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京都府の耐震補強工事初 詳細設計付補強工事発注

京都府・山家橋 複雑な形状を有する鋼ランガートラス桁の耐震補強

 京都府は綾部市内のJR山家駅に程近い、由良川渡河部に架かる山家橋の耐震補強工事を進めている。同橋は、鋼単純ランガートラスの横桁の上に鈑桁の支承がゲルバーのように載っている(写真)構造。複雑な形式かつ、古い橋梁のため損傷も考慮した耐震解析・補強設計を行う必要があるが、コンサルタントによる(足場を用いた近接目視を伴わない)設計では限界があった。そのため、補修補強を担う専門工事業者に詳細設計付耐震補強工事発注を行い、足場を用いて近接目視点検させた上で、必要な補強部材を計上させ、補強部材を加味した耐震解析を行った上で、設計・施工を行っている。元請は横河ブリッジ。全国の自治体でもまれな耐震補強業務の設計・施工が行われている注目の案件を取材した。(井手迫瑞樹)


山家橋の橋梁概要と損傷状況、発注経緯

 山家橋は、一般府道山家停車場線の綾部市上原町を流れる由良川に架かる昭和30年に供用された橋梁だ(右写真)。設計基準は鋼道路橋設計示方書案(昭和14年)に依拠しているが、設計詳細は逸失しており、今回は復元設計から行った。橋長は149.6㍍、有効幅員は5.5㍍で上部工形式は鋼3径間連続鈑桁(61.2㍍)+鋼単純ランガートラス(75.62㍍、440トン)+鋼単純鈑桁(12.78㍍)。橋の特徴として、ランガー桁の横桁部分に鈑桁の支承があるという構造になっている。基礎は直接基礎、橋台は重力式、橋脚は壁式を採用している。なお、同地には昭和初期に200㍍程度の鋼橋が供用されていたが、水害によって流され新たに架けられた経緯がある。


由良川渡河部に架かる山家橋、今回は鋼単純ランガートラス桁を耐震補強する

 凍結防止剤は散布しているが極めて微量で鋼桁に大きな腐食は生じていない。交通量は大型車交通量が427台/24時間と少なく、床版防水は施工していない。

 主な損傷状況としては、RC床版が全体的にひび割れを生じている。但し1方向クラック程度。遊離石灰が生じている箇所があるほか、一部で鉄筋露出も見られるが、鉄筋の腐食はそれほど進行しておらず、むしろ元々のコンクリート被りが薄いため剥落していた疑いがある。また下弦材格点部の垂直材タイプレートで腐食や減肉(伸縮装置近傍)が見られる。ランガー桁の支点上垂直材のカバープレートでも内部の腐食をファイバースコープで確認している。

 支承周りについても一部、サイドブロックが破損している箇所や床組縦桁支承の腐食が生じている箇所がある。伸縮装置からの浸水による鋼部材の腐食も生じている。


一部で塗膜割れや錆が発生している箇所もある/一部の部材を座屈拘束ブレースに取り替える


 こうした損傷に対応するため、直材については断面欠損している箇所に対して、当て板補強を行い、支承本体でサイドブロックが破損している箇所については、固定装置の新設を行っている。床版のひび割れ補修、断面修復及び伸縮装置の非排水化については、今後の実施とした。


当て板補強の実施個所

 今回は主に耐震補強を行うべく事業化した。「設計発注し、それなりの成果は出てきているが、現場で足場まで組んで調査して設計するというわけにはいかない。主には遠望目視と、一部の部材点検などという条件下で設計したため、申し送り事項に、実際の補強の場合には、損傷が見つかる場合もあり、それを反映しなければいけない、ということがあった。そうすると、工事に入って、もう一度詳細設計をし直さなくてはいけないということになる。もう少し簡単な橋であれば、それでもいいが、これだけ複雑な橋では過重な負担になる。そのため、設計成果は予備設計程度に留め、具体的な設計図面の作成は、施工会社にお願いした方がお互い合理的であると考えた」(京都府)としている。

 また、今後も、「こうした設計難度の高い橋で、詳細設計と工事を一体的に実施することが合理的というものもあると思うので、その辺は個別ケースで見極めながらやっていくことになろう」(同)としている。

 元請としても「この発注方式がベストではないかと感じる。耐震だけでなく、修繕の問題点も提起して、予算の中でできればやるし、できなくても将来的に問題となることを施主が意識して取り組んでいってもらえればいいものになると思う。当社としては今までの実績も含めて、ベストな提案をすることができたと感じている。コストおよび維持管理しやすい方法を考えた上で提案していって、最終的には将来の維持管理し易さも考慮して補修補強することが大切ではないかと考える」(横河ブリッジ)と話している。