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中分に仮設RC床版を配置し3車線確保、ロードジッパーで朝夕車線を変動

NEXCO東日本 北陸道 栄橋・貝喰川橋の床版取替工

公開日:2021.09.08

 NEXCO東日本新潟支社は、北陸道中之島見附IC~三条燕IC間の栄橋及び貝喰川橋で橋梁リニューアル工事を進めている。同区間は日平均39,300台(大型車混入率23%)が通る北陸道でも指折りの重交通路線である。床版取替時も対面3車線(通常は上下2車線ずつの4車線)を確保するため、上下線の間の隙間を利用して、隣接する両側の桁のウエブに止める形で横梁を渡し、その上に仮設のRC床版(版厚220mm、幅約5m)を設置し、縦目地には埋設ジョイント(MMジョイント)を設置して仮設道路として用いている。施工にあたっては約3.3㎞を終日対面通行規制にするが、ロードジッパーを活用して朝夕の上下線の車線数を変更することで交通への負荷を抑える。また、工事規制区間の上流に簡易トラフィックカウンター・監視カメラを設置して交通状況を監視し、簡易情報版(LED)によって工事規制、渋滞情報、所要時間情報などを提供する。加えてLINE公式アカウントによる情報提供も実施している。施工はまず中分側の一部を撤去して仮設床版を設置し、床版取替施工中の対面3車線を確保した後、上り線、下り線の床版を取替え、最後に中分側の仮設RC床版を撤去して、プレキャスト床版の残部と中分側の壁高欄を設置して、完了させるもの。現在は中分の仮設RC床版配置、下り線側の床版取替を完了しており、8月下旬からは上り線側の床版取替を進めている状況だ。(井手迫瑞樹)

橋梁位置図(NEXCO東日本新潟支社提供、以下注釈なきは同)

栄橋と貝喰川橋

栄橋 鉄筋近傍の塩化物イオン濃度は最大で7.99㎏/㎥に達する
 貝喰川橋 「馬桁」に対応して仮設RC床版を支持

 今回対象となる橋梁は、信濃川渡河部にある栄橋と信濃川支流貝喰川渡河部に架かる貝喰川橋の2橋。供用年次はいずれも1978年9月で、供用開始から42年が経過している。栄橋は橋長368.2mの鋼4+3径間連続非合成4主鈑桁橋で、有効幅員は10m、貝喰川橋は橋長156mの鋼3径間連続非合成鈑桁+単純合成鈑桁×2(両側径間)という構成の橋梁で、有効幅員10m。いずれも床版厚は220mmである。供用後は部分打替えなどの補強補修を繰り返してきたが、増厚などは行っておらず、床版防水も未設置であり、凍結防止剤の多量散布による塩害の進行が顕著で、鉄筋近傍地の最大内在塩分量は栄橋では、上り線で5.65㎏/㎥(A1-P1)、下り線で7.99㎏/㎥と非常に多く、貝喰川橋でも上り線で4.5㎏/㎥に達する箇所(P3-P4間)もあり、下り線(A1-P1間)でも1.6㎏/㎥という値を示し、いずれも発錆限界値1.2㎏/㎥を超えていた。舗装のポットホールの頻発、床版コンクリート上面の土砂化や下面のひび割れ(栄橋、貝喰川橋)、桁端部の腐食(貝喰川橋)が生じていることから、その抜本的な対策のため、プレキャストPC床版に取替えることにした。

栄橋の損傷状況

貝喰川橋の損傷状況

 現場工事には昨年(2020年)度から着手している。昨年度は対面通行に必要な中分拡幅(上下線間の隙間への横梁および仮設RC床版の設置)を実施し、今年度5月から下り線、さらに今秋に上り線の床版取替を行い、2022年度に中分の床版および壁高欄を設置して、完了させる方針だ。

 栄橋は斜角が69°~73°と小さい。そのため切断・撤去および仮設RC床版、プレキャストPC床版の設置とも斜角に沿う形で施工した。すなわち切断も既設床版との通りを考慮して斜角で切断した上で撤去し、さらに仮設RC床版も斜角なりで製作(1ブロック:幅約5.35m×長さ約1.7m、版厚210mm)し、設置している。新設のプレキャストPC床版部も同様に設置しており、仮設RC床版及び新設版の形状は、長方形というより平行四辺形となっている。伸縮継手配置個所(A1、A2、P4の両側の4個所)の接続部については、伸縮量が大きいため、製品ジョイントの部材高が高くなっている。プレキャスト床版で施工する場合、ジョイント設置箇所の切欠き寸法が大きくなり、切欠き下部が60mmと非常に薄くなることから、施工時及び後埋め後の荷重による損傷を懸念し、現場打ち構造としている。現場打ち面積は栄橋(上下)で各140㎡。

栄橋諸元と床版取替フロー

 貝喰川橋のほうは、ほぼ直橋である。但し河川が鋭角に交差しているため、河川外の橋脚に支持された馬桁を支点とした構造になっている。すなわち上り線と下り線は、橋長は同じであるが、橋台位置が両岸(A1、A2)ともずれており、上下線で前後している状態になっている。

貝喰川橋諸元と床版取替フロー

 その影響は仮設RC床版の設置について顕著である。仮設RC床版は上下線の間に架ける。橋梁同士であれば、左右が同じように挙動し、荷重によるたわみも似たような動きが想定できる。しかし「ずれて」いる箇所は片側が土工部にかかるため、その挙動の変化に対応しなければならない。土工-桁上の床版は土工部においては下がらず、桁部においては下がるというような挙動を示すことになり、床版にねじれが発生するため、大きな負荷がかかってしまうのだ。そのため土工部と並行している橋梁部については、ベントを下に設置して、変位量を抑制することで土工部と折り合いをつけるような形でRC床版を設置した。

ベント設置状況
 加えて貝喰川橋は両側径間(鋼単純鈑桁)が合成桁構造であり、馬蹄型ジベルがあり、その対策も必要とした。

貝喰川橋合成桁部の水平切断状況

馬蹄型ジベルの切断およびケレン

 貝喰川橋においても、端部は現場打ちとした。端部においてスタッド孔1箇所あたりのスタッド本数が6本(他の箇所は4本以下)と多く、プレキャストで施工した場合、鉄筋・PC鋼線の配置が困難であるためだ。現場打ち面積は貝喰川橋(上下)で各220㎡。

仮設床版を支持するために桁間に横桁および縦桁を配置
 仮設床版と既設・新設床版の縦継目にはMMジョイントを採用

中分拡幅
 さて中分拡幅は、まず上下線を連結する際に必要な補強材を桁下から設置する(右図)。同補強材は上下線4主桁のうち、中分側の主桁2本(上り線であればG3-G4、下り線であればG1-G2間)の間に設置している。橋軸方向と橋軸直角方向の鋼材(H鋼)からなっており、直角方向の補強材は既設桁に配置されている対傾構をかわす形で約1.5m間隔に配置され、軸方向の鋼材はその横桁の間隔にウエブ同士が交わる形で配置される。軸方向の鋼材は中分側床版切断時に浮いた状態となる残部既設床版端部を支持するために若干桁高を高くしている。(構造及び寸法、重量などは別図参照)

中分拡幅追加横桁・縦桁設置図例

 それと並行して上下線の中分側の桁同士を5.2~5.5mピッチで横梁を渡して繋げ、その上に橋軸方向全延長に仮設RC床版支持用の縦桁を2本配置する。こうした鋼材は全て桁上から大型ユニックにより吊り降ろし、作業用吊り足場の中で添接していった。

仮設縦桁・追加横桁設置図例

中分拡幅追加桁設置状況

追加横桁設置状況

 中分側の床版を切断撤去した上で、仮設RC床版を、70tクレーンを用いて設置していった。切断に際しては、非合成桁部分は特に問題がなかったものの、貝喰川橋の側径間部は既設合成桁であり床版と桁接続には馬蹄型ジベルを用いている。そのため非合成同様にジャッキによる床版引き剥がしは、不可と判断し、コンクリートカッターで桁両側を切断し残った桁上コンクリートをチッパーで斫り、プレート部分をガスフレームによって溶断し、わずかに残った凹凸はサンダーなどによってケレンした。

中分間床版の切断撤去

センターホールジャッキによる剥離/RC床版の設置/スタッド溶接/(スタッド部の)間詰モルタルの施工

 仮設床版を配置した後、通常の床版と同様、主桁及び縦桁上にそれぞれ必要なスタッドを溶植した。床版間の継手構造は本設さながらにループ継手を用いている。間詰め材を施工して桁および床版間を接合した。
 中分拡幅に用いたこれら鋼材とRC床版は、寸法が一定でないため、全て事前に現場を詳細確認した上で、製作している。

仮設RC床版も本設同様に床版間にはループ継手を配置し、間詰コンクリートを打設する

 切断した既設床版と仮設床版間はその全長に埋設ジョイントを配置するが、その埋設ジョイントはMMジョイントを採用している。交通荷重を考えれば製品ジョイントを用意したい箇所であるが、それでは設置・撤去を短期間で繰り返す(2年間で3回)、本現場においては施工性に欠ける。さりとてアスファルト合材による間詰では耐久性に難がある。コストはかかるものの、遊間幅(75mm幅)と施工性、走行荷重やたわみに対する耐久性を考慮して、高速道路における遊間幅の比較的狭いジョイント部で実績を多く有するMMジョイントの採用を決めたものだ。



床版上面の舗装施工完了後、縦継目にはMMジョイントを設置した

伸縮装置も本設さながらに設置している

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