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②デンカフセグラス 繁茂する草の防除を効率的に行う材料

阪神高速技術の新技術・新材料

公開日:2018.04.25

 阪神高速技術は、道路に面した法面、高架下の所有地などで繁茂する草の防除を効率的に行う材料として、新たにデンカと共同で「デンカフセグラス」を開発した。
 デンカフセグラスは、石灰岩質の材料からなる「薬剤が入っていないプレーンコンクリートに近い」(同)物質から形成される材料。雑草を1cm以下にカットしたのち、デンカフセグラスを1㎡に2袋分(40kg)散布し、施工厚さを約3cmの均一した層になるよう敷き詰める。その上に6ℓの水を散布して、約5分で硬化が始まり、1日で5N/ ㎡程度の強度で防除効果を有したデンカフセグラスの層が形成される。また劣化が始まると、土に還るため環境にも優しい。


デンカフセグラスの施工手順

試験施工から4年経っても除草効果を保つ
 環境にも優しい

 特徴は施工のし易さと除草効果の長さ、環境負荷の少なさ。施工は材料を散布して敷き均し、水を散布するだけでよく、散水後約5分で硬化が始まる。既に阪神高速道路の北神戸線の法面や高架下、大阪市港湾局や淀川左岸線Ⅱ期の工事用地など合計4,000㎡で試験施工を行っている。また、デンカの青海工場(新潟県)では4年前から屋外で暴露試験を実施しているが、防草効果を未だ保っている。同社では少なくとも5年程度の防草効果を期待している。材料は人体に有害な六価クロムなどを含まず、環境省の定める(環境庁告示第46号の)基準をクリアしている。 


4年後も効果を保っている

 従来、道路に繁茂する草の防除は、「人手による除草やコンクリートで被覆する手法を採用していた」(同社)。しかし人手による除草は手間を要し、コンクリートによる被覆は㎡当たり12,000円程度(小規模の想定)の費用を要するうえ、ひび割れや目地から草が生えてきてしまうというデメリットもある。そのため手間も費用もかからず簡易に施工でき、防除効果も長い工法、材料の開発が急がれていた。

コンクリートに比べて半分のコスト
 温暖な箇所では特に効果を発揮

 ㎡単価は6,000円とコンクリートに比べて約2分の1のコストで施工できる。既にNEXCOや大阪市など自治体からの引き合いも有している。沖縄など南国では1年中草の繁茂が途絶えない温かい箇所もある。そうした個所ではさらにコスト縮減効果が期待できそうだ。
 今後の改良点は、施工しやすいように施工方法の標準化とそれに際しての管理値の設定を急いでいる。端部が弱点のため、端部の敷き均し量を深くし、かつ端部については施工前後に除草剤をまくことによって繁茂を防ぐ方法を模索している。離島や温暖な地では、除草が間に合わず歩道全体が草に覆われてしまう箇所も少なからずあるが、そうした個所にも使用できるよう、材料がひび割れないように多少の強度を増したタイプの開発も検討している。
(2018年4月25日更新、井手迫瑞樹)

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