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3540㍍の海洋架橋を10年間で施工 

伊良部大橋の建設を振り返る

公開日:2015.03.01

 沖縄県が建設中の宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋の建設がついに2015年1月31日に完了した。約390億円、約10年を費やした。同橋は3540㍍の長大橋で、海中道路300㍍×2、取付橋梁部70+100㍍取付道路2070+120㍍と合わせ、一般県道平良下地島空港線の一部を形成する。離島である伊良部島、下地島の島民にとっては教育、医療、福祉などの面でハンデを解消するため、長年待ち望んでいる橋だった。建設を振り返った。(井手迫瑞樹)

円弧リブを採用

 基礎工
 基礎地盤は島尻砂岩層と島尻泥岩層の2種類がある。島尻泥岩層は通常の開端杭で施工可能だが、砂岩層は通常の杭では打止まらない状況があった。そのため、現地のP9を使って載荷試験を行い、その結果、杭の端部に円弧リブを設置した鋼管杭工法を採用した。円弧リブは長さ2㍍の鋼管を4分割し、その内3枚を鋼管の内側に取り付けることで接地面積を増やし先端閉塞効果を得やすい構造となっている。なお基礎の型式は水深の浅いA1~P29までは、φ1000㍉の鋼管杭基礎(1基当たり8~20本用いている)、水深の深いP30~32、P35~P47についてはφ1000㍉の鋼管矢板井筒基礎を採用している。


                                   円弧リブ

 主航路部分のP33とP34の基礎は経済的に有利なφ1200㍉の鋼管矢板井筒基礎を採用した。離島への航路部となっている事よりクリアランスを27㍍取る必要がある事や航路幅を115㍍確保する必要があること、また水深も全橋梁の中で最も深い場所にあり、上載荷重がPC橋梁部よりも大きくなる課題があったためだ。
 採用にあたっては、前田良刀氏(現ドーユー大地代表取締役社長)、中谷昌一氏(現(独)土木研究所地質地盤研究グループ長)、山下久男氏(元(社)鋼管杭・鋼管矢板技術協会技術委員、現調和工業㈱工法技術部部長)の3委員でワーキンググループを設け、検討を行うと伴に、載荷試験を行った。載荷試験を行うに当たって課題となったのはφ1000と比較して径が大きいため先端の閉塞効果が得られるか、また、基礎地盤の傾斜の関係から根入れ長を2Dを4Dに変更した場合泥岩層に打ち込めるか等があったが載荷試験の結果、①泥岩層に4Dが打てることを確認、②先端閉塞効果を十分得られる、③打ち止めに関しても6㍉まで貫入できれば問題ないという3点を検証し、φ1200㍉の鋼管矢板井筒基礎を用いることとした。


              載荷試験                            鋼管矢板井筒基礎

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