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台風19号 千曲川流域の被災現場を巡る

公開日:2019.10.29

(2020年7月豪雨を受けて、過去の水害による被災現場を歩いた記事を一定期間トップページに掲載いたします。何らかの参考になればと思います。(井手迫瑞樹))
 今次の台風19号で長野県の千曲川流域は甚大な被害を被った。10月12日~13日の48時間雨量は、笠岳で322.5mm、鹿教湯で322.5mm、軽井沢で315.0mm、佐久で 303.5mm、北相木で395.5mmを観測し、北部と中部を中心に大雨となった。県内の14の観測地点で、日降水量の統計開始以来の最大値を更新した。風も激しく、10月12日00時から13日24時までに、最大風速は東御で12日21時11分に北の風18.1m/s、最大瞬間風速は菅平で12日23時55分に西北西の風22.7m/s、辰野で12 日17時44分に北の風23.3m/sを観測し、これまた統計開始以来の最大値を更新している。昨今の二度にわたる九州北部水害北海道平成28年台風10号による災害、昨年の西日本豪雨などを考慮するに、これは特殊な豪雨ではない。我々は、毎年この災害が襲ってくる可能性があることを自覚すべきではないだろうか。千曲川流域の被災現場を道路を中心に取材した。(大柴功治、井手迫瑞樹)

 記者2人が現場に入ったのは19日のことだ。東京からは、上信越自動車道の碓氷軽井沢IC~佐久IC間が通行止めとなっていたため、碓氷軽井沢ICで降りて、国道18号を経由して、最初の目的地である小諸に到着した。


碓氷軽井沢ICで降りて、小諸に向かった

 小諸大橋からみた千曲川の水量はまだかなり多く、台風19号による降水量の多さを実感した。小諸大橋の脇にある物産販売所で、千曲川唯一の吊橋である大杭橋が流出していることを聞き、小諸大橋から約100m上流にある大杭橋に向かった。


大杭橋は左岸側が流失していた

 大杭橋(1919年に建設され、1981年6月に大規模改修が竣工)は左岸側の側径間が無残に流失していた。橋脚はパイルベントを横繋ぎ補強していた形式のようだが崩落している。桁は小諸大橋側に流され無残な姿をさらしていた。左岸側上流の堤防は破壊されており、流れが左岸側に集中したことがうかがえる。


右岸側側径間、中央径間は無事だった

左岸側上流の堤防は破壊されていた

大規模改修の竣工年次が記されていた/上流から見た大杭橋と小諸大橋

支えを失って崩落した桁/パイルベント橋脚らしき残骸

流失した桁

 千曲川左岸沿いを移動し、戻り橋を過ぎた懐古園付近の左岸では土砂が堆積していた。


戻り橋/戻り橋近傍の被災

懐古園付近(左岸は土砂が堆積、右岸も堤防を越えて土砂が上がった形跡があった)

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