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制震・免震的な補強を選択、塗膜除去および素地調整は循環式エコクリーンブラストを採用

NEXCO西日本 中国道千種川橋で耐震補強と塗装塗替えが進捗

公開日:2021.06.07

塗替え塗装 循環式エコクリーンブラストを採用
  上下線とも約6,400㎡を8ロットに分けて施工

 塗替えは同橋上下線全てで行う。面積は上り線がトラス桁部6,448㎡、鈑桁部672㎡、下り線が同6,326㎡、307㎡で合計13,753㎡。鉛が45,000~47,000mg/kg、クロムが1,500~1,700mg/kgあるため、湿式かそれに伴う塗膜処理方法が必要だ。近年剥離剤使用に伴う火災死亡事故やアルコール中毒の疑いによる死亡事故の発生などに対する安全性、冬季施工を考慮し、廃棄物処理量の大幅な縮減などを考慮した結果、塗膜除去、素地調整共に循環式エコクリーンブラストを用いている。

 上下線とも約6,400㎡を8ロットに分けて施工する。1ロットはだいたい800㎡になるが、1ロットを上段と下段に分け、上段から下段に移動しながらブラストの施工を行う。ブラストは1ノズル当り25~35m2/日を施工するものを4ノズル用意し、1ロットあたり8日程度で塗膜剥離および素地調整を完了するよう施工していった。日当り施工面積の違いは、ブラスト施工のしやすさの違いである。大きな平面であれば日施工面積は大きくなるし、狭小部や、施工方向に気をつけて作業しなければいけない箇所では日施工面積は小さくなるためだ。一方でブラスト本体からヘッドまでの距離は最大で打ち上げ30m、水平方向100mに達するが、目詰まりなども起こすことなく問題なく施工することができた。

8ロットに分けて施工している

桁下に設置している機械から脚高約30m、桁高約8.5mを打ち上げて施工し、回収する

循環式エコクリーンブラストの施工状況

ブラスト施工後の下地品質

 ただし循環して使う研削材(ここではスチールグリッド)の回収は「鈑桁部は比較的容易なものの、トラス部は6段足場であり段毎に清掃を行い吸引回収して循環させた。最下段ではブラスト完了後、各層の養生シート等をすべて撤去して大掃除を行い、全ての研削材と塗膜片の回収を行っている」(二次下請けのヤマダインフラテクノス)。ブラスト、剥離とケレン合わせて1断面につき先行ブラストと仕上げブラストの2工程を施工している。仕上げブラストから1層目下塗りまでのインターバルは4時間を厳守している。

研削材の吸引回収状況

外部への飛散防止のための養生状況

 現在までに上り線支承取替や耐震補強を行う箇所以外の塗装がほぼ完了しているが、下記のような効果をもたらしている。
①産廃の量が非常に少なく、通常のブラストが毎日大型土嚢1袋といった研削材と塗膜の混ざった産廃が搬出されるのに対して、本工法はゴミ袋数袋の塗膜粉じんが出るのみとなる。
②研削材を繰り返し使用するため、従来工法のように研削材の材料搬入を定期的に行う必要が無い。また、研削材を釜の上から投入するのではなく、吸引による補給ができることで、クレーンの使用が不要となり、安全性の確保ができる。
③養生に使用しているエコクリーンシートが、従前ブラストの養生で使用する防炎シートと違い、しわになったりよれることが無いため、養生が非常にキレイに仕上がる。また、足場材等を同シートで養生しているが、研削材の接触による損傷もなく、足場材の損傷も防げている。

 タッチアップなどを除いた塗替えは9月までに完了する予定だ。

 元請はオリエンタル白石・日本ピーエスJV。一次下請は耐震補強がショーボンド建設、塗装工が大陽塗装工業、塗装工二次下請(塗膜剥離工および1種ケレン)はヤマダインフラテクノス。

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