渡り終えた桁は、所定の位置に桁架設するため車軸を90°旋回させ、台車上の桁位置も15°ほど回転させて、架設すべきベント間とほぼ平行になるよう準備し、1時半ごろにはほぼ、ベント間への平行移動を完了した。


STEP③


既設桁下を抜けてP9が見えてきた


位置や方向を調整してベントに近づいていく

 ここから少し時間をかけた。というのもP10側は(今から延伸部の桁を架設していくため)ベント上に載せるだけで良いが、P9側のベントは既にP9から伸びている調整桁と仮添接する必要がある。多軸移動台車はこの位置にうまく合わせてジャッキダウンさせなければならない。そのため最初のアプローチは安全側を考慮し、P10側に少しよる形(即ちP9側ベントとは少し離れる形で平行移動した。それから約1時間半かけてゆっくりと仕口を近づけ、3時頃にジャッキダウンを開始、3時半前にほぼ完了した。


微調整をしながらジャッキダウンへ/仮添接作業

 その後は仮添接作業を行い、4時15分前後には多軸移動台車の退出を開始、予定の6時よりも30分早く、午前5時半には交通開放した。


多軸移動台車の退出

 スムーズに施工が運んだ理由として、JFE・IHI・横河JVの澤田尚久現場代理人は「事前の綿密なシミュレーションに加えて、計測や目視など現地の確認を繰り返して行ったことが寄与したと思う。また実施に際しては地面にドーリーの軌跡を描いて、現地でそのラインを見ながら干渉するものはないかを確認した。バランスを考慮してその都度微調整したが、概ね上手くいった」と述べている。また、「国道302号は供用後約50年を経過しており圧密が進み地盤が安定しており、レベリングに問題が殆どなかったこともプラス方面に作用した」(NEXCO中日本)ようだ。


架設完了状況

 

 施工にあたっては、上下クリアランスが狭いことから、桁高を抑制する必要があるため鋼床版箱形式を採用し、桁高を1.2m程度に低くした。鋼床版は通常16mmだが、最厚で34mmの箇所もあり、厚い個所は製作時に数層の溶接が必要であり、初層から数層を炭酸ガスシールドアーク溶接で施工し、仕上げ層をサブマージアーク溶接で丁寧に仕上げている。

 今次の桁は両端ともベント上に架設している。P9側は今回、仮添接により調整桁と接合しているが、最終的には全断面溶接で仕上げる。P10側も本桁との接合時は、同様に施工する予定だ。

 元請はJFEエンジニアリング・IHIインフラシステム・横河ブリッジJV。多軸移動台車下請はミック。